〔特集〕日本各地の絶景と美味に出合う “海山”列車の旅 列車といえば“移動のための手段”と思いがちです。しかしラグジュアリー感溢れる豪華列車をはじめ、地元の美味やフレンドリーな“おもてなし”を提供する列車など、「乗ること」そのものが目的となる特別な列車が、日本には150以上もあり、世界からも注目を集めています。今年の初夏は、そんな個性溢れる列車に乗って各地の魅力を堪能する旅に出掛けませんか。
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〔山列車〕街から田園、山を巡りながら
美景と美食のマリアージュを満喫
眩しいほどの新緑を楽しめるのはこの時期の山列車ならでは。景色を眺めながら土地の料理を味わう、豊かな時間を。
大分県日田市の雄大な自然が織りなす風光明媚な景観に、「或る列車」の金色のゴージャスな車体が輝く。絶景のすぐ目の前を風のように走り抜ける贅沢な体験は列車ならでは。
一皿ごとに供される九州キュイジーヌ
【或る列車】博多駅 ⇔ 由布院駅
活気溢れる博多と世界に誇る温泉地・由布院間を結ぶJR九州の「或る列車」。金色のボディに金物細工の繊細な唐草模様が印象的な2両編成の列車は、川沿いや田園風景の中を、また独特のシルエットを描く耳納(みのう)連山や由布岳を背景に、ゆっくりと進んでいきます。
大分県日田市の天ヶ瀬エリアを走り抜ける「或る列車」。この列車は、明治39(1906)年に九州鉄道がアメリカの「ブリル」社に発注したものの、九州鉄道の国有化のため活躍する機会のなかった「九州鉄道ブリル客車」、通称「或る列車」がベース。当時、最も豪華な設備を備えていたという“幻”の列車の、先頭車両の唐草模様や車内のステンドグラスといった意匠も、100年の時を超えて甦った。
それだけでも十分楽しい旅の時間をさらに華やかに彩るのは、世界的シェフが監修したコース料理。車内では、東京・南青山のレストラン「NARISAWA」の成澤由浩シェフ自らが、九州各地の生産者を訪ねて厳選した食材を中心にクリエイトした、オリジナルメニューが供されます。
食の楽しみ移り変わる景色を眺めながら、沿線の土地のご馳走を味わうという贅沢。「或る列車」では、厳選された九州各地の食材を中心としたコース料理と飲み物が楽しめる。
緑鮮やかな前菜、ふんわり柚子胡椒がきいたメイン料理、趣向を凝らしたスイーツまで。レストランのように一皿ごとに運ばれるプレートには、九州のみずみずしい旬が息づいています。
2025年春の季節のコースより、メイン料理の「花野菜ととろける牛バラのポトフ」。ほろりとした鹿児島県産の牛肉のふくよかさは格別。器は大分県の小鹿田(おんた)焼で「或る列車」のオリジナル。
移りゆく風景を愛でながら、とびきりの料理をゆっくりと味わう、心もおなかも満たされるおよそ3時間のプチトリップ。気がつけばもう降車駅が近づいています。
空間のこだわり車窓の景色だけでなく、意匠を凝らした内装にも注目。ウッディ調のインテリアにモダンな唐草模様が映える「或る列車」の優美でどこか懐かしい空間でゆったりと時が流れる。
木の温もりに包まれた2号車のコンパートメント。100年以上前の“幻”の列車の模型をもとに、水戸岡鋭治氏とドーンデザイン研究所が手がけた。
或る列車
豊かな車窓風景が魅力の“久大(きゅうだい)本線”のコースをベースに走行。
●運行日土曜、日曜、月曜を中心に1日1往復。運行日は月により異なる。午前便(博多駅10時58分頃発・由布院駅14時08分頃着)、午後便(由布院駅15時頃発・博多駅18時03分頃着)。
●料金の目安3万6000円~4万8000円(片道乗車券、コース料理、ドリンク代すべて含む)。乗車日5日前までに要予約。
https://www.jrkyushu-aruressha.jp/●問い合わせ或る列車・36ぷらす3 お問合せ窓口 TEL:0570‒037‒500(10時~17時) 火曜定休