〔特集〕日本各地の絶景と美味に出合う “海山”列車の旅 列車といえば“移動のための手段”と思いがちです。しかしラグジュアリー感溢れる豪華列車をはじめ、地元の美味やフレンドリーな“おもてなし”を提供する列車など、「乗ること」そのものが目的となる特別な列車が、日本には150以上もあり、世界からも注目を集めています。今年の初夏は、そんな個性溢れる列車に乗って各地の魅力を堪能する旅に出掛けませんか。
前回の記事はこちら>>・
特集「海山列車の旅」の記事一覧はこちら>>>
〔海列車〕
列車を乗り継ぎ美食と大自然を満喫する三陸海岸の旅
流れる景色の中、絶景に出合えるのも列車の魅力。「TOHOKU EMOTION」が走り抜ける青森・種差(たねさし)海岸では、芝生の濃い緑と紺碧の海の輝きが目に眩しい。
ライブキッチンを備えた“走るレストラン”
【TOHOKU EMOTION】八戸駅 ↔ 久慈駅
青森県から岩手県へと続く三陸海岸北部を走行する観光列車が誕生したのは2013年。東日本大震災で被害に遭った八戸線の運転再開に合わせて、復興支援と地域活性化を願ってのことでした。
列車全体をキャンバスに見立てた白い車体が、景色の中で美しく映える。
「東北レストラン鉄道」と称して、3両編成のうち2号車をライブキッチンスペース車両とし、往路では人気シェフが東北の食材をふんだんに使用して考案したランチを、復路では「ホテルメトロポリタン盛岡」のシェフが監修するデザートビュッフェを、絶景とともに堪能できます。
往路のランチメニューの一例。2025年9月までは福島県いわき市の「HAGI萩フランス料理店」 の萩 春朋シェフが監修。途中、岩手・洋野町の地元の方々が列車を見送ってくれる「洋野エモーション」も。復路のデザートビュッフェは3か月ごとに一新される。
乗務員はホテルメトロポリタン盛岡のスタッフ。
車内のインテリアは、岩手の南部鉄器や青森のこぎん刺しなど、東北各地の伝統工芸がモチーフに。1号車のコンパートメント個室車両なら、“東北の美”を五感で感じながらゆったりとプライベートな時間を楽しめます。
[乗り継ぎ]風光明媚な海岸をゆるり眺める
【三陸鉄道 リアス線(普通列車)】久慈駅 ↔ 釡石駅
さらに三陸海岸を楽しむなら、「TOHOKU EMOTION」を久慈駅で降りたあと「三陸鉄道 リアス線」に乗り換えて南下するコースがおすすめです。
久慈駅から盛(さかり)駅までの約163キロもの距離を走る通称“さんてつ”では、中間の宮古駅をはさんで北側ではトンネルの先に広がる雄大な太平洋を、南側では入り組んだリアス海岸を眺めることができます。
堀内(ほりない)駅と白井海岸駅の間にある大沢橋梁を走る“さんてつ”。ここと安家川(あっかがわ)橋梁などのビューポイントでは、乗客が景色をゆっくり見られるよう数分間停車または徐行運転する。
急行がないため、途中下車をして気ままに過ごせるのも普通列車の旅ならではでしょう。
[乗り継ぎ]「SL銀河」の後を継ぐ新観光列車
【ひなび(陽旅)釡石線】釡石駅 ↔ 花巻駅
「三陸鉄道 リアス線」を釜石駅で降りて、次は2023年にデビューしたばかりの観光列車「ひなび(陽旅)」の釜石線に乗り換え。
外装は白地に赤の配色で、沿線の豊かな自然がデザインされている。
ボックスシート中心のグリーン車と普通車の2両編成で、大きな車窓から四季折々の景観が楽しめます。
遠野市の宮守川橋梁(めがね橋)を走る「ひなび」。日没後はライトアップが行われ、幻想的な景色に。
途中、遠野駅構内のおむすび専門店が地元食材で作る「おむすびBOX」(1200円)を販売。八戸駅から始まった3列車の旅も、花巻駅で終わります。
宮沢賢治ゆかりの地・釡石線の駅名に注目!
現在の花巻市出身の宮沢賢治は、釜石線の前身・岩手軽便鉄道を『銀河鉄道の夜』の列車のモデルにしたといわれています。
『銀河鉄道の夜』をテーマに、釜石線で運行していた「SL銀河」。2023年6月に惜しまれながら運行を終了した。
作中にはエスペラント語が多用されており、それにちなんで釜石線の24駅すべてに、エスペラント語の愛称がつけられました。
釜石線で最も高い標高473メートルに位置する足ケ瀬駅の愛称は、「峠」を意味する「モントパセーヨ」
一体どんな愛称がつけられているのか、停車中は駅名標にも注目してみてください。
TOHOKU EMOTION
●運行日原則として金曜、土曜、日曜、祝日および多客期を中心に1日1往復。
●料金の目安往路大人1万900円~、子ども1万100円~。復路大人6300円~、子ども5500円~。メニューによって料金の変動あり。お申し込みは2名~4名、乗車日4日前までに要予約。JR東日本ネット予約「のってたのしい列車予約サイト」(
https://www.jre-joyful.com/ )、主な旅行会社などで発売。
三陸鉄道 リアス線(普通列車)
●運行日毎日
●料金の目安片道3050円
ひなび(陽旅)釜石線
●運行日原則として土曜、日曜、祝日および多客期を中心に1日1往復。
●料金の目安往路、復路ともに大人840円、子ども420円、グリーン車2000円。全車指定席で、指定席券のほかに乗車券が必要。要予約。JR東日本ネット予約「えきねっと」(
https://www.eki-net.com/personal/top/index)、全国のJRの主な駅のみどりの窓口、指定席券売機で、乗車日1か月前の10時から発売。

(次回に続く。
この特集の記事一覧はこちらから>>)