体と脳を整える ビタミンDの新知見 第1回 ビタミンといえば、まず「C」が浮かぶ方が多いと思いますが、「D」にももっと、注目してみませんか。体と脳にマルチに働き、健やかに快適に日々を過ごす助けとなる、注目度が高まっている栄養素です。
骨だけではないさまざまな効能に注目

病気とは無縁で、不調を感じることなく日々を過ごせたら。そう思って食事を工夫したりサプリメントを取り入れたりしている方が多いことでしょう。その際、ビタミンDを摂ることを、どのくらい気にかけているでしょうか。
「ビタミンDは古くからカルシウムの代謝にかかわるものとして、不足することで起きる子どものくる病や成人の骨粗鬆症の治療に使われてきました。くる病の患者さんにビタミンDを補充して治療すると感染症にかかりにくくなることが以前から知られていました。2000年代になってビタミンDが不足していると結核になりやすいことなどもわかり、研究が進みました」とみぞぐちクリニック院長・溝口 徹先生。
みぞぐちクリニック 院長
溝口 徹先生 
ビタミンやミネラルなどの栄養素を最適に取り入れることで、病気の予防や治療を行うオーソモレキュラー療法専門のクリニックを2003年に開設。『【最新版】「脳の栄養不足」が老化を早める! 60歳からの「老けない体」に変わる食習慣』(青春出版社)ほか著書多数。
「私たちの体内にウイルスや細菌が入ると、好中球などの白血球系が取り込みますが、殺すためには抗菌たんぱくが必要。遺伝子の指示を受けてたんぱくが作られるのですが、そのスイッチを押すのがビタミンDなのです」(溝口先生)。がんに対してや皮膚の健康、インスリンの分泌などにもかかわることが次々に判明。
「脳のトラブルについても、脳に炎症を起こす物質をブロックするたんぱくを作れと、指令を出しているのがビタミンDであることもわかってきています」(溝口先生)
(次回へ続く。)