国内
2021/02/22
安心・安全なくつろぎを求めて プライベートを楽しむ極上の宿 第1回(全11回) 国内外を自由に旅することがままならなくなった今、真のリラックスを求めて、旅先の宿を選ぶ基準は大きく変化しています。1日1組もしくは数組の小さな宿、離れや独立したコテージが充実した宿を日本全国で探しました。小さな宿ゆえにそれぞれのコンセプトが明快な個性派揃い。厳選の10軒にご案内します。
造園家としてアーティストのキャリアをスタートさせたケース・オーウェンス。アトリエ前の庭はもちろん氏によるデザインだ。オブジェが立ち並ぶ庭では、ホテルのシェフが腕をふるうバーベキューをはじめ、サンセットを眺めながらの食前酒など、ゲストのリクエストに応じた食事が楽しめる。
独特の色彩に満ちたオーウェンスの作品を鑑賞しながら過ごす贅沢。朝食はエレガントなディナーとは一転、揚げたてのじゃこ天や卵焼きなど、地元の家庭的な味が並ぶ。
松山空港から車でおよそ1時間。茶畑や田んぼが続くのどかな里山の風景の中、静謐な石造りの建物が木々の間からそっと顔を出します。
鉄の門を開けるとアート作品が点在するなだらかなガーデンが広がり、小さな丘の上には白い館が。まるでアーティストのお屋敷に招かれたみたい……、そんな思いにとらわれるのも無理はありません。
さながらプライベートな美術館を思わせるホテルのリビング。到着したら、まずオーナーの右腕であるスタッフが点てるお茶で一服。
ここはこの地を愛したオランダ人アーティスト、ケース・オーウェンスのアトリエだったところ。1990年代後半に建てられ、オーウェンスが日本を離れるまでの25年間、制作活動に励んでいたまさにその空間です。
凹凸のある鉄天井、石積みの壁、重厚な鉄の扉、そしてオーウェンスの作品やコレクションなどアトリエの個性は残しつつ、1日1組のホテル「アトリエ オーハウス」に生まれ変わったのは2020年初夏のこと。
心からくつろげる空間を作り出したい、とアートにも造詣の深いオーナー越智さんの思いから、世界に一つだけの宿が誕生しました。
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アトリエの風情を残した上質な空間© SEKAI BUNKA PUBLISHING INC. All rights reserved.
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