フランスで初めて、五つ星を超える“パラスホテル”の認定を受け、創業100周年を迎える今もラグジュアリーホテルの頂点であり続ける「ル ブリストル パリ」。伝統を守りながらも時代に先駆けた進化を続けるエレガンスの殿堂を4年ぶりに訪れました。
©Romain Réglade
かつて貴族の館があった地に、ホテルが建てられたのは1925年。アール・デコ様式を残す外装の一部は歴史的建造物に指定されている。高級ブランドが軒を連ねるフォーブル・サントノレ通りという最高のロケーションにあり、フランス大統領官邸であるエリゼ宮に近いため、政府の要人やセレブリティの利用も多いことからセキュリティ面も万全なのも特徴。
洗練された美意識と心のこもったおもてなし
「ル ブリストル パリ」へは3度目の訪問でしたが、なぜか「帰ってきた」という気持ちになりました。その理由にこそ、このホテルの最大の魅力があるように感じます。パリで最も賑う場所にありながら、扉の中は喧騒とは無縁の静けさで、ゆったりとした時間が流れています。リニューアルによりモダンさを加えつつも、インパクトのあるアートや装飾で目を引くのではなく、あくまでシックで優美なインテリア。そしてホテルの各所で感じるスタッフの温かな心遣い。エントランスで声をかけてくれるドアマン、カードキーではなくクラシカルな鍵を使用しているため、外出時にはコンシェルジュデスクに預け、帰館時には「お帰りなさい」の言葉とともに受け取る伝統的なスタイルは今も健在。さらに、自由にホテル内を歩き回っている看板ネコ、ソクラット君が、大切なスタッフの一員として活躍しています。
エントランスからレッドカーペットを降りると、豪奢なウェルカムフラワーが迎えてくれる。その両側には歴史あるタペストリーが掛かるラグジュアリーなロビースペースが。

ホテルの各所に創業当時のアール・デコ様式の名残をみることができる。外部ゲストも気軽に利用できる「カフェ アントニア」には、マリー・アントワネットの肖像画など、館内には価値あるアートがさりげなく飾られている。

コンシェルジュデスクの後ろにはルームキーの棚。フレンドリーに言葉をかけて鍵を受け渡ししてくれる。今回はソクラット君には会えなかったが、部屋に置かれたホテル100周年の記念本のなかに、“Do Not Disturb”のプレートに使われたソクラット君の写真を発見。
このような心解ける魅力的な雰囲気作りには、1978年以来、オトカー家が所有していることが大きく影響しているのかもしれません。ファミリー経営ならではの、家族のお客様をもてなすような心配りが行き届いているのです。
100周年を記念して、“今”の「ル ブリストル パリ」を体現する特別なスイートルームが誕生
創業100周年を機に、スイートルームのリノベーションも行われました。守るべき伝統的なエレガンスと今のラグジュアリー層のニーズが見事に融合。部屋から外に出ずとも特別な時間を満喫できる、スペシャルな2室をご紹介します。
白を基調にしたロマンティックな「スイート・ハネムーン」


ホテル本館8階、215㎡の広さのスイートは、両サイドから柔らかな光が差し込む白い空間。そこにエルメスのデザイナーとして知られる、ディミトリ・リバルチェンコ氏が装飾を施しています。リビングルームの暖炉の上には、ディミトリがデザインしたエルメスのカレ(スカーフ)が額装され、装花もカラーコーディネート。白壁にはプシュケとエロスのラブストーリーにオマージュしたアートが一面に広がります。さりげなく置かれたピンクのカシミヤのスローが「スイート・ハネムーン」という名にふさわしいロマンティックさを添えて。驚いたのはDJブースがあり、レコードプレーヤー、スピーカー、そして「クイーン」「デヴィッド ボウイ」などのLPレコードが用意されていること。大画面テレビでNetflixやYouTubeを見るよりずっと素敵な夜を過ごせそうです。
アイコニックなストライプのシェードがついたテラスからは、グランパレやエッフェル塔を眺めることができる。専用キッチンがあり、テラスで朝食やキャンドルディナーを楽しむのもおすすめ。

白と柔らかなブルーを基調とした優しい色彩で整えられたベッドルームは、屋根裏ならではの親密感がある。広いウォークイン・クローゼット付き。

©claire cocano
私が今まで見てきたホテルの中でも最大級の広さのバスルーム。女優ライトのついた美しい洗面台が2つ。奥にはシャワールームも完備。

浴槽周りにもディミトリ氏による美しいデコレ―ションが。
ウェルネスの最新形を示す「スイート・エデン」

©FRANCK BOHBOT
広い空と豊かな緑を眺めながら心身とも癒される、最高にラグジュアリーなウェルネス体験ができるのが「スイート・エデン」です。レジデンス棟6階に位置し、壮大なガーデンテラスを含めると約150㎡のこのスイートで一番の驚きは、サウナ、ジャグジー、マッサージベッドを完備したプライベート屋外スパ。ワンフロアに1室しかないため、誰の目を気にすることもなく、広いテラスで自由な姿でリラックスすることができ、何ともいえない解放感があります。その名の通り、まさにパリの屋上に出現した“楽園”です。

©FRANCK BOHBOT
ガーデンテラスにはパーティも開けるダイニングスペースがある。110㎡の室内は、デザイナーズ家具とアート作品が配された心地よい空間。
世界最高峰のガストロノミー「エピキュール」のこだわりが凄い!
もう一つ、「ル ブリストル パリ」の名声を高めているのがメインダイニング「エピキュール」の存在です。25年にわたり同レストランを率いて、世界最高峰のレストランの地位を確立したエリック・フレション氏が2024年に引退。同じくフランス国家最優秀職人章(M.O.F.)を持つアルノー・ファイ氏が後継者となりました。全メニューをリフレッシュしながら引き続き三つ星を獲得したことで、あらためて注目を集めています。今回、朝食での利用でしたが、スタッフから、館内に製粉所があり、パンもパスタもすべての工程がホテル内で行われ、チョコレートも専用ラボラトリーで造られる、と聞いてそのこだわりには驚かされました。また、お料理だけでなく、銀器や陶磁器、リネンに至るまで、すべて「本物」、「フランスのサヴォアフェール」が選ばれていることにパラスホテルの矜持を感じました
中庭に面した「エピキュール」での朝食。銀器やカトラリー、リネン、カーテンなどに至るまで、この空間だけでも、フランスの「アール・ド・ヴィーヴル」が凝縮されているよう。付け合わせの野菜もたっぷりで、特に焼きたてのパンの美味しさは格別。

©Schumacher - Â Vincent Leroux
最後にご紹介するのは、実は私がこのホテルで一番のお気に入りの場所、「ル・ジャルダン・フランセーズ」。パリの中心地に隠された秘密の花園のようで、幸福な時間が流れています。外部ゲストでも、お茶やアペリティフだけの利用もできます。
上質なホスピタリティ、フランスの美しき文化、職人技を伝え継ぐ責任を果たしつつ、次の100年に向かって進化を続ける「ル ブリストル パリ」。パリの至宝ともいえるこのホテルに皆さまもぜひ訪れてみてください。
ル ブリストル パリ (Le Bristol Paris)
112 rue du Faubourg Saint-Honoré, 75008 Paris, France
TEL:+33 1 53 43 43 00
https://www.oetkerhotels.com/hotels/le-bristol-paris/日本でのお問い合わせ先
オトカー・ホテルズ日本予約センター
TEL:+81(0)3 5615 8069
Shizuka.Ono@oetkerhotels.com
(営)10:00~17:00(土日祝休み)