〔特集〕次世代に伝え継ぎたい 桜絶景を求めて 日本が世界に誇るべき「美しい桜の風景」は、そのどれもがそれを守ろうとする人々の確かな意志によって支えられています。将来の日本人の美意識のために次世代に伝え継ぎたい桜絶景はどこか。長年、桜名所や桜を守る人々を取材してきた家庭画報本誌が、現在の手入れ・管理状況なども踏まえつつ、改めて桜の専門家とともに「新・桜100景」として厳選し紹介します。
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太古の神社に佇む氣多の白菊桜(石川県・羽咋市)
能登國一宮 氣多大社は2100年以上の歴史を有する北陸きっての古社。社殿は、神職のみが年に一度入ることを許されている国指定天然記念物「入らずの森」に囲まれています。
入母屋造りの拝殿は1653年建立。国指定重要文化財。
その神門手前、石垣の上に植えられているのが、石川県指定天然記念物の氣多の白菊桜です。原木は枯れてしまいましたが、朽ちた株は残されており、そこから生じたひこばえが6本の幹に分かれて、唯一無二の桜の命を繫いでいます。
【氣多の白菊桜(ケタノシロキクザクラ)】国指定重要文化財の神門を背に佇む氣多の白菊桜は山桜系の菊咲き品種。1968年に石川県の天然記念物に指定された。原木は数十年前に枯れてしまったが、その株から生まれたひこばえが育ち、人々の目を楽しませている。白い花は満開を過ぎると徐々に紅くなるため、観る時期によってはピンク色の印象が強いことも。

優美な花弁は50~160枚と幅がある。
「一見若い元気な木に見えますが、以前は大木だったのが、だいぶ朽ちて削れて小さくなってしまいました。クローンは別の場所で数本保存されていますが、原木から直接生まれたのはこの一本だけ。枯らしてしまわないよう、守っていきたいです」と松尾聴親(あきちか)さんは話します。
桜の詳しい解説をしてくれた松尾聴親さん。父が氣多大社の名誉宮司、従兄が宮司を務めている。
菊桜には珍しい白い花は、散る前に紅(あか)く変わるのが特徴ですが、そのスピードは花によりまちまち。見頃を過ぎても、よく探せば、気品漂う白い花が見つかるかもしれません。
能登國一宮 氣多(けた)大社住所:石川県羽咋市寺家町ク1‒1
電話:0767(22)0602
氣多の白菊桜 例年の見頃/4月中旬
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