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新型コロナ感染者は腸内の「酪酸菌」が少ないことが判明。体を守る腸管免疫の仕組みとは

2025.08.28

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〔特集〕腸内細菌「酪酸菌(らくさんきん)」を育てて健康ライフ 食べる免疫力 腸には全身の免疫機能の約7割が備わっています。免疫機能が活性化するのは、各種の有用な腸内細菌の連携プレーがあってこそです。その中でも要注目なのが、有用菌の一つである「酪酸菌」。腸内で酪酸を産生して免疫力の高い体作りに関与しています。酪酸菌を増やし育てる食生活を心がけることで、健康長寿を目指しましょう。前回の記事はこちら>>

特集「食べる免疫力」の記事一覧はこちら>>>

感染症や腫瘍の予防に関与する免疫
「酪酸菌」を増やして免疫力を高める

[お話を伺った方]京都府立医科大学 大学院医学研究科 生体免疫栄養学講座 教授
内藤裕二先生

内藤裕二(ないとう・ゆうじ) 京都府立医科大学卒業。米国ルイジアナ州立大学医学部分子細胞生理学教室客員教授。京都府立医科大学大学院医学研究科消化器内科学教室准教授および同附属病院内視鏡・超音波診療部部長を経て2021年4月より現職。専門は腸内微生物学・消化器病学・抗加齢医学。酪酸菌と健康長寿の関係などの研究をはじめとする腸内細菌研究の第一人者。著書多数。


炎症やアレルギー反応の抑制に酪酸菌がかかわっています

腸管は、人体の中でも最大の免疫機能を司る器官です。それは小腸に全身の免疫細胞が集まってくるリンパ組織があるからです。

腸管には食べ物をはじめ、口や鼻から侵入するウイルスや細菌などさまざまな異物の情報が入ります。全身の免疫細胞は小腸にあるリンパ管に立ち寄ってその情報を集め、異物と判断すると防御体制の司令を出します。

大腸内の毒素を抑制してがん予防を


大腸では食べ物に含まれる食物繊維を餌として、多種多様な腸内細菌が代謝物質を産生し、免疫を維持します。酪酸菌は酪酸を産生し、制御性T細胞を誘導し、炎症やアレルギー反応を抑える免疫細胞を増やす働きをします。また、血糖値を下げるホルモンの分泌を促し、ストレス軽減作用などにかかわります。さらに大腸がんの抑制にも関与しています。

大腸がんは、大腸菌が作るコリバクチンという毒素に暴露されることが要因とされています。コリバクチンの増殖は動物性脂肪の赤身の肉やソーセージなどの加工肉を日常的に過食することに起因します。毒素を増やさないためには、食物繊維を摂取して腸内の酪酸菌を増やし、免疫力を高めることが大切です。

新型コロナウイルス感染者は酪酸菌の量が減少していました


新型コロナウイルス感染者は腸内細菌叢のバランスが乱れていたことがわかっています。感染が要因の心筋梗塞や血栓症など、重症度が高いほど酪酸菌が減少していたことも報告されています。

コロナ後遺症においても、酪酸菌の役割が注目されました。それは酪酸菌の減少が制御性T細胞の免疫機能低下を招き、正常な細胞までも攻撃してしまう過剰な免疫反応が要因して、後遺症が長引く引き金になっているからです。

腸管を守る働きで、感染を未然に防ぐ

腸と免疫の関係は、腸管を守るバリア機能にあります。口や鼻から侵入する細菌やウイルスなどの異物が、腸管の壁を突破して体内に入り込むと感染します。腸管の内側は、粘液で覆われバリアを張って異物の侵入から守られています。その粘液中に存在する免疫グロブリンA(IgA)という抗体が異物を排除し、感染を食い止めているのです。

酪酸菌は腸管のバリアの役目をする細胞のエネルギーとして使われ、細胞間を強固にし、免疫力を強化する役割があるのです。

体内最大の免疫機能「腸管免疫」が担う役割

[感染免疫]
インフルエンザや風邪、新型コロナウイルス感染症などの予防

酪酸菌は、腸管内に侵入する異物を排除する抗体などを作る免疫力を高め、感染症の原因である細菌やウイルスなどが体内に入り込まないよう、腸管のバリア機能を強化する働きを担い、疾病予防の役割を果たします。また、後遺症の症状緩和にも関与します。

[アレルギー免疫]
花粉症や鼻炎などのコントロール

自身の免疫細胞が過剰に反応し、正常な組織まで攻撃してしまい、バランスを崩して起こるのが花粉症などのアレルギーや関節リウマチなどの自己免疫疾患です。その暴走を抑制するのが制御性T細胞で、酪酸菌は制御性T細胞を誘導する作用があります。

[腫瘍免疫]
大腸がん、胃がんなどの抑制

胃がんはピロリ菌が原因でなる場合は、治療法が確立されています。大腸がんは、過剰な動物性脂肪の摂取や加工肉による食事で、増殖した大腸菌が作るコリバクチンが関与しています。それらを抑制するには、酪酸菌を増やし、免疫力を高めることが大切です。

「酪酸菌」が関与する
腸内免疫が体を守る11の効果


腸内では酪酸菌をはじめ、さまざまな有用菌が連携してがんや各種の病気を防ぎ、毎日を健康に過ごせるように働いています。

(1)血糖値を一定に保つホルモン「インスリン」の分泌を調整

(2)全身の代謝を活性化

(3)血管の柔軟性を高めて動脈硬化を予防。高血圧を改善

(4)脂肪が栄養分を取り込むのを抑え、肥満や糖尿病を予防

(5)炎症を抑制する物質を作って、生活習慣病を予防・改善

(6)制御性T細胞を誘導し、免疫を調整

(7)アトピー性皮膚炎や花粉症、ぜんそくなどアレルギーを改善

(8)メタボリックシンドロームを改善

(9)うつ病や自閉症など精神疾患を予防

(10)骨芽細胞を活性化し骨形成を促進

(11)がん抑制遺伝子を活性化し、がんを予防

(次回に続く。この特集の記事一覧はこちらから>>

※イラストは腸と腸内細菌を記号化したイメージです

この記事の掲載号

『家庭画報』2025年09月号

家庭画報 2025年09月号

撮影/家庭画報本誌・大見謝星斗 料理・スタイリング/久保香奈子 イラスト/ネモト円筆 編集・取材・文/鹿田真希 写真提供/京丹後市観光公社

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