〔特集〕次世代に伝え継ぎたい 桜絶景を求めて 日本が世界に誇るべき「美しい桜の風景」は、そのどれもがそれを守ろうとする人々の確かな意志によって支えられています。将来の日本人の美意識のために次世代に伝え継ぎたい桜絶景はどこか。長年、桜名所や桜を守る人々を取材してきた家庭画報本誌が、現在の手入れ・管理状況なども踏まえつつ、改めて桜の専門家とともに「新・桜100景」として厳選し紹介します。
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善正寺菊桜の原木を訪ねる(石川県・羽咋郡)

【善正寺菊桜(ゼンショウジキクザクラ)】
推定樹齢約500年、幹周約5.3メートル、樹高約12メートル。花の色が濃く変化する桜が多いなか、淡いピンクから白色に変化する。30年ほど前、枝の先端が枯れ下がり心配されたが、樹木医らの手当てで回復。無数の花と葉をつけた枝をのびのびと広げた姿は見る人の心に安らぎをもたらす。
樹齢500年の巨木と生きる
豪雪地帯の山里にある龍燈山善正寺。日本有数の巨木として名高い善正寺菊桜は、境内の中央に威風堂々、立っています。
「当寺は1501年頃に真言密教から浄土真宗に改宗したと伝わりますが、この桜はそれ以前からあったといわれています」と話すのは、第18代住職の萩山教彰さん。かつて地元の人々は春はお花見、夏は木の周囲で盆踊りをして、桜に親しんだといいます。
古い新聞記事など貴重な資料を指し示しながら、桜の話を聞かせてくださった第18代住職の萩山教彰さん。先代住職の父、教審さんが書き残したノートによると、1983年に石川県指定天然記念物「善正寺菊桜」となるまで、歴代の住職は「数珠桜」と呼んでいたのだそう。

親鸞聖人の像も桜が眺められる向きに立っている。
ただ、その弊害で桜が弱ってしまった時期もありました。根元が踏み固められたことで十分な水分や養分が摂れなくなっていたのです。しかし、樹木医の指導で囲いを造り、肥料の与え方を工夫したことで元気になりました。
本堂から見る桜の巨木は一枚の絵画のよう。根を踏まれると木が衰弱するため、ロープで囲っている。境内にはもう1本、この原木から作られた桜がある。同じ地域に「善正寺」が複数あるので、お出かけの際はご注意を。

「一つ一つの花が可愛いので、近くで見る桜だと思います」と住職。妻の真樹子さんは「直径2センチほどの花に250枚もの花びらがあるんです。数えてみたので本当ですよ」と笑顔で教えてくれました。住職夫妻の愛情も栄養に、巨木の菊桜はこれからも人々の営みを見守っていくことでしょう。
龍燈山善正寺住所:石川県羽咋郡宝達志水町所司原テ30‒1
電話:0767(29)2610
善正寺菊桜 例年の見頃/4月20日頃
(次回へ続く。
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