知っておきたい女性のからだと健康 第4回(2)ふだん話題にすることが少ない便や排便習慣のこと。排便ケアを専門とし、また多くの専門家を育てている保健師の榊原千秋先生は、「便は食べ物や運動など日常の生活が反映される“生活の答え合わせ”」と話します。榊原先生に便のよしあしの見分け方、よい排便習慣のつけ方について伺います。
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「よい排便習慣」
[お話を伺った方]
合同会社プラスぽぽぽ うんこ文化センターおまかせうんチッチ代表
一般社団法人 日本うんこ文化学会代表理事
榊原千秋先生
さかきばら・ちあき 保健師、助産師、看護師。金沢大学大学院医学系研究科にて博士号を取得(保健学博士)。在宅介護支援センター、金沢大学教員等を経て、2015年に設立した合同会社「プラスぽぽぽ」の事業として医療者向けのPOOマスター養成研修会などを実施。経営する訪問看護ステーション、訪問介護ステーション、居宅介護支援事業所、ホームホスピスでは気持ちよく出す排泄ケアを実践する。
便は、体からの大事な“お便り”。排便のたびにチェックして生活を見直し、よい排便習慣をつけましょう
副交感神経が優位になるリラックスできる時間を持つ
榊原先生に教えていただいた、よい排便習慣は下のとおり。性別や年齢を問わず、実行したいことばかりです。
よい排便習慣をつけるために
【快便に導くコツを知る】●便意を感じたら、すぐにトイレに行く(便意を我慢すると直腸で水分が吸収されて、便が硬くなりやすい)。
●前かがみで、ロダンの彫刻“考える人”のポーズをとると直腸が垂直になると同時に息みやすい。
●便座が高くて足が浮く場合は踏み台を置く(足が浮くと息みにくい)。便座が大きくておしりが沈む場合は小さい便座を追加する(おしりが沈むと骨盤底筋が働きにくく、肛門に力がかかって排便しにくくなる)。
●便意を感じるのに出にくいときには、左側の腸骨の内側(下行結腸にあたる部分)を肛門側に向かって押さえる。会陰部(肛門と腟の間)を押してもよい。
●長時間、息みすぎない(息みすぎると肛門のうっ血や脱肛を招く)。
【排便後に大事なポイントも知っておく】●温水洗浄便座の温水は温度を低めにし、弱い水流で短い時間で洗う(残便感があるときも同様。当てすぎると粘膜が乾燥したり、傷ついたりする)。
●女性は前から後ろに拭く(腟や外陰部に細菌をつけないようにするため)。
●便の形状や色を観察する。大腸がんや痔の兆候を示す鮮血便や黒っぽい便になっていないかを見る。
●カレンダーやアプリを使って排便記録をつける。
【食事で腸の状態を整える】●腸内細菌である乳酸菌やビフィズス菌、酪酸菌、これらの菌のエサとなるとオリゴ糖、食物繊維を十分に摂る。
●便の材料になり、便の硬さに影響する水分や油分を適量摂る。
●毎日の食事の時間を一定にする。
【副交感神経が優位になる状況を作る】●おなか、特におへその下あたりをカイロや湯たんぽで温める。腹巻きもよい。
●便が形成される方向に沿って、おなかの右下から上、左下に向かってマッサージをする。
●睡眠不足にならないようにする。
●全身のストレッチをする。
【腸の動きをよくし、排便に使う筋肉を鍛える】●ウォーキングなど下半身を動かして腸を刺激する。
●骨盤底筋トレーニングをする。
【トイレを快適に整える】●好きな小物を置くなど、トイレをリラックスできる場所にする。
●トイレや通路を快適な温度に保つ。
ストレスでおなかが痛くなるというような緊急事態を除いて、通常、便意は自律神経のうち副交感神経が優位になっているときに感じます。「“朝は身支度であわただしくて落ち着かないから外出先で”“晩ご飯の後にゆっくりと”など、一人でリラックスできる時間を持ってください」
なお、便意を我慢すると直腸で水分が吸収されて便が硬くなり、出しにくくなるそうです。
便秘対策としては下剤や坐薬、浣腸もありますが、できれば自力で気持ちよく出したいものです。
「下剤には多くの種類があります。そのうち、市販薬は大きく分けて、便を軟らかくする緩下剤と腸を動かす刺激性下剤の2つです。刺激性下剤は使わないと排便できなくなったり、耐性ができて効果が落ちたりするため、常用は避けてください」