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桜苗木の生産現場を訪ねて。350品種1000本を保全する品種見本園

2026.03.30

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〔特集〕次世代に伝え継ぎたい 桜絶景を求めて 日本が世界に誇るべき「美しい桜の風景」は、そのどれもがそれを守ろうとする人々の確かな意志によって支えられています。将来の日本人の美意識のために次世代に伝え継ぎたい桜絶景はどこか。長年、桜名所や桜を守る人々を取材してきた家庭画報本誌が、現在の手入れ・管理状況なども踏まえつつ、改めて桜の専門家とともに「新・桜100景」として厳選し紹介します。

特集「桜絶景を求めて」の記事一覧はこちら>>>

次世代へ──桜を繫ぐ人々

植物園や桜見本園は、古来から伝わる品種の宝庫であり、新品種の開発拠点です。約350品種の桜を保存し、染井吉野に代わる優良品種普及に励む結城農場・桜見本園、英国からの里帰り品種や欧州で開発された桜を育てる富山県中央植物園の2つの試みに注目し、次世代に伝え継ぐ形を考えます。

350品種1000本を保全
品種見本園

「1品種につき2本ずつ植えています」と話す農場長の田崎 満さんと園芸相談員の木村唯代さん。

「1品種につき2本ずつ植えています」と話す農場長の田崎 満さんと園芸相談員の木村唯代さん。

桜苗木の生産現場を訪ねて

結城農場の役割は大きく2つ。一つは前述の品種保全と見本園、もう一つは桜苗木を生産し出荷することです。

「私たちの目的は桜を材料に、人々が集まる憩いの場を作ること。それを実現するには、どんな風景を作りたいかを明確にすることが大切です。その土地の土壌や気候を考えて品種を提案し、手入れの仕方までフォローしながら配布しています」と田崎さん。


桜苗木の生産について理解するうえで、知っておきたい前提があります。桜品種の多くは「自家不和合性」という性質を持っています。これは同じ個体の花粉では受精せず、異なる個体の花粉で初めて受精が成立する仕組みです。この性質は、遺伝的に多種多様な子孫を残すための、生物として有効な戦略といえます。

発芽した実生のパレット。

発芽した実生のパレット。

桜の増殖には、実生(みしょう)と取り木・挿し木・接ぎ木という方法があります。種子から苗木を育てる実生では、自家不和合性のため母樹と同じ個体を増殖できません。取り木・挿し木・接ぎ木の3つは、同じ個体を増やす技術です。

接ぎ木には、増やしたい桜の芽を台木に接ぐ「芽接ぎ」と、枝を台木に接ぐ「切り接ぎ」の2つがあります。

「結城農場では、実生で育てた台木に接ぎ木する方法で増やします。その際、台木と増やしたい桜の相性も大切。例えば、染井吉野や里桜の品種には大島桜の実生の台木、彼岸桜の系統には江戸彼岸の実生の台木が相性がよいです」。

桜の増殖方法1 実生

種子をまいて苗木を育てる方法。種子を採取した母樹とは性質が異なるものが生まれる。結城農場では、大島桜、江戸彼岸の2種類を種から育て、接ぎ木に必要な台木の生産に用いる。

【1】5月から7月に種子を集め、果肉を洗い落とす。

【2】陰干しした種子を同量の川砂と混ぜて網袋に入れる。

【3】翌年の3月上旬まで土の中に埋めて貯蔵する。

【4】鉢に土を入れて種子をまき、約1センチ覆土する。

【5】発芽して5月頃に鉢上げして、圃場に植栽する。

【6】9月上旬には苗木が0.6〜1メートルくらいまで生長する。

(次回へ続く。この特集の一覧>>

この記事の掲載号

『家庭画報』2026年04月号

家庭画報 2026年04月号

撮影/大泉省吾

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