日常から備える“快うん防災”
石川県小松市に拠点を置く榊原先生は、2024年元日に発生した能登半島地震の被災地でも排便ケアの支援を続けています。そして、「皆さんが各自で、さらには地域全体で“快うん防災”の体制を整えてほしい」と話します。
地震や水害、火事などで被災すると、食事や睡眠の習慣を保つことができず、ストレスも大きくなり、断水などでトイレ事情も変わります。「もともと便秘だった人が避難所に入ってますます排便できなくなり、腹痛を起こして救急車で病院に運ばれるケースもあります」と榊原先生。自身も避難所を訪問した際、ケアに走り回っていたこともあってトイレに行く回数が大幅に減ったとのこと。「被災地では被災者も救護者も排せつのタイミングを逸したり、トイレに行きづらく感じたりします。在宅避難も予想して、尿や便を固められる市販の防災用トイレを常備してください。そして、その防災用トイレを平時に一度試しておくと、被災時に急に便意を催したときに安心です」。
榊原先生は災害に備え、外出時に持ち歩く帰宅支援ポーチを作っているそうです。中身は、充電器、モバイルバッテリー、眼鏡、コンタクトレンズ、ビニール袋、防寒シート、ウェットティッシュ、マスク、LEDライト、絆創膏、常備薬、笛、大切な人の連絡先、小銭、羊羹や飴などの食品、そしてもちろん携帯トイレです。さらに、「腸を整える乳酸菌などのサプリメントも準備しておくことをおすすめします」。
「最大の備えは、ふだんから気持ちよく排便できるようにしておくこと。それこそが“快うん防災”の肝」と榊原先生は強調します。なお、虫歯や歯周病、嚥下障害、便秘や下痢、痔など排便に関連する消化管の病気や症状は、病状が軽いとしても、被災すると治療が難しくなり、悪化することがあるので、早期発見・早期治療が重要です。
病気や薬が原因で便秘や下痢になることも
便通には、生活習慣以外にもさまざまな要素が関係します。
例えば、女性ホルモンの影響です。月経前に便秘しやすくなる人がいますし、更年期には女性ホルモンの減少や自律神経の乱れで便秘や下痢に悩む人もいます。
また、糖尿病や甲状腺機能低下症、うつ病などの病気は便秘の原因になります。薬によって便秘や下痢が起こることもあり、「尿失禁やパーキンソン病などで使われる抗コリン薬、抗精神病薬、喘息のための気管支拡張薬、鉄剤などはその副作用で便秘しやすくなります。便秘や下痢を軽視せずに医師や薬剤師に相談してください」。
なお、便に血が混じっている、黒っぽい便が続く、排便に腹痛を伴うことを繰り返す、便が漏れてしまうといった場合はすぐに診察を受けます。
●うんこ文化センターおまかせうんチッチブリストル便性状スケールが記載されている「わたしのうんちカレンダー」や「うんちの日記通年バージョン」などをダウンロードできる。便通に関連する個人の相談も受け付けている。
●POOPOOLAND【便秘に効く!?】お腹のマッサージ方法教えます榊原先生がおなかのマッサージを指導している動画。わかりやすい説明で、すぐに実践できる。
●小松市役所【プレコンセプションケア】腸内環境を整えよう【榊原 千秋 助産師】小松市役所は、女性やカップルが将来の妊娠・出産を想定して自身の健康と向き合う“プレコンセプションケア”に力を入れている。榊原先生が担当する腸内環境の解説では、年齢を問わず役に立つ情報がコンパクトにまとめられている。
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