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私たちの体や心を守り不調を改善してくれる薬。正しく管理し、不明点は薬剤師に相談を

2025.10.02

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知っておきたい女性のからだと健康 第10回(後編)私たちは薬や薬局とは切り離せない生活をしています。一方で、薬の保管方法や薬剤師の役割など薬にまつわる知識を得る機会はあまりありません。今回は、東京・文京区で虎薬局を経営する新井田純坪(にいだじゅんぺい)先生に、薬や薬局との上手なおつきあいについて教えていただきました。前回の記事はこちら>>

薬と薬局とのつきあい方

[お話を伺った方]
虎薬局 薬剤師
新井田純坪先生
にいだ・じゅんぺい 1974年生まれ。高校地理歴史科の教員を目指し、一橋大学社会学部を卒業。筑波大学大学院教育研究科修士課程修了。2006年に帝京大学薬学部を卒業し、望星薬局を経て実家の虎薬局に入局。15年から帝京大学薬学部非常勤講師、18年から帝京大学特任助教。現在、昭和薬科大学非常勤講師も務める。

にいだ・じゅんぺい 1974年生まれ。高校地理歴史科の教員を目指し、一橋大学社会学部を卒業。筑波大学大学院教育研究科修士課程修了。2006年に帝京大学薬学部を卒業し、望星薬局を経て実家の虎薬局に入局。15年から帝京大学薬学部非常勤講師、18年から帝京大学特任助教。現在、昭和薬科大学非常勤講師も務める。

薬の使い方や薬剤師さんの役割を見直してみましょう。自分の健康管理に欠かせないお薬手帳を活用し、身近な薬剤師に薬や病気、健康について相談を

薬剤師との雑談が薬の使い方の気づきに

調剤薬局では、薬剤師が薬を調剤し、薬の説明や副作用の確認などを行います。患者に関する情報、調剤や服薬指導の内容を記録する薬歴(薬剤服用歴管理記録)の作成も役目です。薬剤師は薬歴やお薬手帳を見て、薬が症状と合っているか、体重に対して用量が多くないか、ほかの薬との相互作用が起きないか、その薬によるアレルギーがないかなどを確認します。処方を変更するほうがよいと考えた場合や疑問点がある場合には処方した医師に連絡することもあります(疑義照会)。


お薬手帳は自分の体調の記録帳

薬局に処方薬を取りに行くと必ず聞かれるのが「お薬手帳を持ってきていますか」ということ。お薬手帳は「患者の薬剤服用歴その他の情報を一元的かつ経時的に管理できる手帳」で、患者の氏名、生年月日、連絡先のほか、アレルギー歴、副作用歴、主な既往歴、日常的に利用する保険薬局の名称や連絡先などが記録されます。

●自らの健康管理と薬の副作用を避けるために使う
お薬手帳の目的は、患者自らの健康管理に役立てること、そして、飲み合わせによって薬の効果を強めたり、弱めたり、副作用を強くしたりする薬がないかなどを医師や薬剤師がチェックして、相互作用を防ぎ、副作用を避けることです。

患者が複数の医療機関にかかっている場合、医療従事者間で患者の症状や薬の情報を共有するツールともなります。「患者さんが新たに診察を受けたことを知るためにも重要ですし、ほかの薬局で調剤した薬も確認します」と新井田先生。また、介護を受けている場合には介護関係者もお薬手帳を参考にします。

なお、お薬手帳を調剤薬局に持参することで医療費が安くなります(2025年8月1日現在、3割負担で1回40円)。また、「災害が起こったときには処方箋の代わりとして薬の処方に使えます」。

●症状や日々の体調、アレルギーなども追記しましょう
お薬手帳を活用することで、自分の体調や症状に関して気づきや生活改善のヒントを得られ、薬剤師や医師などのアドバイスを受けやすくなります。「患者さんからの働きかけは医療従事者の意識を高めることにも繫がります。特に入院歴のある患者さんの中には、使いやすい大きさのノートやファイルを利用して、お薬手帳の情報をコピーしてファイルしたり、血圧や血糖値などを記録したりして体調管理に生かしている方もいます」。

