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アメリカが植民地だった時代へ。「ヒストリック・トライアングル」をめぐる

2025.10.24

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2026年は、アメリカ建国250周年! “はじまりの地”をめぐる東海岸旅〔第3回〕 2026年は、アメリカ合衆国が建国された1776年から250周年にあたる年。そんな節目に訪れたいのが、独立宣言が採択され「アメリカ合衆国」が生まれた街・フィラデルフィアと、北アメリカで最初にイギリスの植民地となったバージニアです。記念の年に、歴史の原点へ──。“はじまりの地”をめぐる東海岸旅を3回に分けてお届けします。

第1回では、フィラデルフィアの歴史スポットをめぐり第2回では人々のルーツに触れる、フィラデルフィアの美食を紹介しました。そして最終回の第3回では、植民地時代の「はじまりの物語」が眠るバージニアの歴史スポットをご案内します。

アメリカが植民地だった時代へ。「ヒストリック・トライアングル」をめぐる

イギリスからの入植者たちがたどり着いた岸。ここで海を見つめるのは、当時の入植地開拓チームのキャプテン、ジョン・スミスの像。

イギリスからの入植者たちがたどり着いた岸。ここで海を見つめるのは、当時の入植地開拓チームのキャプテン、ジョン・スミスの像。


フィラデルフィアからバージニアへは、鉄道「アムトラック」に揺られて約6時間の旅。海を渡ってきたイギリス人たちが最初にたどり着いたジェームスタウン、植民地時代に首都として栄えたウィリアムズバーグ、そして独立戦争の勝敗を決定づけたヨークタウン。これら3つの歴史的な町を結ぶエリアは、アメリカ建国以前の植民地時代を体感できる「ヒストリック・トライアングル(Historic Triangle)」と呼ばれています。

歴史資料が豊富な体験型施設が充実しているのはもちろんのこと、実はグルメやリゾートも見逃せません。ワインやピーナッツなどバージニアの名産をつかった料理や、自然を楽しめるスパリゾートなど、大人の旅心を満たすスポットも点在しています。特に、イギリス人が葡萄の木を持ち込んだことから始まったバージニアワインは、ほぼ地元で飲まれてしまう地産地消のワインのためここでしか手に入らず、稀少価値の高いことで有名です。


イギリスから独立する形で建国されたアメリカ合衆国。その“はじまり”を深く知るためには、建国よりも前、植民地時代の「ヒストリック・トライアングル」を辿ることが近道となるはずです。

先住民とイギリスの狭間に生きた少女──ポカホンタスを訪ねて

コロニアル国立歴史公園には、イギリスからの入植者たちが乗っていた船を再現したレプリカがあり、中を見学することができる。

コロニアル国立歴史公園には、イギリスからの入植者たちが乗っていた船を再現したレプリカがあり、中を見学することができる。


「イギリスから北米への入植」と聞くと、メイフラワー号で海を渡ったピューリタン(清教徒)を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか? しかし、イギリスから北米へ恒久的な入植にはじめて成功したのは、それより10年ほど前のこと。104人の入植者たちが3隻の船でイギリスから渡り、北米の川沿いに上陸したのです。そこから彼らが築いたのが、初めてのイギリス植民地・ジェームスタウンでした。

ジェームスタウンを語る上で、欠かせない存在がいます。先住民ポウハタン族の酋長の娘、ポカホンタスです。ディズニー映画のプリンセスとして知られる彼女は、ここに実在していました。映画の中では、彼女はジョン・スミスと心を通わせますが、実際に彼女が結婚したのはイギリス人のジョン・ロルフ。ふたりが結婚式を挙げたとされる教会もコロニアル国立歴史公園内で保護され、中に入って見学することができます。

ポカホンタスの像。コロニアル国立歴史公園には、彼女にまつわる歴史資料も豊富に展示されている。

ポカホンタスの像。コロニアル国立歴史公園には、彼女にまつわる歴史資料も豊富に展示されている。


ポカホンタスは、ジョン・ロルフとの結婚後にイギリスに渡り、キリスト教に改宗。国王に謁見し、「文明化されたインディアンの象徴」として歓迎を受けました。しかし帰国途中で病に倒れ、命を落とします。わずか20年ほどの短い生涯で、征服と共存、理想と搾取というアメリカの原点にある複雑な現実の中にいた彼女は、一体何を見て、何を思ったのでしょうか。彼女が生きた一瞬一瞬に、想いを馳せずにはいられません。

「理想の植民地」とはどんなもの?──ウィリアムズバーグの記憶

「コロニアル・ウィリアムスバーグ」の敷地内にある「アート・ミュージアム」には、家具や楽器など、当時の生活の様子が伝わってくるコレクションが展示されている。

「コロニアル・ウィリアムスバーグ」の敷地内にある「アート・ミュージアム」には、家具や楽器など、当時の生活の様子が伝わってくるコレクションが展示されている。


ジェームスタウンから車で20分ほど移動すると、ウィリアムズバーグという町に到着します。川沿いに築かれたジェームスタウンは、疫病が流行し、火事も多く、さらに地盤の問題にも悩まされていました。そうした理由から、植民地政府はより安定した土地を求め、首都をこのウィリアムズバーグに移すことになったのです。

整然と整備された街路、美しいレンガ造りの建物、そして良い大学。ここには、イギリス帝国が「新世界」に描いた理想都市のかたちがありました。アメリカ独立宣言の草起者のひとりであり、後の大統領となるトーマス・ジェファーソンも、この地で学びました。

独立戦争の渦の中で、やがて首都はリッチモンドへと移され、ウィリアムズバーグは静かな町となっていきます。しかし20世紀に入り、ロックフェラー財団の支援によって街全体が修復され、「コロニアル・ウィリアムズバーグ」として再生しました。現在は、18世紀の暮らしや風景がそのままに再現され、まるで時が巻き戻されたかのような空間が広がっています。当時の暮らしぶりを体感することで、イギリスが描いた「理想の植民地」とはどんなものなのか、理解を深めることができます。

バージニアでも建国250周年イベントが目白押し!

この記事では全3回にわたり、フィラデルフィアからバージニアへ、“はじまりの地”をめぐる旅をお届けしてきました。美しい街並みやおいしいもの、心躍る体験や素敵な出会いを楽しみながら、その中に息づく過去の記憶にもたしかに触れてきました。2026年のアメリカ建国250周年に向けて、フィラデルフィアだけでなくバージニアのヒストリック・トライアングルでも、様々なイベントが予定されています。ぜひこの節目を機に、数々のイベントとあわせて“はじまりの地”をめぐってみてはいかがでしょうか? 「自由」について想いを馳せる、心に残る旅になるはずです。
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