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京のお正月料理、年迎えに欠かせない食べ物の意味や由緒をご存知ですか?

1月
年末年始の風物詩

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京都のお正月料理である白味噌雑煮

京都のお正月に欠かせない食べ物

(特派員:西村晶子)

京都には、華やかで晴れ晴れとしたハレ(晴)の料理と、日常を表すケ(褻)の料理があります。

日々を大事に暮らすことでハレの料理が特別なものとなり、春夏秋冬をくり返す中で、その最たるものとなったのがおせちです。 年迎えの形はだんだん簡略化されてきているようですが、それでもこれなくして新年は迎えられない、毎年繰り返す料理があります。

白の食材でととのえた、まったりとした「白味噌雑煮」

お雑煮はお正月に欠かせない料理ですが、京都ではほとんどの家が「白味噌雑煮」です。

白味噌に丸餅、頭芋(えび芋の親芋)、子芋、大根とすべてが白いお雑煮で、家によってはこれに金時人参が加わります。

旧家では、頭芋は家長と跡継ぎとなる長男、そのほかの家族は子芋が入ったお雑煮で、かつお節を天盛りにして食べます。

以前、ある老舗のご主人より、子供の時にこぶし大の頭芋を食べきるまで他の料理を食べさせてもらえず、つらかった、という話を聞いたことがあります。それほど特別な食事だったのですね。

2日目や3日目にはすましの雑煮にする家もありますが、まずはまったりとした白味噌雑煮で新年を迎えます。

一年の邪気を払う「大福茶」

お雑煮を食べる前に、元旦には「大福茶(おおぶくちゃ)」が用意されます。

一年の邪気を払い、新年を祝うために飲むお茶で、梅干しや昆布にお茶を注いで飲みます。

平安時代、疫病が流行った時にある僧侶が病人にお茶を施すと回復したことから、それにあやかって服されるようになり、今に至っているのだとか。

京都では12月になるといろいろな茶舗で販売されており、最近は観光客や外国の方が購入する姿も見かけます。

おせちに欠かせない祝いの料理「棒鱈」

おせちを、料理屋さんや百貨店で買い求める人が増えていますが、京都で昔から決まって食べられてきたのが「棒鱈」です。

鱈を干した乾物で、1週間ほど水にひたして柔らかくもどし、しっかりゆでて匂いを抜いて中まで味が染みるまでじっくり煮ます。この間、家の中は棒鱈独特の匂いが漂います。

棒鱈 鱈の干物

棒鱈の煮物

本来、行事食は簡素にととのえられたものが多く、棒鱈は簡素な調理法をそのまま今に受け継いでいますね。

また、乾物は神様へのお供え物であり、祝いの料理。おせちには絶対になくてはならないものとされています。

宮中のお雑煮に由来する「はなびら餅」

料理にまつわる縁起はいろいろありますが、京都にはお菓子にも新年にちなんだものがあります。

そのひとつが「はなびら餅」です。

花びら餅

今では京都以外でも見かけますが、老舗のお菓子屋さんによるとはなびら餅は通称で、正式には「菱葩餅(ひしはなびらもち)」とのこと。

平安時代の新年の宮中行事「歯固めの儀式」の料理を簡略化したものが由来だといわれています。※諸説あります。

丸くのばした柔らかい餅で薄紅色の味噌餡とごぼうを挟み、2つに折った姿は古びることなく、新春を寿ぐ美しさがあります。

無病息災を願う「七草がゆ」「小豆がゆ」

お正月の料理には、願いや思いを込めたものが今も残っており、7日には無病息災を願って「七草がゆ」を、

七草がゆ

小正月と呼ばれる15日には柔らかく炊いた小豆とお餅を入れた「小豆がゆ」を食べて邪気を払い、健康を祈願します。

小豆がゆ

15日を境にハレからケの暮らしへ

15日を過ぎるとハレからケの暮らしに戻り、食事も日常的なものに。厳寒の中、節分、立春を迎え、春の訪れを心待ちにします。

西村晶子/Shoko Nishimura

京都の老舗から新店まで、食を取り巻く文化などを独自の目線で取材。20数年、『家庭画報』の京都企画を担当し、さまざまな記事を執筆。

写真/すべてPIXTA

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