知っておきたい女性のからだと健康 第9回(前編)女性のやせ(低体重)や栄養不足は骨粗鬆症や月経異常、糖尿病、フレイル(虚弱)などさまざまな健康問題を引き起こします。日本肥満学会で低体重/低栄養対策に取り組む順天堂大学大学院医学研究科スポーツ医学・スポートロジー/代謝内分泌内科学 教授の田村好史先生に低体重/低栄養の影響や予防などについて伺います。
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「やせ(低体重/低栄養)」
[お話を伺った方]
順天堂大学大学院 医学研究科 スポーツ医学・スポートロジー/代謝内分泌内科学 教授 マイウェルボディ協議会 代表幹事
田村好史先生
たむら・よしふみ 1997年順天堂大学医学部卒業。カナダ・トロント大学生理学教室に留学後、順天堂大学医学部内科学代謝内分泌学講座准教授、スポーツ庁参与を経て、2017年同大学国際教養学部グローバルヘルスサービス領域教授、24年から同大学大学院医学研究科スポーツ医学・スポートロジー教授、代謝内分泌内科学教授を併任。医学博士。
日本はほかの先進国に比べてやせている女性が多い
令和5年国民健康・栄養調査によると、体格指数(BMI、左参照)が18・5未満の“低体重” “やせ”の女性の割合は12・0パーセントであり、20〜30代では20・2パーセントと5人に1人はやせていることがわかりました。また、65歳以上の高齢者では、低栄養の傾向のある女性は22・4パーセントでした。低体重や低栄養は健康寿命に大きく関連しており、今、注目が集まっています。
自分の体格指数(Body Mass Index:BMI)を計算してみましょう
体重と身長を測定し、体格指数を計算しましょう。低体重になっていませんか。なお、標準体重でも低栄養状態に陥っている可能性があるため、「低体重と低栄養はともに注意すべきです」(田村先生)。
体重(kg)÷〔身長(m)× 身長(m)〕やせ 18.5未満
標準 18.5以上25未満
肥満 25以上
今年4月、日本肥満学会は閉経前の成人女性における低体重や低栄養による健康問題を重要視して、新たに「女性の低体重/低栄養症候群」(Female Underweight/Undernutrition Syndrome:FUS(ファス)という、新しい症候群の概念を発表しました。その定義は、「低体重または低栄養の状態を背景として、それを原因とした疾患・症状・徴候を合併している状態」です。同学会の女性の低体重/低栄養症候群ワーキンググループで副委員長を務める田村好史先生は「低体重または低栄養の成人女性の健康問題はかねてから危惧されており、例えば、やせている女性は骨粗鬆症、女性ホルモンの分泌や月経の異常に陥りやすいことなどが明らかになっていました」と話します。
一方で、「やせ、低体重または低栄養には医学的なアプローチがあまりされていないという問題がありました」と田村先生。先進国ではやせよりも肥満が健康問題になっており、やせている女性を対象にした医学研究が少ないことが理由の一つです。「低体重や低栄養の状態にある女性が体重を増やし、栄養を適切に摂るとこう変わるという科学的根拠が少ないため、指導することも難しかったのです。また、体質的にやせている健康な女性も多くいます。そこで、低体重/低栄養に関する概念や関連する症状を検討し、科学的なデータを集めていこうという動きになりました」。
BMIが「やせ」「標準体重」のあなたへ
当てはまる項目が多いと、低体重や低栄養の可能性があります●「骨量が低下している」「骨粗鬆症である」と指摘された
●月経周期が乱れている、あるいは月経が止まっている
●鉄欠乏性貧血である
●「食後の血糖値が高い」といわれた
●筋肉量が少ない、あるいは筋力が弱いと感じる
●倦怠感や不安感、うつ傾向がある
●冷え性である
●肌質や髪質の低下が気になっている
(後半へ続く。)
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