〔特集〕新緑を楽しむ 初夏の絶景旅 新緑が眩しく、一年で最も美しい季節。この時期に訪れるにふさわしい自然に恵まれたエリアへ誘います。その土地の自然そのものを目的地とする「グリーンツーリズム」、新旧の芸術や建築、それらがもたらす地域活性化の足跡を辿る「アート・建築ツーリズム」、そして、大自然の中での体験に重きを置く「アドベンチャーツーリズム」――。自然の営みに深く没入し、体験を軸とする新しい旅のスタイルを紹介します。
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グリーン、アート・建築、体験・冒険型...... これが新しい旅のスタイル。
今、新しい旅のスタイルが広がっています。その共通項は、単に景勝地を回る観光ではなく、その土地ならではの文化に深く触れる没入型であること。
都心を離れ、自然豊かな農山魚村に滞在し、その土地の自然や文化を体感する「グリーンツーリズム」、全国各地で行われるようになったサイトスペシフィックな芸術祭に端を発する「アートツーリズム」や、新旧の建築を観光資源として街おこしをしようとする動きに乗じた「建築ツーリズム」、富裕層の間では世界的な潮流ともいわれる、大自然を生かした体験・冒険型の「アドベンチャーツーリズム」など ──。
夫婦で、親子で、友人同士で、あるいはお一人で。新緑が美しい行楽の季節。自然を満喫できる、気持ちのいい癒やしの絶景旅へご案内いたします。
大自然に没入する
体験・冒険型の旅(アドベンチャーツーリズム)へ
自然の中でアウトドアや文化体験を愉しむ “アドベンチャーツーリズム”。最近、グローバルな視点を持つリゾートを中心に、日本の魅力により深く触れることができる新しいアクティビティが充実し、世界的にも注目を集めています。
生誕130周年
宮沢賢治を感じる旅
小岩井農場で自然に触れる滞在を楽しむなら、奇しくもその創業と同時期に生まれ、誰よりも岩手の自然を愛し、作品に表した作家・宮沢賢治の足跡を訪ねてみてはいかがでしょうか。

「ぜひ、岩手では賢治童話を通して見る自然の姿を感じていただきたいと思います。それは、私たちが見ている自然の向こうにある、普段は見えない力を感じさせる世界です」。
そう語るのは、賢治の童話集で監修・解説を務める日本文学の研究者・小埜裕二(おの ゆうじ)さん。そんな賢治ワールドの原点を歩いて訪ねることができる場所を教えていただきました。
まずは、賢治の出身地である花巻にある「宮沢賢治記念館」からスタート。
「科学、芸術、宇宙、信仰、農業の5分野から賢治を紹介しています。意外な賢治像に触れ、それぞれの分野が作品に生かされていることを知ることができます」と学芸員の宮澤明裕さん。宮澤さんは、賢治の弟で最大の理解者でもあった清六の孫にあたります。
「花巻は空襲にあっており、作品の原稿は防空壕へ避難して守られましたが、愛用品のほとんどは罹災したため、遺品はごくわずか。貴重なのは「雨ニモマケズ」が書かれた手帳とチェロでしょう。チェロは、たまたま友人と交換していたことから奇跡的に空襲を逃れることができたため、当館の目玉となっています」
宮沢賢治記念館の近くには、「宮沢賢治童話村」や「宮沢賢治イーハトーブ館」があり、童話を通じて賢治が伝えたかった自然への敬意の一端に触れることができます。
[賢治を知る3つのスポット]
多彩なジャンルで賢治をひもとく
宮沢賢治記念館


2027年3月には、生誕130周年記念に賢治が遺したチェロと妹・トシ愛用のヴァイオリンで弦楽四重奏のコンサートを予定。
賢治童話の世界に浸る
宮沢賢治童話村


散策路が設けられているので、新緑に目を休ませても。
賢治研究の発信地
宮沢賢治イーハトーブ館


賢治にまつわる資料が充実したライブラリーが併設されている。
花巻では賢治の産湯に使われた井戸や、「本統の百姓」を目指して退職後に暮らした家「羅須地人協会」、お気に入りの散策地の一つであった「イギリス海岸」も必見。賢治はイギリス海岸でクルミの化石の発見もしています。遠くには30回以上も登り、野宿もしたという岩手山も望めます。
[賢治を感じる絶景スポット]
賢治の産湯をくみ上げた井戸
宮沢賢治産湯の井戸(岩手・花巻)
賢治の母イチの実家にあり見学可能。家や蔵もそのまま残り、賢治が生活していた当時の風情が感じられる。
※公開期間に限らず、敷地を管理する「株式会社宮澤商店」の営業時間内であれば見学が可能
賢治先生の家
羅須地人協会(らすちじんきょうかい)(岩手・花巻)
賢治が独居自耕した家で、農民たちへ技術や芸術論を教える私塾も兼ねた。花巻農業高校の敷地内に移築復元。
賢治が名づけた国指定名勝
イギリス海岸(岩手・花巻)
英国ドーバー海峡の白亜の海岸を連想させた、北上川西岸のこと。「銀河鉄道の夜」のプリオシン海岸のモデル。写真/otamoto17〈ピクスタ〉