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日本の桜絶景【後編】写真家・野呂希一さん、樹木医・藤原隆之さん、樹木医・和田博幸さん

2026.03.25

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〔特集〕次世代に伝え継ぎたい 桜絶景を求めて 日本が世界に誇るべき「美しい桜の風景」は、そのどれもがそれを守ろうとする人々の確かな意志によって支えられています。将来の日本人の美意識のために次世代に伝え継ぎたい桜絶景はどこか。長年、桜名所や桜を守る人々を取材してきた家庭画報本誌が、現在の手入れ・管理状況なども踏まえつつ、改めて桜の専門家とともに「新・桜100景」として厳選し紹介します。

特集「桜絶景を求めて」の記事一覧はこちら>>>

家庭画報と識者で考える
次世代に伝え継ぎたい、日本の桜絶景

桜は弥生時代から神が宿る木として愛されてきました。識者が教える、とっておきの桜絶景をご案内します。

野呂希一(写真家)

次世代に伝え継ぎたい桜絶景

青森県弘前市の弘前公園

人生で最も感動した桜絶景。想い出の詰まった桜絶景

宮城県大河原町・柴田町の白石川堤に咲く一目千本桜

白石川堤 (宮城県)

※写真の韮神堰(にらがみぜき)は現在工事中のため立入禁止。写真/野呂希一

震災直後、堤はところどころ崩れていましたが、桜は健気に咲き誇っていました。まだまだ災害の渦中で学校の入学式もままならない状況の中、学生たちが集合写真を撮っている光景をふと目にしました。きっと学生たちにとって一生忘れられないアルバムになったと思います。この桜の光景は、私にとって最も思い出深いものです。── 野呂希一さん

●宮城県柴田郡大河原町
TEL/0224(53)2659(大河原町商工観光課)
例年の見頃/4月上旬~中旬

福島県川俣町の秋山の駒桜(女神山の駒桜、小長石の駒桜とも)。東北の桜を撮影するときは、いつも立ち寄る樹形の美しい桜です。桑畑などが広がるのどかな傾斜地に堂々と立つ、樹齢500年以上の江戸彼岸。

通常は花見客で賑わいますが、2011年の震災の春は満開になっても人影はありませんでした。原発事故の避難エリアの少し外にある場所ですが、半日いても花見客は誰もいませんでした。いや、一人だけ……すぐ近くの家のお婆さんが話しかけてきました。「今年は誰も来てくれない……」と寂しそうに。夕方近くになると雨は雪に変わり、とりあえずその日は退散。翌朝に再び訪れると、一面雪景色。こんなにも寂しく、切ない花見は初めてでした。

桜を大切に守り伝えようとする桜守、組織、スポットとして、評価しているところ

北海道南部の松前町・松前公園

松前公園

写真/野呂希一

●北海道松前郡松前町松城303
TEL/0139(42)2640(松前町役場産業振興課 商工観光係)
例年の見頃/4月下旬~5月上旬

藤原隆之(樹木医)

次世代に伝え継ぎたい桜絶景

瀬戸内海から日本海までの約170キロの河川沿い(武庫川~篠山川~加古川上流~円山川)に約5万本の桜が咲くふるさと桜づつみ回廊。兵庫県丹波市氷上町の加古川沿いには、約5キロにわたり約1000本の桜並木が続き、のどかな田園風景の中で時を忘れる美しさです。

滋賀県高島市の琵琶湖西縦貫道路沿いには、江戸彼岸の一本桜(和平桜)があります。訪れる人は少ないものの、地域の人々に大切に守られ、いつも静かに佇んでいます。

人生で最も感動した桜絶景。想い出の詰まった桜絶景

北海道森町のオニウシ公園は道南屈指の桜の名所で、道の駅YOU・遊・もりから望む駒ヶ岳を背景とした桜の森は圧巻です。

個人的な思い出の桜は、仙丈ケ岳の雲居桜。タカネザクラの矮小種として南アルプスにのみ自生します。森林限界付近でハイマツに混じって生息しており、日本の桜属中、最も高所に生きる桜です。まさに「alpine」にふさわしい、南アルプスの短い春を彩る桜です。

桜を大切に守り伝えようとする桜守、組織、スポットとして、評価しているところ

公益財団法人日本花の会

公益財団法人日本花の会 結城農場

撮影/大泉省吾

●茨城県結城市田間2217
TEL/0296(35)0235

和田博幸(樹木医)

次世代に伝え継ぎたい桜絶景

長野県伊那市の高遠城址公園。高遠城跡が荒廃するのを憂いて、1876年に元高遠藩士が桜ノ馬場近くにあった桜を植えたとされます。桜は高遠小彼岸という旧高遠町由来の希少品種で、現在は城址に約1500本が育っています。

高遠城址公園

公園に近い五郎山の白山観音付近から眺めると、そのスケールの大きさ、華やかさに目を奪われる。写真/Fumito Shibasaki〈Donna〉

●長野県伊那市高遠町東高遠
TEL/0265(94)2556(伊那市役所)
例年の見頃/4月上旬~中旬

東京都大島町・三原山の大島桜。伊豆大島には島内全域に大島桜が野生し、3月下旬に三原山の山腹から海岸線まで、これらが一斉に咲きます。数万本はあろう野生の大島桜が織りなす景観は、ほかでは見られない絶景です。

茨城県日立市の大島桜。明治後期、日立鉱山の開山で煙害により山の樹木や畑が被害を受け、多くの緑を失いました。煙害対策として大煙突を設置し、復興のため伊豆大島から大島桜の種子を取り寄せ苗木を作り、荒れた山に植えて緑を取り戻しました。

東京都千代田区の都の桜。皇居周辺の桜はすべて明治以降に植えられました。千鳥ヶ淵の染井吉野は木戸孝允が植栽を奨励したのが始まりですが、震災や戦火で当時の木は失われました。戦後、初代千代田区長・村瀬 清が内堀周辺に染井吉野を植え、以降も継続して植栽されました。現在、皇居周辺は世界がうらやむほどの一大桜植栽地となり、江戸城の景観に桜と都心のビル群が加わった近代の “都の桜” を楽しめます。

山梨県北杜市の山高神代桜。日本武尊が東国遠征のおりに植樹されたと伝えられる江戸彼岸の巨木で、實相寺の境内にあります。樹齢1800年とも2000年ともいわれ、1922年に国の天然記念物に指定されました。

人生で最も感動した桜絶景。想い出の詰まった桜絶景

長野県小布施町の千曲川堤防沿いの桜堤。1993年頃から八重桜「一葉」を植栽した全長約4キロ・600本の桜堤。上信越自動車道と千曲川堤防に挟まれた窪地を埋め立てて整備され、私は基本設計と管理指導に関わりました。

神奈川県座間市の相模が丘仲よし小道 さくら百華の道は、1953~56年に地域住民が染井吉野を植えたのが始まり。宅地化で用水路が不要になり緑道化され、「仲よし小道」「さくら道」と呼ばれる桜並木に。成長しすぎた桜は日照不足や落葉、倒木の危険などの問題で「桜公害」と呼ばれる状況になりました。2012年より再植栽工事が行われ、2016年に64品種218本の「さくら百華の道」として完成しました。

桜を大切に守り伝えようとする桜守、組織、スポットとして、評価しているところ

上で紹介したさくら百華の道は、現在はNPO法人「さくら百華の道」が管理を担当。前身のさくら保存会から続く地域住民の地道な努力により、今日の桜並木が維持されています。

(次回に続く。この特集の記事一覧はこちらから>>

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