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日本の桜絶景【前編】樹木学者・勝木俊雄さん、映画監督・河瀬直美さん、写真家・櫻井 寛さん

2026.03.23

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〔特集〕次世代に伝え継ぎたい 桜絶景を求めて 日本が世界に誇るべき「美しい桜の風景」は、そのどれもがそれを守ろうとする人々の確かな意志によって支えられています。将来の日本人の美意識のために次世代に伝え継ぎたい桜絶景はどこか。長年、桜名所や桜を守る人々を取材してきた家庭画報本誌が、現在の手入れ・管理状況なども踏まえつつ、改めて桜の専門家とともに「新・桜100景」として厳選し紹介します。

特集「桜絶景を求めて」の記事一覧はこちら>>>

家庭画報と識者で考える
次世代に伝え継ぎたい、日本の桜絶景

桜は弥生時代から神が宿る木として愛されてきました。識者が教える、とっておきの桜絶景をご案内します。

勝木俊雄(樹木学者)

次世代に伝え継ぎたい桜絶景

野生の桜に強い関心を持っています。山桜などの桜類は、人為的影響の強い二次林に多く見られるのが特徴で、1960年代以降に放置された二次林では、大きく育った個体が高い頻度で確認されています。これらの桜は奈良時代以降、屋外で観賞されてきた歴史を持ち、文化的価値も高い。


そうした二次林の桜類の景観として、鹿児島県屋久島町の小杉谷のツクシヤマザクラと、茨城県桜川市のヤマザクラとカスミザクラをあげます。

小杉谷の筑紫山桜

標高約650メートルにある小杉谷。新緑と山桜のコントラストが見事。写真/屋久島サル(ピクスタ)

●鹿児島県熊毛郡屋久島町
TEL/0997(46)2333(〈一社〉屋久島観光協会)
例年の見頃/3月中旬~4月上旬

人生で最も感動した桜絶景。想い出の詰まった桜絶景

私の人生の大きな出来事の一つが、クマノザクラの発見です。2016年3月、和歌山県那智勝浦町で初めて目にし、当初は疑問だらけの存在でしたが、後に新種として発表しました。その個体は所有者と連絡がつき、「初花」と名づけています。

桜を大切に守り伝えようとする桜守、組織、スポットとして、評価しているところ

青森県弘前市の弘前公園

弘前公園
●青森県弘前市下白銀町1
TEL/0172(33)8739(弘前市公園緑地課)
例年の見頃/4月中旬~5月上旬

河瀬直美(映画監督)

次世代に伝え継ぎたい桜絶景

東京都東村山市の国立療養所多磨全生園。映画『あん』に登場する、樹木希林さん演じる徳江さんが暮らした多磨全生園の桜です。入所者の手で植えられ、枝打ちや剪定を行わずに育てられた桜は、自然のままの力強い美しさを見せます。作中では、徳江さんが故郷の桜を想うシーンに登場します。

山梨県北杜市の清春芸術村(旧清春小学校の跡地)。1925年に小学校落成を記念して生徒たちの手によって植樹された桜です。樹齢100年の桜たちは毎年見事な花を咲かせ、山梨県指定天然記念物でもあります。コロナ禍の2022年に沖縄本土復帰50年を記念して、琉球芸能がこの桜の下で奉納されました。敷地内には、ギュスターブ・エッフェル建築を再現した創作空間をはじめ、安藤忠雄設計の光の美術館、ルオーの礼拝堂、エッフェル塔の階段、梅原龍三郎のアトリエなど、見ごたえのある芸術空間が広がっています。

人生で最も感動した桜絶景。想い出の詰まった桜絶景

奈良市・大和郡山市を流れる佐保川沿いに広がる桜並木は、万葉集にも詠まれた歴史ある風景です。奈良奉行・川路聖謨が植えたとされる川路桜も、今なお残っています。今は亡き養母を車椅子に乗せ、息子と三人でそぞろ歩いた日のことは忘れられません。

大伴坂上郎女(おおとものさかのうえのいらつめ)の「千鳥鳴 佐保乃河瀬之 小浪止時毛無 吾戀者」(千鳥が鳴く佐保川の瀬のさざ波のように、私の恋心は止まることがありません)という歌が特に好きです。「河瀬」という言葉が入っているこの歌に親しみを覚えます。

自宅から桜並木へ向かう途中、かつて元大仏鉄道の駅があった場所には、大きな枝垂れ桜が見事に咲き誇り、知る人ぞ知る名所となっています。

桜を大切に守り伝えようとする桜守、組織、スポットとして、評価しているところ

奈良県の吉野山

写真/蝶ファラージャ(ピクスタ)

言わずと知れた下千本、中千本、上千本、奥千本で、咲く時期が漣(さざなみ)のように上へ上へと広がる山全体が桜の聖地。修験道の祖・役行者(えんのぎょうじゃ)が山桜の木に蔵王権現を刻んだことに始まり、約1300年もの間、ご神木として大切に植え継がれ、その後、信者さんたちの手によって献木され、大切に育てられてきました。── 河瀬直美さん

吉野山 (奈良県)
●奈良県吉野郡吉野町吉野山
TEL/0746(32)1007(吉野山観光協会)
例年の見頃/4月上旬~下旬

櫻井 寛(写真家)

次世代に伝え継ぎたい桜絶景

青森県五所川原市の芦野公園。津軽鉄道から眺める桜の名所。太宰 治ゆかりの芦野公園では、例年4月下旬に約1500本の染井吉野が咲き、津軽鉄道「走れメロス号」が満開の桜のトンネルを走ります。芦野公園駅の情景は小説『津軽』にも描かれ、園内には太宰像があります。

東京都北区の飛鳥山。飛鳥山公園は徳川吉宗公が江戸庶民の行楽のために桜を植樹した公園です。ちなみに都電荒川線の愛称は「東京さくらトラム」。

京都市右京区の鳴滝。京福電気鉄道(嵐電)北野線の鳴滝駅~宇多野駅約200メートルは桜の名所。3月下旬から4月上旬に約85本の染井吉野が車窓を彩ります。

人生で最も感動した桜絶景。想い出の詰まった桜絶景

静岡県の大井川鐵道・地名駅付近、熊本県の肥薩線・西人吉駅付近はいずれも桜の名所ですが、災害により運休が続いています。再び列車と桜を見られる日を願っています。

愛媛県西部を走る内子線五十崎(いかざき)駅~喜多山駅の桜。起点の内子町は江戸時代から木蝋で栄えた町。木蝋は、和ろうそくをはじめ、鬢付け油や化粧品、医薬品などにも用いられました。

予讃線・内子線沿いの桜風景

内子町には、郷之谷川沿いや石畳東の枝垂れ桜など名所が揃う。写真/櫻井 寛

●愛媛県喜多郡内子町
TEL/0893(44)2111 (内子町役場)
例年の見頃/3月下旬~4月上旬

桜を大切に守り伝えようとする桜守、組織、スポットとして、評価しているところ

中央本線沿い、山梨県北杜市小淵沢駅近くに立つ樹齢約400年の神田(しんでん)の大糸桜。根回り8メートル、幹周6.4メートルを誇りましたが、近年は樹勢の衰えが気がかりで、樹木医や桜守の力に期待しています。

(次回に続く。この特集の記事一覧はこちらから>>

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『家庭画報』2026年04月号

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