〔特集〕次世代に伝え継ぎたい 桜絶景を求めて 日本が世界に誇るべき「美しい桜の風景」は、そのどれもがそれを守ろうとする人々の確かな意志によって支えられています。将来の日本人の美意識のために次世代に伝え継ぎたい桜絶景はどこか。長年、桜名所や桜を守る人々を取材してきた家庭画報本誌が、現在の手入れ・管理状況なども踏まえつつ、改めて桜の専門家とともに「新・桜100景」として厳選し紹介します。
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家庭画報と識者で考える
次世代に伝え継ぎたい、日本の桜絶景
桜は弥生時代から神が宿る木として愛されてきました。識者が教える、とっておきの桜絶景をご案内します。
千住 博(日本画家)
次世代に伝え継ぎたい桜絶景
鹿児島県南九州市に咲く
知覧の桜。2013年、三枝成彰氏作曲のオペラ『KAMIKAZE-神風-』の舞台美術を担当した際、三枝さんと共に知覧へ桜の取材に赴きました。そこで目にした桜の若々しい姿に、深く胸を打たれました。かつて特攻隊の出撃地であったこの地で咲く桜を見ると、若くして散っていった特攻隊員たちの姿と重なり、胸に迫るものがあります。
知覧平和公園知覧特攻平和会館へと続く桜並木。約600本の桜が園内を彩る。写真/(c)Ryo Saigou/a.collectionRF/amanaimages
●鹿児島県南九州市知覧町郡17880付近
TEL/0993(83)2511(南九州市商工観光課)
例年の見頃/3月下旬~4月上旬
人生で最も感動した桜絶景。想い出の詰まった桜絶景
ワシントンDCポトマック川沿いの桜並木。私の作品が2026年4月よりワシントンスミソニアン国立アジア美術館で展示されます。その準備で数年前にワシントンを訪ねた際、この桜に強く勇気づけられました。
桜を大切に守り伝えようとする桜守、組織、スポットとして、評価しているところ
オレゴン州ポートランド日本庭園は、日本の庭師たちが異なる風土の中で完璧に日本の雰囲気を表現しており、感銘を受けました。隈 研吾氏設計の現代建築の空間にも日本の気配が感じられ、印象に残っています。
鶴田 誠(樹木医)
次世代に伝え継ぎたい桜絶景
岩手県盛岡市の
米内浄水場に咲く
八重紅枝垂の8本の大木。開花期の5月上旬に赤い花を垂れ下げ、緑の地面や青空に美しく映えます。浄水場は1934年完成で、近くの山から移植された苗が植えられたため、樹齢はおよそ100年です。
北海道別海町の
野付小学校に咲く
千島桜。校庭に1本だけ植えられた千島桜(樹高6.5メートル、樹冠周囲50メートル)は、1906年に当時の小学生が国後島から運んだものとされ、樹齢120年以上。管理が行き届き、樹勢も花つきも良好です。
北海道浦河町の
優駿さくらロード。3キロにわたり、蝦夷山桜( 大山桜)を中心に1000本以上の桜並木が続きます。赤みの強い花が青空や緑の牧草に映える景色は、本州では味わえません。地元の人から「蝦夷山桜のトンネル」と呼ばれ、愛されています。
山口県防府市の
向島小学校校庭に咲く
蓬莱桜(ほうらいざくら)。従来、向島の寒桜と呼ばれていた桜は、DNA鑑定の結果山桜と寒緋桜(かんひざくら)の種間雑種と判明し、平成30年に「蓬莱桜」として日本花の会に園芸品種として認定されました。
兵庫県神河町の
かみかわ 桜の山 桜華園。寒桜から遅咲きの里桜まで多彩な品種が揃い、約1000本の桜が山の斜面に植えられています。10月頃から咲き始める十月桜を皮切りに、春先は寒桜や寒緋桜、4月になると小松乙女、神代曙。そして一番本数が多い思川をはじめ、英国帰りの太白、北海道松前生まれの紅豊、黄緑色の鬱金、大輪の花笠など、スター揃いです。
兵庫県養父(やぶ)市にある
樽見の大桜。地元の人々が仙桜(仙人の桜)と呼び、神が宿る木として大切にされてきました。
岡山県津山市の
鶴山(かくざん)公園(津山城址)。日本100名城・さくら名所100選に選ばれ、古くから染井吉野を中心に桜が植えられています。近年は神代曙が約100本も加わり、いっそう美しくなっています。
兵庫県上郡町の
かみごおり さくら園。5ヘクタールに10品種1200本が植えられ、小松乙女、思川、神代曙が同時に咲くと全山が満開に。東に800メートルの上郡中学校付近からの眺めが特に美しいです。
桜を大切に守り伝えようとする桜守、組織、スポットとして、評価しているところ
高知県室戸市の
室戸広域公園。2004年に26品種1630本が植栽され、その後面積を拡大して総計1734本に。管理は「むろと2000本桜の会」が担当し、毎月第1日曜の「桜の日」に草刈りや剪定を行っています。漁師町で人気の大漁桜に加え、4月上旬に咲く八重紅大島も花つきよく見事です。
福岡市の
舞鶴公園(福岡城跡)。染井吉野、陽光、関山など約1000本の桜が植えられ、様々な品種が楽しめます。花つきがよくなるよう、定期的に福岡県樹木医会が枝抜き剪定や土壌改良を行っています。美しい桜を維持するには、継続的な管理が欠かせません。
舞鶴公園(福岡城跡)福岡城さくらまつりの期間、夜になると桜がライトアップされる。写真/まちゃー(ピクスタ)
●福岡市中央区城内1
TEL/092(781 )2153
例年の見頃/3月下旬~4月上旬
中島千波(日本画家)
次世代に伝え継ぎたい桜絶景
岡山県真庭市の
醍醐桜(だいござくら)。丘の頂上に厳然と咲きほこっている様が美しい。
醍醐桜鎌倉時代に後醍醐天皇も愛したと伝わる、樹齢約1000年とされる一本桜。写真/森田敏隆
●岡山県真庭市別所2277
TEL/0867(52)1111(真庭市落合振興局)
例年の見頃/3月下旬~4月上旬
人生で最も感動した桜絶景。想い出の詰まった桜絶景
岐阜県本巣市の
根尾谷淡墨桜。
桜を大切に守り伝えようとする桜守、組織、スポットとして、評価しているところ
佐野藤右衛門氏。
佐野藤右衛門邸庭園(京都市・山越)写真/本誌・坂本正行
●京都市右京区山越中町13
例年の見頃/3月下旬~4月中旬頃
*桜の開花時期には無料で開放。個人宅のためマナーに注意のこと。
(次回に続く。
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