〔特集〕[香川・岡山・広島・愛媛]初夏の海街へ 瀬戸内ブルーに涼を求めて 瀬戸内にはいくつもの「特別」があります。穏やかな海に島々が浮かぶ大らかな絶景、取れたての夏の美味、人気ホテルの眺めのいい部屋、神宿る清浄なるパワースポット……。たくさんの魅力の中から、厳選してお届けします。俳優・松下奈緒さんの倉敷美観地区の旅もお楽しみください。
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新緑に佇む国宝のお社でご神託を授かる
吉備津神社【岡山 吉備津】
『古今和歌集』をはじめ多くの和歌に詠まれてきた歌枕「吉備の中山」。その中腹に「吉備津神社」は鎮座します。
ご祭神は、温羅(うら)という鬼を退治したと伝わる吉備津彦命(きびつひこのみこと)。281歳まで生きたとされることから、延命長寿のご利益が有名です。この逸話は、桃太郎伝説のルーツともいわれています。
本殿は、火災により1425年に再建された。
国内唯一となる、檜皮(ひわだ)の大屋根の上に比翼の破風(はふ)がある国宝の本殿は拝殿と一体となった独特の様式で、「吉備津造」と呼ばれています。本殿へのアプローチとなる廻廊と併せて建築美を楽しめます。
本殿まで、360メートルの廻廊が続く。ご供物を濡れずに運ぶために屋根がついたという説が。美しい瓦屋根の奥に見えるのは、南随神門で国の重要文化財に指定されている。
江戸時代の古図では、かつて廻廊が2キロほどあった様子が描かれている。瓦屋根の外観とは異なり、内側は木組みの天井が圧巻。周囲の緑が合間から覗け、四季の花々も随所に見られる。6月半ばから7月上旬は、青と白の紫陽花が涼しげに咲く。
この神社を訪れる多くの人の目的は、ほかにはない「鳴釜(なるかま)神事」。本殿で昇殿参拝をしたのち、御竈殿(おかまでん)で神職が祝詞を奏すると、釜が鳴り響き、その鳴る音の高低や大小、長短により願いごとの吉凶を占うというものです。この音を「御動(おどう)じ」と呼び、名代の軍師、黒田官兵衛も体験したという記録が残されています。
鳴釜神事が行われる御竈殿は国の重要文化財。御動じは “牛が吠えるがごとく” と書かれた文献もある。
三備一宮 吉備津神社住所:岡山市北区吉備津931
TEL:086(287)4111
開所時間:5時~18時
定休日:無休
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