国内
2020/09/08
国宝・温泉・美味の宝庫「九州を愛す」 第12回(全19回) 諸外国との交流で生まれた独自の文化、火山が生み出す豊かな湯量の温泉、山海の恵み、四季折々の食材──。多様性に満ちた九州の魅力を、「国宝」「温泉」「お取り寄せの美味」をキーワードにしてご紹介します。前回の記事はこちら>>
豊かな自然に囲まれた温泉が楽しめる湯宿も、九州の魅力の一つ。日本随一の“温泉県”である大分県をはじめ、鹿児島、熊本、佐賀まで。美しい景色と美食も一緒に楽しめる選りすぐりの湯宿をご紹介します。
「五足のくつ」は陶石層の岩盤上に建つ。そこに湧く源泉を引いた、「ヴィラC」の部屋付き露天風呂。
湯の特徴:︎ナトリウム炭酸水素塩・塩化物泉(泉質)。無色透明で、肌触りはなめらか。下田温泉には肌の汚れや角質を落とす効果があり、入浴後の肌はむきたてのゆで卵のよう。
天草出身の料理長、岩本教生さんが腕をふるう夕食の一例。右・低温でじっくり火を入れた天草黒牛と赤うにを合わせた贅沢なひと皿。晩柑とそばだし、2つのジュレとわさびで。左・うちわ海老や水いかが入った海鮮サラダ。晩柑をジュレとドレッシングに使用。
天草・下田温泉郷のはずれ、陶石鉱脈が走る石山に建つこの宿は“16世紀の天草”をテーマにしています。この時代、天草ではコレジョ(神学校)で南蛮の文学や絵画、音楽が学ばれ、天正遺欧少年使節も足跡を残すなど南蛮文化が花開いた頃。
オーナーの山﨑さんが10年かけて構想した末に、教会建築を尊ぶ大工さんたちが「ヴィラC」の廊下などを一部手作業で建設。2020年、開業18年を迎えました。
「五足のくつ」の温泉は、700有余年の歴史を誇る下田温泉。大浴場はなく、すべての客室に露天風呂がついているため、好きなときに入浴できます。
食事は一級品の海の幸に天草黒牛やロザリオポーク、地鶏の天草大王などが取り揃えられ、天草をはじめ近郊で製作された陶磁器にセンスよく盛りつけられます。
天草の風土、文化のエッセンスを堪能できる宿です。
●温泉、料理、客室など、館内の動画はこちら>>
客室エリア「ヴィラC」は、全5棟が離れ。すべてワンルームタイプの洋室で、海に面した開放的な造りになっている。
石山離宮 五足のくつ(いしやまりきゅう ごそくのくつ)
熊本県天草市天草町下田北2237
TEL:0969(45)3633
URL:https://rikyu5.jp/
1泊1名2万7650円~(消費税・入湯税150円込み)。IN15時/OUT11時 全15室
ご紹介した「ヴィラC」は1泊1名4万8550円~(税込み)。
04 中国から運んだ材で建てた黄檗(おうばく)様式の寺院「崇福寺」
05 滔々と流れる清流に手が届く野性味溢れる露天風呂「妙見石原荘」
06 山々を一望する天空の湯につかる「黒川温泉御処 月洸樹」
08 緑に囲まれた風情ある湯につかり、非日常に浸る「御宿 竹林亭」
10 雄大な響渓谷に抱かれる、癒やしの温泉「奥日田温泉 うめひびき」
11 森の中に佇む、静寂な露天風呂「星野リゾート 界 阿蘇」
12 天草陶石に育まれた歴史ある温泉「石山離宮 五足のくつ」
※今特集は、2016年3月号「国宝を観る」、2018年2月号「極上の湯宿を楽しむ」、2018年6月号「緑、眩しい九州へ」、2018年11月号「秋の国東半島へ」などを再録、再編集したものです。
※本特集内に表記している料金は1室2名利用時の1泊2食付き1名の最低料金です。時期や部屋により料金は変わります。別途サービス料、入湯税などがかかる場合があります。INはチェックイン、OUTはチェックアウト時間です。時期により料理内容が変更になる場合があります。
撮影/大泉省吾
『家庭画報』2020年9月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。
© SEKAI BUNKA PUBLISHING INC. All rights reserved.
Loading