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「聞こえにくさ」は喫煙や、運動不足なども引き金に。子どものヘッドホン難聴も注意

2025.07.10

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知っておきたい女性のからだと健康 第7回(後編)テレビのニュースは理解できるけれど、バラエティ番組での早口は字幕がないと理解できない、音量を上げないと聞こえない、子音が聞き取れないといった症状に気づいたら、難聴が始まっているかもしれません。東海大学医学部耳鼻咽喉科・頭頸部外科 教授の和佐野浩一郎先生に聞こえにくさの原因や予防、対応策について伺います。前回の記事はこちら>>

「聞こえにくさ」

[お話を伺った方]
東海大学医学部 耳鼻咽喉科・頭頸部外科教授 同付属病院診療部 感覚器疾患センター長
和佐野浩一郎先生
わさの・こういちろう 2003年慶應義塾大学医学部卒業後、耳鼻咽喉科に入局。翌年関連病院に異動し、10年に帰局。静岡赤十字病院、米国ノースウェスタン大学留学、国立病院機構東京医療センターを経て、23年東海大学医学部耳鼻咽喉科・頭頸部外科准教授、25年から現職。医学博士。耳鼻咽喉科専門医、気管食道科専門医、臨床遺伝専門医。日本耳科学会賞など受賞多数

わさの・こういちろう 2003年慶應義塾大学医学部卒業後、耳鼻咽喉科に入局。翌年関連病院に異動し、10年に帰局。静岡赤十字病院、米国ノースウェスタン大学留学、国立病院機構東京医療センターを経て、23年東海大学医学部耳鼻咽喉科・頭頸部外科准教授、25年から現職。医学博士。耳鼻咽喉科専門医、気管食道科専門医、臨床遺伝専門医。日本耳科学会賞など受賞多数

聞こえにくくなるのは年のせいだけではありません。生活習慣病の予防・治療、禁煙が難聴の予防につながります

聴力の低下に喫煙や動脈硬化がかかわっている

音は耳介で集められ、外耳道、鼓膜を通り、振動を増幅させる3個の耳小骨がある中耳に入ります。そして、振動は内耳に満たされたリンパ液中を波として移動し、蝸牛(かぎゅう)で電気信号に変換されて内耳神経を経て脳に伝わります。

難聴には、大きく分けて外耳道から中耳までの音の伝わりに支障が出る伝音難聴と、内耳などで音の感度が落ちる感音難聴があり、この2つが混合する場合もあります。いずれも聴力検査で診断がつきます。


伝音難聴は、中耳炎などの耳の病気や耳の奇形、耳あかが詰まっているといった原因で起こります。

感音難聴は、加齢、騒音や爆音のほか、喫煙、動脈硬化、糖尿病、摂取エネルギーの過剰、運動不足といった生活習慣が引き金になります。

難聴は、急性のものと慢性のものにも分けられます。

代表的な急性難聴である突発性難聴は、内耳に異常が生じている原因不明の感音難聴で、片耳が突然聞こえにくくなります。少しでも早い受診が治療の鍵で、遅くとも2週間以内に診察を受けることが大切です。和佐野先生の研究から、突発性難聴には動脈硬化がかかわっていることが明らかになっています。

一方、加齢が主因とされる加齢性難聴は慢性的な感音難聴で、両耳に起こります。

「聴力は、半年前と今は変わらなくても、5年前と比べると低下したというように長期間で少しずつ悪くなります」。

聞こえにくさの自覚もゆっくりで、テレビのボリュームを上げるようになった、聞き間違いが増えた、子音が聞き取りにくい(例えば、キムラさんとシムラさんとニムラさんという発音が聞き分けられないなど)、にぎやかなレストランでの食事中に相手の話が理解できないといった状況に気づいたときには聴力が下がっていることが多いのです。加齢性難聴にも生活習慣病や喫煙、食べすぎ、運動不足がかかわっています。

「難聴には遺伝的な要因や加齢が関連しますが、生活習慣を整えることで、それらによる影響をゆるやかにすることができると考えられます。タバコを吸わない、騒音や大音量の音楽を聞かない、糖尿病や高血圧、脂質異常症、肥満を避けて動脈硬化を予防する、もしこれらの病気になったらきちんと治療するといったことが重要です」

聴力に問題はなくても聞き取りにくい
聞き取り困難症(LiD)/聴覚情報処理障害(APD)

雑音が多い場所では聞き取りにくい、言葉はわかっても話の内容が理解できない、といった症状を自覚して聴力検査を受けたけれど異常がない場合、聞き取り困難症(LiD)/聴覚情報処理障害(APD)の可能性があります。

LiD / APDでは、脳が聴覚情報を意味に変換するプロセスがうまく進まず、言葉に注意を向け続けられない、短期記憶が保てないといった状態になっていると考えられています。現在、疾患としての概念が明確になっておらず、研究や治療法の開発が進んでいるところです。

「学習に影響があるなど生活上の障害となっていたら、音声を文字に変換するソフトを使うなどの対策を講じることになります」。

このような症状が気になるときには、まずは耳鼻咽喉科で音や言葉を聞き取る検査を受けてみましょう。

子どもの気をつけたいヘッドホン難聴

ヘッドホン難聴が話題になっています。ロックやヘビーメタルのコンサートやクラブなどでの大音量、あるいは爆発音や発砲音などを近くで聞くことで起こる難聴(音響外傷)とは異なり、ヘッドホン難聴は、イヤホンやヘッドホンを装着して大きな音を長い時間、毎日のように聞くことで耳の細胞が損傷して起こると考えられています。

「ヘッドホン難聴で受診する若者が増えているのかをよく尋ねられるのですが、実際に聴力に影響があらわれるのは10年、20年、30年と長い時間が経ってからと推測されています」。

イヤホンやヘッドホンを購入するときには、周囲の音を軽減するノイズキャンセリング機能があるものを選び、なるべく小さな音量で使いましょう。

近年、ビデオゲームやeスポーツでもヘッドホンを使うため、世界保健機関(WHO)と国際電気通信連合(ITU)が今年、ビデオゲームの製品に聴覚への安全性に対する警告を含めることやeスポーツの環境に関する勧告を出しました。

「ゲーム中には敵が動く際の小さな音から大きな発砲音まで多様な音を注意深く聞く必要があり、ヘッドホンの音量が上がりがちです。ゲームやeスポーツのしすぎやヘッドホンの音量には留意していただきたいですね」と和佐野先生。

子ども用に音量が抑えられているイヤホン、ゲームに費やした時間が表示されるデバイスを活用するのもいいでしょう。

子どもたちにゲーム時の音量やヘッドホンの使い方を話しても効果はないと考える人もいるかもしれませんが、「例えば、歯磨きや禁煙はその重要性を繰り返し聞かされることで子どもたちに習慣づけられてきました。今、聴力を損なわないように音量に注意することを大人が子どもたちに伝えるのはとても大切だと思います」と和佐野先生は強調します。

取材・文/小島あゆみ

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