〔特集〕次世代に伝え継ぎたい 桜絶景を求めて 日本が世界に誇るべき「美しい桜の風景」は、そのどれもがそれを守ろうとする人々の確かな意志によって支えられています。将来の日本人の美意識のために次世代に伝え継ぎたい桜絶景はどこか。長年、桜名所や桜を守る人々を取材してきた家庭画報本誌が、現在の手入れ・管理状況なども踏まえつつ、改めて桜の専門家とともに「新・桜100景」として厳選し紹介します。
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[特別寄稿]桜と日本人の心
桜に託された日本人の美意識をアートに昇華
── 蜷川実花(アーティスト)
毎年、桜の季節は日本中を飛び回って、ひたすら桜を撮り続けています。同じ場所の桜を撮っていても、その年の自分の状況で感じ方が変わりますし、その時の感情が投影されるので毎年違う写真になる。まるでセルフポートレートを撮っているような、自分の中を旅するような感覚になります。
そんな中でも圧倒的に美しいと思うのが弘前公園です。「いつか見てみたい」と長年憧れていた桜で、2022年に初めて訪れて以来、毎年通い続けています。何度見てもやっぱりすごい。桜のタイミングに合わせて訪れるのは大変ですが、毎年桜前線とにらめっこしながら、死ぬ気でスケジュールを確保しています。
弘前公園は「花筏(はないかだ)」がユニークなのはもちろんですが、チーム桜守の皆さんがすばらしい。りんご農家の知恵から生まれた弘前独自の管理方法を取り入れ、代々受け継がれているんですよね。人と植物のかかわり方を改めて考えさせられます。植物について考えるとき、どうしても手つかずの自然にフォーカスされがちですが、人の力で守られて、大切にされて、共に歩んできた桜の歴史も感じられる特別な場所です。(写真・文/蜷川実花)
弘前公園(青森県・弘前市)
満開の桜が散り始め、水面を花びらが埋め尽くす「花筏」。公園内には約50種、2600本の桜が植えられている。
●青森県弘前市下白銀町1 TEL:0172(33)8739(弘前市公園緑地課) 例年の見頃/4月中旬~5月上旬
©mika ninagawa, Courtesy of Tomio Koyama Gallery
蜷川実花( にながわ・みか)写真家、映画監督、現代美術家。写真を中心として、映画、映像、空間インスタレーションも多く手掛ける。クリエイティブチーム「EiM(エイム)」の一員としても活動中。木村伊兵衛写真賞ほか受賞多数。2026年3月20日より、北野天満宮にてダンスカンパニー「DAZZLE」とともにイマーシブシアター『花宵の大茶会』を上演。
(次回に続く。
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