歴史ある寺に春を告げる樹齢160年の桜
浄教寺てまり桜(ジョウキョウジテマリザクラ 富山県・小矢部市)

推定樹齢160年の「浄教寺てまり桜」。2025年4月22日。

調査研究の結果、「浄教寺てまり桜」は、純粋なヤマザクラが菊咲きになったものと判明。そうした菊桜は「浄教寺てまり桜」を含め3種類しか確認されていないのだそう。また、花の中心から花が現れる「段咲き」である点も珍しい。
浄教寺の山門は二層になった珍しい建造物。普段は静かな古寺が、桜の季節には大勢の観光客で賑わう。近隣に同じ名前のお寺があるので、お出かけの際はご注意を。
北陸自動車道小矢部インターチェンジから車で約8分、浄教寺は山間の静かな集落にあります。もとは真言宗の寺でしたが、開祖である了空が1474(文明6)年に蓮如上人の弟子となり、浄土真宗本願寺派に帰依しました。現在は18代住職である立川証(たちかわさとし)さんが守っています。
お寺には桜に関する記録がなく、品種も知られていませんでしたが、樹木に関心の高い信徒の働きかけにより、富山県中央植物園が調査研究を実施。2009年に新品種と認定されました。名称は、花弁が手毬のような形になることから、住職が命名したのだそう。
「子どもの頃は木登りをしたり、枝を折ったりしましたが、貴重な桜だとわかり、今は大切にしています」と語る住職は、毎年、開花の時期には連日、X(@supersat5)で桜の写真を投稿。お花見希望の人は、ぜひご参考に。
●富山県小矢部市興法寺2443
問い合わせ
TEL:0766(61)3612(浄教寺)
例年の見頃/4月中旬~下旬
600枚近い花びらの数は日本一!
飯川のヒヨドリザクラ(イガワノヒヨドリザクラ 石川県・七尾市)

個人宅の庭で、のびのびと枝を伸ばし、花を咲かせている「飯川のヒヨドリザクラ」。1972年に石川県指定天然記念物になった。2025年4月25日撮影。

さくらんぼのようにも見える花の付き方も愛らしい。花の中から花が現れる「段咲き」の桜で、写真の中心部の色が濃いのは、開く前の花びらが密集しているため。満開の時期、中の花が開くと、花全体が薄いピンク色のポンポンのようになる。おうちの方によると、花が終わる頃は、「3つ、4つの桜が枝ごと落ちる」のだそう。
「飯川のヒヨドリザクラ」が元気に根を張っているのは、七尾市の閑静な住宅地の一角にある民家の庭。ヒヨドリザクラはもともと金沢市で見つかった桜でしたが、一度はこの世から消えたと思われていたそうで、1969年に現在の地で「再発見」されました。
桜のあるお宅で生まれ育った方に話を伺ったところ、「小学生のときまではただの変わった桜で、花が咲くと、枝を学校に持っていって、教室や職員室に飾ったりしていたんです。あるとき、大叔父が『変わっているから調べてもらおう』といって金沢大学に持ち込んだところ、珍しい品種だと判明しました。調べてくださった先生によると、古い木のほうが花びらが多いそうです」と教えてくれました。
石川県が設置した案内板には「花弁が450枚と日本のサクラのなかでは最高値」とありますが、2015年には565枚の花が確認されたそう。なお、この貴重な桜は無事増殖に成功し、現在は石川県庁や富山県中央植物園などでも見ることができます。
●石川県七尾市
例年の見頃/4月下旬~5月上旬
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