子どもの関節の成長や痛みにも気をつけたい
子どもの関節は大人よりも柔らかく、骨の先端に骨端線と呼ばれる骨の伸びる部分があります。成長期には、骨端線が周囲も含めて引っ張られたり、圧迫されたりして成長痛が起こる場合があります。痛みがひどい場合には受診が必要です。
中村先生は、現代の子どもたちの関節の健康を危惧しています。「小学低学年でもゲームが好きで姿勢が悪くなり、肩こりで診察に来る子もいます」。
また、スマートフォンを使うときには頭や首が前に出て背中が丸くなることが多く、いわゆる“スマホ首”で首や肩が痛む若者も多いのです。「人間も動物ですから、動かないのは不自然で、ストレスがたまります。体を動かして遊ぶ楽しさを子どものうちにたくさん体験してほしいですね。10代までは運動によって神経系も骨も筋肉も育ちます。丈夫な関節の形成のために子ども時代の運動は大人以上に重要です」。
女性の主な関節に起こる変化
●乳幼児期から小児期成長するにつれて骨端線がなくなり、関節の構造が大人に近づいていく。例えば、膝関節は3歳頃まではO脚で、X脚を経てまっすぐになる。骨の先端の骨端線で骨が伸びていくのに従い、成長痛が起こる場合がある。このような骨や筋肉、関節の成長には十分な運動や栄養、睡眠が重要。
●思春期から20代半ば成長するにつれて骨端線がなくなり、関節の構造が女性は初経後1 ~ 2年から身長の伸びが止まり、骨盤が大きくなって開いていく。そのため、股関節と膝関節(膝のお皿)をつなぐ筋肉や腱が引っ張られて痛みが出ることがある。
●更年期以降成長するにつれて骨端線がなくなり、関節の構造が女性ホルモンの減少によって関節や筋肉、靭帯、腱などの水分も減り、硬くなる。それによって関節がきしむ、あるいは詰まっているように感じたり、痛みが出たりする。指の第1関節が変形するヘバーデン結節や腱鞘炎、外反母趾などを発症しやすくなる。
更年期以降は関節の痛みや病気が出やすくなる
女性で関節の痛みが出やすくなるのは更年期以降です。女性ホルモンには組織をみずみずしく保つ働きがあります。女性ホルモンが減ると、軟骨や関節包、筋肉、腱、靭帯といった支持組織の水分量が減って硬く弱くなり、傷みやすくなります。
そのため、体を動かすと関節がきしむ、あるいはこわばるといった感じがしたり、関節を伸ばしたときに伸びが悪くなったりします。腱鞘炎や指の第1関節が曲がってしまうヘバーデン結節のような症状も出やすくなるのです。
「自分の母や祖母が関節痛に苦しんだという方は、骨格や生活習慣が似ているので、早い時期から気をつけていただきたいですね」と中村先生。
荷物の持ち方、パソコンやスマートフォンを使っているときの姿勢など、自分のふだんの姿勢や体の動かし方を日々振り返ってみるのも大切です。たまには体形や関節を鏡でじっくりと見てみましょう。
誰でも利き手の側は動きがスムーズで指や腕が太くなります。特に手を使う仕事、スポーツや楽器演奏などを長く続けると利き手側に筋肉がつき、ときには背骨も含めて骨や関節が変形することさえあるのです。このような体形の左右差が関節の痛みを生じさせる可能性があります。
「痛みの予防のためにも左右差はなるべく少ないほうがいいですね。また、バランスをくずしたときにはとっさに利き手が出てしまうため、利き手のほうがケガをしやすく、治療中にも不便を感じることが多いのです。ですから、ふだんからちょっとした作業を利き手ではない側でやってみるのもおすすめです」。
例えば、お茶碗を洗うとき、ドライヤーで髪を乾かすとき、ドアノブを回すとき、掃除機をかけるとき、スマホを使うときなどにいつもとは逆の手を使ってみましょう。最初はストレスを感じますが、だんだんうまくできるようになります。
すでに関節に痛みがある場合、「日常生活の動作に支障が出ているとしたら、治療を受けるべきレベルです」。関節の痛みや腫れがひどくなった、さらに発赤や変形も伴っているといった状態であれば早めに受診します。
痛みの有無や強さは、自分にしかわかりません。中村先生は、関節痛を感じたとき、痛みの強さを、“全然ない”から“耐えられない激痛”まで10段階の痛みのスケールで数値化する習慣をつけることをすすめます。「痛みの変化を客観視しやすく、原因を考えるきっかけになりますし、診察を受けるときにも医師によく伝わります」。
なお、スポーツクリニックなど一部の整形外科では、運動を定期的に始める前の運動器のチェックや関節・筋肉のドックを実施しています。