• TOP
  • 健康
  • 総合
  • 医薬品や医療機器を迅速に輸送する「ドローンの医療活用」の最前線

総合

医薬品や医療機器を迅速に輸送する「ドローンの医療活用」の最前線

2025.08.13

  • facebook
  • line
  • twitter

【今月の解説者】
東京大学名誉教授 東京大学未来ビジョン研究センター 特任教授
鈴木真二先生


すずき・しんじ 航空機力学、無人飛行機、航空イノベーションを専門とし、ドローン研究の第一人者。2014年に一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)を設立し理事長に就任。ドローンの産業利用の拡大・促進、それに伴う社会整備・課題解決に取り組む。一般社団法人ドローンサービス推進協議会代表理事ほか。

すずき・しんじ 航空機力学、無人飛行機、航空イノベーションを専門とし、ドローン研究の第一人者。2014年に一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)を設立し理事長に就任。ドローンの産業利用の拡大・促進、それに伴う社会整備・課題解決に取り組む。一般社団法人ドローンサービス推進協議会代表理事ほか。

災害時に医薬品輸送で活躍。日常診療への応用はこれから

有人地帯での目視外飛行認可で実用化を目指す動きが活発に

国や企業が産業用ドローンの活用に本格的に取り組み始めたのはドローンが航空法で位置づけられた2015年のことです。それ以降、農業、物流、建設、災害対策、エンターテインメントなどさまざまな分野でドローンの活用が進んでいます。「医療分野も例外ではなく各地で実証実験が行われてきました」と鈴木真二先生は説明します。


例えば、15年に鈴木先生たちは千葉県のゴルフ場でドローンを使い、傷病者の元まで一直線の搬送ルートでAEDを自動搬送する実験を行いました。「中高年者の運動中に起こることも多い心臓発作は発症後5分以内に救急処置をすれば救命率が50パーセントになりますが、10分経過すると10パーセント以下に低下します。広いゴルフ場でドローンを飛ばして迅速にAEDを届けるのは医療的意義が高いと考えます」。

22年に法的整備によってドローンのレベル4飛行(有人地帯での目視外飛行)が認可されると、過疎地域でのドローンの実用化を目指した取り組みが活発に行われるようになりました。具体的には、東京都の奥多摩地域で診療所から約5キロ離れた老人ホームへの医薬品輸送や、長崎県の五島列島でオンライン診療を組み合わせた医薬品輸送などの実証実験が挙げられます。

「24年1月の能登半島地震の際には私が理事長を務める日本UAS産業振興協議会(JUIDA)が中心となり被災地の孤立集落に医薬品を輸送しました。災害医療の現場でドローンが活用された初のケースだと認識しています。道路の寸断だけでなく海岸線も隆起して船が接岸できなかった状況においてドローンは大いに活躍しました。一方で、災害時に役立つには日常的にドローンを活用しておくことが大事です」

ドローンに関する政策的動きと医療活用の事例

ドローンに関する政策的動きと医療活用の事例
現在、ドローンの医療活用は輸送が主です。海外では医薬品だけでなく血液、ワクチン、感染症の検査キット、臓器など運搬物の対象が広がっています。日本で同様の輸送をするには航空法に加え薬機法など医療関連の法整備が必要で、輸送中の医療物資の安全確保なども不可欠です。

「医療分野においてもドローンに対するニーズは非常に高いです。高性能ドローンや空飛ぶクルマの開発も進んでいるので、新しい技術をうまく使いこなせる柔軟な制度づくりと、医療システムの中にドローンの活用をどう組み込んでいくのか多角的な視点からグランドデザインを描くことが求められています」。

連載「最先端医学 気になるキーワード」の記事一覧はこちら>>>

この記事の掲載号

『家庭画報』2025年08月号

家庭画報 2025年08月号

取材・文/渡辺千鶴

  • facebook
  • line
  • twitter

12星座占い今日のわたし

全体ランキング&仕事、お金、愛情…
今日のあなたの運勢は?

2025 / 12 / 05

他の星座を見る

Keyword

注目キーワード

家庭画報ショッピングサロンのおすすめ
※外部サイト(家庭画報ショッピングサロン)に遷移します。 ※商品の購入には家庭画報ショッピングサロンの会員登録が必要です。

Pick up

注目記事
家庭画報ショッピングサロンのおすすめ
※外部サイト(家庭画報ショッピングサロン)に遷移します。 ※商品の購入には家庭画報ショッピングサロンの会員登録が必要です。
12星座占い今日のわたし

全体ランキング&仕事、お金、愛情…
今日のあなたの運勢は?

2025 / 12 / 05

他の星座を見る