新井田先生がお薬手帳に書いてあると参考になるという項目は、症状の経緯や受診のきっかけ(時間ごとの体温、嘔吐・下痢の回数、虫刺されならば患部の部位・症状など)、今までにかかった病気の記録、現在の身長、体重とこれまでの変化、アレルギーの原因(薬、食品、花粉、ペットなど)、手もとに残っている薬の数です。

さらに、受けた予防接種の種類と期日、使用した市販薬、医療機関で受けた検査結果、血圧や血糖値など家で計測した健康関連の数値、医師や薬剤師に対する質問事項、留意したい検査値の結果、医師や薬剤師から受けたアドバイスや注意事項も書いてあると、医師や薬剤師に言葉で伝えなくても理解してもらいやすいとのことです。「そのとき感じたことをメモしておいてもいいでしょう。自分の振り返りのために俳句や愚痴を書き留めていらっしゃる患者さんもいます。小さなことが薬剤師や医師との会話のきっかけになります」。

なお、血液検査の結果がわからないときなどは「ぜひ薬剤師に結果表を見せて相談してください」。

電子版お薬手帳

電子版お薬手帳(スマートフォンのアプリ)が普及しつつあります。

紙のお薬手帳には、いつから薬を飲み始めたかなど長期間の記録を短時間で調べられる、薬剤師が書き込みしやすい、スマートフォンの買い換えなどにかかわらず、長く保存できるといった特徴がある一方、電子版お薬手帳は持って行くのを忘れにくいのが一番のメリットです。アプリによっては、血圧や血糖値なども入力できる、マイナポータルとの連携で各医療機関・薬局で交付された薬剤の記録を見る、チャットなどで薬剤師に問い合わせができるといった機能があります。

ただ、「薬剤師は患者さんのスマートフォンを預かって見せていただくのを遠慮しがち」(新井田先生)なので、電子版お薬手帳を使っている人は、薬についての相談があれば、自ら積極的に薬剤師に見てもらうようにするほうがいいかもしれません。

厚生労働省は電子版お薬手帳のシステム開発にあたり、アプリの開発事業者にセキュリティなどに関するガイドラインを提示しています。現在、運用されているアプリを紹介する「ガイドラインに沿った電子版お薬手帳サービスリスト」が厚生労働省のホームページに掲載されています。

厚生労働省「電子版お薬手帳」

薬剤師は地域の医療機関や得意な診療、今、患者が増えている感染症などの情報も持っています。「この症状は病気かな、何科にかかるべきだろうと悩んだら、薬剤師に尋ねてください」。つまり、頼れる薬剤師や薬局をファーストアクセスにすると、その後の治療をスムーズにできるのです。調剤薬局では“処方箋医薬品以外の医療用医薬品”を患者との相談のうえで販売することもあります(零売〈れいばい〉)。

薬と薬局に関する用語ミニ解説

●かかりつけ薬剤師・かかりつけ薬局
患者一人に対し、一人の薬剤師、1つの薬局が市販薬を含めて継続的に服薬管理をする制度。その薬局の開局時間外にも24時間対応する。患者の状態を薬を処方した医師や医療機関に知らせるなどフォローアップすることもある。

かかりつけ薬局やかかりつけ薬剤師を決めたい場合には調剤薬局に問い合わせを。かかりつけ薬剤師指導料がかかるため、1回の処方・相談につき少額の負担が増える。

●健康サポート薬局
一定以上の経験年数を持ち、研修を受けた薬剤師がいる、プライバシーに配慮した相談スペースがある、アクセスしやすい開店時間を設定しているなど厚生労働大臣が定める一定の基準を満たし、都道府県知事に届出を行った薬局。薬だけでなく、介護用品などに関する相談にも応じる。

