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アレを食べないと、金沢人の年末年始は始まりません! 

1月
年末年始の風物詩


雪の兼六園。毎年年末年始は無料開園が行われる。写真提供/石川県観光連盟

(金沢特派員:直江磨美)
年末年始の金沢は、一年でもっとも美味なる料理が味わえる時季といえます。
冬に旬を迎える蟹、ぶり、たらなどの魚介が美味しいのはもちろんのこと、熟成された発酵食、また新年を迎えるにあたっての伝統菓子など、金沢という土地の「食」を語る上では欠かせないものがこれでもかと登場します。
12月からお正月にかけての金沢の食のシーンに注目しました。

蟹を始め、たくさんの魚介が並ぶ冬の近江町市場。写真提供/石川県観光連盟

雷鳴とどろく「ぶり起こし」が始まったら
ぶりシーズンの到来

12月に入ると猛烈な風雨が吹き荒れ、閃光すさまじく雷が鳴り響く日があります。
ちょうどこの頃、日本海を回遊している寒ぶりが捕れ始め、漁港が活気づくことから、このような雷鳴を北陸では、「ぶり起こし」と呼びます。

地元民にとっては、「ついに冬到来」と少し気が滅入ることもありますが、この荒れた天候は、食卓にぶり料理登場のサイン。脂ののったぶりをここぞとばかりに食します。


能登沖で捕れる寒ぶりの刺し身。縁起の良い出世魚として、験担ぎとしても登場する。写真提供/石川県観光連盟

金沢の歳末の風習にもぶりが関わってきます。
結婚した年に、妻側からぶりを丸ごと1尾婚ぎ先に贈る「ぶり歳暮」という風習があります。夫側の家でそれをさばき、半身を妻の実家に贈って返す「半身返し」を行います。

ちなみに私自身が結婚したときは、行わなかったのですが、兄が結婚した年は、お嫁さんの実家から「ぶり歳暮」をしていただきました。

もちろん、母が自分でさばけるわけがないので、必死で親戚のつてを頼り、事前に近江町市場の魚屋さんに予約をしておいて、到着日にさばいてもらいました。

てんやわんやの1日でしたが、そのぶりの刺し身の美味なること。1年目しか行わない風習ですので、結婚式のことを思い出したりして、心温かな気持ちで食すことができました。


年末年始の贈答品としても人気のかぶら寿司。最近は購入する人がほとんどだが、昔は、各家庭で漬け込むおふくろの味だった。写真提供/金沢市

そして、忘れてならないぶりを使った郷土料理といえば「かぶら寿司」です。
かぶらの間にぶりを挟み込み、麹で漬け込む発酵食で、食べ頃になったかぶら寿司は、かぶの白とピンク色をしたぶりの色合いも美しく、お正月料理には欠かせない一品です。寿司と想像して見ると「なんだ漬物」と思うかもしれませんが、ひと口食べれば、そのまろやかな旨みにきっと驚くはずです。

他にも、「巻鰤(まきぶり)」という能登に伝わる名産品で、ぶりに塩をまぶして、藁で巻いて保存した昔から伝わる保存食があります。かなり塩辛いのですが、日本酒に軽く浸してから食べたり、炙る、またパスタとの組み合わせも絶妙な塩加減でおすすめです。

ぶりしゃぶ、ぶり大根など、他にもぶりの食べ方はたくさん。ぶりがない年末年始は考えられないというぐらい、ぶりは金沢の生活や食文化に密着した存在です。


脂たっぷりの寒ぶりをしゃぶしゃぶで。

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