バルト海に面し、森に抱かれた国、ラトビア。首都リーガの街並みには、幾重にも折り重なった歴史が静かに息づいています。独立回復35年を迎えた現在、豊かな自然と共生する伝統を背景に、洗練された食文化や手工芸、ピルツ(サウナ)文化が、今まさに花開いています。そんなラトビアへの旅を、シリーズでご紹介します。第1回は、ラトビアのクリスマスについてです。
装飾されたツリー発祥の地、
ラトビアで楽しむとっておきのクリスマス
1510年、首都リーガに立てられた
世界最初の装飾されたクリスマスツリー
ラトビアの首都リーガは、15世紀頃から交易都市として栄えていました。この時期に組織された未婚の外国人商人や船主による同業者組合が、「ブラックヘッド兄弟団」。単なる商業組合ではなく、防衛団や祝祭の主催者などの役割も担っていました。1510年、彼らが冬至の祝祭の一環として広場に木を立てて飾りつけをし、そのまわりで踊ったのちにその木を燃やしたという記録があり、それが「装飾されたクリスマスツリー発祥の地」の根拠となっています。同様の伝承は隣国エストニアのタリンにもあり、互いに「世界最古の装飾されたクリスマスツリー」を静かに主張し続けているそうです。
リーガ旧市街にある市庁舎とブラックヘッドの館(ハウス・オブ・ブラックヘッド)がある広場に立てられたクリスマスツリー。右手前は、地面に「装飾されたクリスマスツリー発祥の地」を示すプレートが設置された場所に置かれた、ツリーのモニュメント。ツリーの右後方に見えているのが市庁舎の一部。トップの写真は、同じツリーを反対側から見たもので、左がブラックヘッドの館。
市庁舎とブラックヘッドの館がある広場には、市内で最も立派なクリスマスツリーが飾られます。このツリーをはじめ、リーガ大聖堂広場などに設置にされる主要なクリスマスツリーに使われる木を選ぶのは、リーガ市長の重要な役割。地元の人々とともに市が所有する森林に入り、クリスマスツリーにする木を選定します。伐採後は、新たに苗を植えます。
ラトビアで主にクリスマスツリーに使われるのは、「欧州トウヒ」という種類の木。ラトビア国民は、自宅のクリスマスツリー用に、国有林からこの木を一家族につき1本持ち帰ることが法律で許されているそう。何という素敵な決まりでしょう!
ホットドリンクで温まる
リーガ大聖堂広場のクリスマスマーケット

クリスマスマーケット入り口のアーチ。奥に見えるのがリーガ大聖堂。マーケットのオープン時間は曜日によって細かく異なるが、午前中に始まり、20~22時に終了。12月31日は深夜2時まで開催され、新年を祝う。
リーガ大聖堂広場では、毎年11月下旬から1月初旬までクリスマスマーケットが開催されています。約80の店舗が並び、ラトビア伝統のクリスマス料理や温かい飲み物、伝統菓子、工芸品などが販売されています。とくに楽しみなのが、スパイス入りのホットワインをはじめとする温かい飲み物。ラトビアの伝統的なハーブリキュール「リーガ ブラック バルザム」を使ったホットドリンクが、お腹からじんわりと体を温めてくれます。薪を使う店も多く、香ばしい煙とともに美味しそうな香りがマーケットを包みます。この時期のラトビアは日没が早いため、美しいライトアップを長時間楽しむことができるのも大きな魅力の一つです。
「リーガ ブラック バルザム」やスパイス入りホットワイン「カルストヴィーンス」のほか、ノンアルコールのホットフルーツパンチ、ラトビアでは好んで使われるグミ科のスーパーフルーツ、シーバックソーンのドリンクも。カップはデポジット制で、2杯目からは飲み終わったカップにドリンクを注いでもらい、最後に返却すると2ユーロが返金される仕組み。
成田空港から深夜発
LOTポーランド航空で快適にラトビアへ

日本からラトビアへは、LOTポーランド航空の利用が快適です。成田空港から約14時間のフライトで、ワルシャワ空港に到着。ワルシャワ空港からリーガ空港までは約2時間です。成田空港を23時頃出発する深夜便なので、出発日は仕事や用事をしっかり済ませてから空港に向かうことができます。日本各地からの国内線の乗り継ぎにも便利です。機内でぐっすり眠り、目覚めたらヨーロッパ。ジェットラグの影響が少なく、お昼頃にリーガに到着したら、その日から旅が楽しめます。冬季は月曜・水曜・金曜の週3便が運航しています(夏季は増便)。
撮影・文/安藤菜穂子
協力/ラトビア政府観光局
https://www.latvia.travel/jaLOTポーランド航空
https://www.lot.com/jp/ja