●電子処方箋
紙の処方箋をクラウド上で見られる電子処方箋に変更することで、患者は処方箋を持たずに調剤薬局に行き、調剤薬局の薬剤師は処方箋をダウンロードして調剤する。電子処方箋に対応した医療機関同士では相互に薬の情報を共有できるのがメリット。住所が変わったときにも薬の情報が引き継がれ、代わりの人に薬をとってきてもらうことも可能。症状によってはオンライン診療にも対応している。患者は過去の薬の情報提供に同意が必要。2023年に制度導入された。

また、調剤薬局は一連の診療のラストアクセスの場でもあります。「不安な気持ちを和らげ、今後の人生に前向きになるためにも困ったことなど何でも薬剤師に話していただきたいと思います」。新井田先生は「吉田兼好『徒然草』第一一七段には“よき友、三つあり。一つには物くるゝ友。二つにはくすし(薬師)。三つには智恵ある人”とあります。よき医療従事者である前によき友人であるかを自らに問いかけています」と話します。

患者は気になっていること、飲み残しの薬の数や常用している市販薬やサプリメントなどを薬剤師や薬局スタッフに話すことも大切です。「何気ない雑談から患者さんの人となりや生活が見えてアドバイスできることもあります。話すうちに少しずつ信頼関係が築けるようになるはずです」。

薬の保管のポイント

●高温多湿な場所や直射日光が当たる場所を避け、室温で保管
室温の目安は1~30度です。暖房器具のそばに置いたり、車の中に置きっぱなしにしたりしないようにしましょう。液状の薬や軟膏は容器の蓋をしっかり締めます。粉薬は湿気を吸いやすいため、薬の袋のままチャック付きのビニール袋や缶などに入れます。シロップ剤など薬の種類によっては冷蔵庫で保管するものもあり、指示に従います。

誤用しないよう、食品や殺虫剤などとは別に保管します。また、家族間で薬を間違えないように一人一人の薬を分けておきます。なお、似たような症状でも家族の薬を使わないことも大切です。

●ほかの容器に移し替えない
薬の種類や用法・用量、使用期限などがわからなくなることがあるため、容器の移し替えは避けます。薬の箱や袋、説明書は使い切るまですぐ見られる場所に薬と一緒に残しておきます。

●PTPシートの扱いに気をつける
PTPシート(プラスチック部分を押すとアルミ箔から薬が出せるシート)をそのままカバンやポケットに入れないようにします。「アルミ箔に小さな穴が開き、外気に触れて変質する場合があり、実際、薬が変色したと患者さんから問い合わせを受けたことがあります。持ち運ぶ際にはチャック付きのビニール袋に入れ、乾燥剤も一緒に入れておくと安心です」(新井田先生)。 

また、PTPシートをあらかじめ1錠ずつに切らず、飲むときに1錠分を切り離すほうが安全です。「誤って飲み込むと鋭利な角で喉を傷つけます。テレビを見ながらお菓子を食べていたときに中に紛れ込んでいた1錠分のシートを飲んでしまい、救急車で運ばれた方もいます」。

●小さな子どもが誤飲しないように細心の注意を
薬は小さな子どもの手の届かないところに保管する、薬の入っている箱や引き出しを開けさせない、飲むつもりの薬を食卓などに出しておかないといったことに気をつけましょう。

●薬の使用期限を守り、古くなったら捨てる
医療用医薬品は原則として処方された日数までが使用期限です。余って時間が経った場合は薬剤師に相談を。一般用医薬品は未使用の使用期限が包装に記載されています。開封したら早めに使います。1年に一度は救急箱をチェックしましょう。

使用期限内でも変色や変形が見られたり、飲んだときの味がいつもと違うと感じたりした場合は使用せず、薬剤師に相談します。


連載「知っておきたい女性のからだと健康」の記事一覧はこちら>>>

この記事の掲載号

『家庭画報』2025年10月号

家庭画報 2025年10月号

取材・文/小島あゆみ

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