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雲仙に開業して30年。九州を代表する名宿「旅亭 半水盧」(長崎・雲仙温泉)

次の九州は“美味しい”を訪ねて 第2回(全23回) 佐賀県と長崎県は2022年9月に西九州新幹線の開業を控え、旅の目的地として再び注目が集まっています。今回は新幹線が走るエリアを軸に「美味しい」をキーワードに探訪しました。前回の記事はこちら>>

旅亭 半水盧(雲仙温泉)

旅亭 半水盧(雲仙温泉)

瑞々しい新緑に覆われた長屋門を宿玄関から見て。国道から一歩敷地に入ると静寂の世界。鳥のさえずりに風の音、清流のせせらぎが耳に心地いい。

雲仙に開業して30年。揺るぎなき名門を訪ねて

雲仙国立公園の中にある雲仙温泉郷。温泉街から少し離れた場所に、九州を代表する名宿「旅亭 半水盧(はんずいりょ)」はあります。

長屋門の先に広がる、6000坪もの敷地に点在する客室は平屋建ての特別室2棟と2階建ての離れ6棟12室のみ。いずれも京の宮大工による数寄屋造りでそれぞれ異なる趣に設計されているため「すべてを体感したい」と、訪問のたびに違う棟に滞在される宿泊客がいらっしゃるのも頷けます。

こちらで特筆すべきことの一つが庭園です。明治時代、外国人から“雲の上の避暑地”と愛された雲仙の自然美に調和する設計と、さりげなく行き届いた手入れ。まるで森の中の一軒家にいるような開放感を味わえます。

「半水盧」という宿名の由来は中国の書物にあり、直訳すると「水を半分ずつ分け与える」。その意味するところを「半水盧=心の安らぎの場」と解釈した宿の理念とおもてなしの心は、1992年の開業から30年以上経った今も、確実に伝承されています。

旅亭 半水盧(雲仙温泉)奥左から、「宝珠器にクラゲ酢、菊檸檬釜に蛸の子、焼き茄子利休寄せ、蟹錦糸巻き、鮑柔らか煮、生ウニ寿司、銀杏、むかご、かます塩焼き、唐墨、車海老、丸十」。眼福口福の八寸。写真は2人前。

至福の安らぎのために。見えないところにも宿るもてなしの心

旅亭 半水盧(雲仙温泉)「鱧出汁しゃぶ 水菜、酢橘、柚子、梅肉醬油を添えて」。下から覗く鶴は浦出勝彦氏作「群鶴蒔絵」。

おもてなしの心意気が感じられるのは、しつらいばかりではありません。初代から4人の料理長に仕え、それぞれの料理への向き合い方をそばで学んできた現・総料理長の本多光一さん。

京懐石の雅さと、雲仙や島原など地元の海の幸、山の幸で織り成す「半水盧」ならではのおもてなしは踏襲しつつ、「鯛塩釜焼き」の演出に見られるような洋のエッセンスや遊び心を利かせています。

旅亭 半水盧(雲仙温泉)「鯛塩釜焼き 栄螺(さざえ)パイ包み焼き、さつま芋、レモンと」。焼き固めた塩を割るセレモニーは大好評。すべて部屋食なので、お子さま連れのご家族も気兼ねなくくつろげる。

近頃、雲仙ではオーガニック野菜などの食事情が注目されていると聞けば、「気になる地元野菜があったので、休日に直売所へ足を運び、献立に取り入れてみました」と本多さん。

「あたかも料亭に泊まっているかのような時間」をコンセプトに至福の料理でおもてなしするべく、日々、料理への研鑽を怠りません。

また、お客さま対応を担うフロントや接客係のかたがたの、入りすぎず引きすぎずの絶妙な距離感も印象的。

旅亭 半水盧(雲仙温泉)(後列左から時計回りに)マーケティング部部長成瀬寛高さん、総料理長の本多光一さん、フロントの手島風吹さん、応接係の島嵜ともみさん。

接客係の島嵜ともみさん曰く「お客さまとの何気ないやりとりを通じて、半歩先の気遣いができたらと心がけています」。再訪してくださったお客さまにはできるかぎり前回と同じ接客係が担当するのも、「お帰りなさい」とお迎えしたい気持ちの表れです。

古きよき伝統を随所にちりばめながらも、流れている“今を生きている宿ならではの風通しのよさ”。至福のくつろぎに心もおなかも満ち足りる客が信頼を寄せ再訪したくなる名宿が、今日も変わらず雲仙にあります。

下のフォトギャラリーで詳しくご紹介します。

Information

旅亭 半水盧

長崎県雲仙市小浜町雲仙380-1

  • 1泊2食付き1名6万6000円〜ご紹介した「特別室 寿苑」は同13万2000円〜(ともに入湯税別) 特別室2棟、2階建て6棟12室 IN15時/OUT11時

    上の写真・敷地内には樹齢200年の古梅や國廣秀峯氏による石仏彫刻が配されて。

撮影/本誌・坂本正行 取材・文/小松庸子 取材協力/長崎県 九州観光機構 九州旅客鉄道

『家庭画報』2022年9月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。

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