〔特集〕絶景と美食、非日常へと誘う 日本を旅する感動列車 世界でも類を見ない多様さと、ホスピタリティが息づいている日本の観光列車。家庭画報本誌では、乗車して初めて出合える「絶景・美食・おもてなし」を兼ね備えた列車を敬意とともに「感動列車」と命名。まだ見ぬ日本の美しさを再発見する旅へ鉄道写真家・櫻井 寛さんの解説とともにご案内します。
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移動レストランで忘れられない味に出合う
美食列車の秘密
名だたるシェフが手がける料理を、移りゆく窓の景色とともに楽しめる “美食列車”。沿線の食材をふんだんに用いた、その土地ならではの美味に出合えるのも魅力の一つです。車内でできたてのおいしさを届ける秘密は、シェフと列車の二人三脚の努力の結晶です。
美食に心ほどける
メープル材を多用した明るくクラシカルな雰囲気の「或る列車」1号車。春メニューの前菜「蛤と福岡県合馬たけのこの長崎県五島うどん」(2026年6月1日までの春のメニュー)はテーブルで温かいだしが注がれる。
櫻井memo「九州は食材の宝庫です。多種多彩な食材を生かしたコース料理を存分に味わっていただけます」とは、この列車の料理を監修する東京・南青山のレストラン「NARISAWA」のオーナーシェフ、成澤由浩氏。博多から由布院までのおよそ3時間、九州最高の食を満喫。
世界的シェフが九州食材で織りなすフルコース
或る列車
[博多駅(福岡県)← → 由布院駅(大分県)]
ステンドグラスに彩られた乗降口のドアから車内に一歩足を踏み入れると、煌びやかな美食の世界が広がる。「或る列車」プレミアムボトル入り梅酒など、車内限定販売商品も充実。
運行開始から今年(2026年)で11年目を迎える「或る列車」。供される料理を一貫して担当しているのが、レストラン「NARISAWA」の成澤由浩さんです。
成澤由浩さん(なりさわ・よしひろ)日本の里山にある豊かな食文化と先人の知恵を探求し、自身のフィルターを通して料理で表現する “イノヴェーティヴ里山キュイジーヌ” を確立。料理界のアカデミー賞と呼ばれる “ワールド50ベストレストラン” に2009年より継続的にランクイン中。写真/櫻井 寛
「このプロジェクトは準備に時間をかけ、運行開始の約2年前からスタートしました」と成澤シェフ。料理に使用する食材を自身が納得のいく九州産で揃えたいと、毎月のように九州に通い、生産者を訪ね歩きました。
「JR九州のスタッフのみなさんが私の考えを本質的に理解し、熱意をもって支えてくれています。九州をくまなく歩いてみて、本当にこの土地の底力を感じました。水がおいしく土もいいし、何より人が素晴らしい。合鴨農法で育てる小麦や無農薬のいちごなど、九州で出合って東京の店でも使わせてもらっている食材もたくさんあります」
冷たい前菜「熊本県桜鯛と春野菜のハーブゼリー、宮崎県キャビアと大分県サフランの香り」。
温かい前菜「蛤と福岡県合馬たけのこの長崎県五島うどん」。温かい料理は温かく、冷たい料理は冷たく、適切な温度でサービスされるのも嬉しい。器も成澤さんが作家を訪ねてオーダーしたオリジナル。料理は2026年6月1日までの春メニューより。
季節ごとに一年で4回メニューが変わりますが、これまで一度として同じ料理を出したことがないそう。リピーターが多いのもうなずけます。
「この食材を生み出した土地の風景を車窓から眺めながら、料理を味わう。とても贅沢なことだと思います」
メインの肉料理「鹿児島県黒毛和牛のクリームトマト煮込み、春野菜と宮崎県チーズのソース」。
メインスイーツ「福岡県あまおういちごの温かいクレープ、スミレの香りのヨーグルトダンジュとミルクアイス」。
夏メニューでは、奄美大島のマンゴーやパッションフルーツなど、旬の果物をふんだんに使った料理を予定。心躍るおもてなしをお楽しみに。
明治39(1906)年に完成したものの、活躍する機会がなかった豪華客車「九州鉄道ブリル客車」、通称「或る列車」を再現。写真/JR九州
或る列車
●運行日土曜・日曜・月曜を中心に1日1往復。運行日は月により異なる。午前便(博多駅10時58分頃発・由布院駅14時08分頃着)、午後便(由布院駅15時頃発・博多駅18時03分頃着)。
●運賃と購入方法3万8000円~5万円(片道乗車券、コース料理、フリードリンク代含む)。乗車日5日前までに要予約。或る列車公式ウェブサイトにて。
或る列車・36ぷらす3 お問い合わせ窓口
TEL:0570‒037‒500(10時~17時)火曜定休
URL:
https://www.jrkyushu-aruressha.jp/
(次回に続く。
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