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中村隼人さんが実践!掃除は「動く禅」、妙心寺退蔵院副住職 松山大耕さんに学ぶ“禅の教え”

「心を調える」秋 京都で新体験 第3回(全30回) 今、私たちに必要なのは、心をからっぽにし、頭を整理する時間です。自分の心に、自分の人生に深く残る何かを求めて、日本の心の原点、京都に旅立ちます。前回の記事はこちら>>

掃除は「動く禅」。頭の中を整理し、心を調える時間

掃除は「動く禅」
掃除
手足を使い、汗を流し、無心で雑巾掛けに勤しむ隼人さん。退蔵院の雑巾掛けは、まず雑巾を2枚重ね、二つ折りにして、きれいな面から木の目に沿って行う。禅寺の教えの基本は「一に掃除、二に看経(かんきん)(読経)、三に学問」。掃除は修行の筆頭とされる。

妙心寺退蔵院副住職 松山大耕さんに学ぶ

ここは1597年建立、剣の道を極めた求道者・宮本武蔵がかつて逗留したという由緒ある妙心寺退蔵院の方丈(本堂)。

頭にタオルを巻き、作務衣姿で、雑巾掛けを行うのは、スーパー歌舞伎などの新作歌舞伎で名を上げた気鋭の歌舞伎俳優の中村隼人さん。芸の道を極めようとする若き求道者でもあります。隼人さんは、コロナ禍で、半年間、全く仕事ができなくなったことを契機に、禅の世界に触れるようになったといいます。

「京都での公演が突如、中止になり、半月以上もホテルで缶詰め状態になってしまったことがありました。暇をもてあまし、色々と調べていく中で、いくつかの古刹・名刹で坐禅や写経と出合いました。先の見えない不安からずっと心がざわついていたのですが、禅を体験することで心が静まり、初めて無心になれたような気がしたのです」。

以来、禅に惹かれ、現在では定期的に書道家の手ほどきを受け、折に触れ、『般若心経』の262文字に向かうといいます。

今回、禅的な生き方を志向する中村隼人さんが、臨済宗の大本山妙心寺塔頭、退蔵院にて本格的な禅修行体験に臨みました。指導していただいたのは、松山大耕副住職。修学旅行生を中心に企業研修、外国人など含め、年間2万人の禅体験を受け入れ、国内のみならず、広く海外に向けて“禅の教え”を発信する異能の禅僧です。

「掃除は『動く禅』。禅は、経典を勉強することよりも、体験・実践を重視します。現代では、企業や学校は掃除をアウトソーシングし、家庭では食洗器を使いますが、日常生活の中に掃除を組み込んでおくと、頭の整理ができ、心を調えることができると思うのです。無心にお皿を洗うことで、自分の頭の中もきれいになり、その瞬間にアイディアが浮かんだりするものです。

禅の修行では、掃除や料理、畑仕事などの作務を『動中の工夫』、坐禅や写経などを『静中の工夫』と呼びますが、その中でも掃除は筆頭です」と副住職。

「私は公演などで身体が疲れているときほど、掃除をするようにしています。自分の部屋は、今の自分の心を表していると思うからです。きれいにすれば、疲れていても心が落ち着くのです」と隼人さんは、プライベートでの禅的な振る舞いを語ります。

写経はすでに生活の一部になっているという隼人さんに対して、副住職は、その心構えを説きます。

掃除は「動く禅」
写経
書道家に書を習っているという隼人さん。手慣れた筆さばきで『般若心経』を写していく。「最初はきれいに書きたいと思っていましたが、自然と何も考えない自分がいることに気づきました」。ジャケット13万7500円、Tシャツ1万9800円、パンツ4万1800円/すべてEMPORIO ARMAN(I ジョルジオ アルマーニ ジャパン)

「写経の要諦は、字をきれいに書くことでもなく、早く書くことでもありません。一字一字一生懸命に書き、気がついたら終わっていることがいちばん大切なところです。これを仏教の教えでは、『廓然無聖(かくねんむしょう)』といいます。『廓然』とはからっとして何もないこと。『無聖』とは、功徳、つまり御利益がないということ。

無心で取り組んで、やり尽くせば、もはや何もいらないという気持ちになります。夢中で取り組み、からっぽで無になる。その状況こそが、一番のご馳走であり、功徳、御利益なのです」

下のフォトギャラリーで詳しくご紹介します。

〔特集〕「心を調える」秋 京都で新体験

01 京都で新体験

02 歌舞伎俳優 中村隼人さん、京都で“禅の心”に触れる

03 中村隼人さんが実践!掃除は「動く禅」、松山大耕さんに学ぶ“禅の教え”


【イベントのご案内】妙心寺退蔵院で禅の心に触れる会

妙心寺の塔頭、退蔵院にて坐禅、写経を体験し、禅の心に触れるひとときをお過ごしいただきます。閉門後に貸し切りで、ライトアップされた枯山水の「元信の庭」をはじめ、紅葉の池泉回遊式庭園「余香苑」を散策後、精進料理のコースをお召し上がりいただきます。

詳細・応募はこちら>>


この特集の掲載号
『家庭画報』2022年10月号

『家庭画報』2022年10月号

撮影/本誌・西山 航 スタイリング/石橋修一 ヘア&メイク/佐藤健行

『家庭画報』2022年10月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。

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