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「ゲゲゲの食虫植物展」鬼太郎と食虫植物のコラボは怪しくも愛しい!

2018.08.08

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旬を愛でる花旅・庭めぐり ガーデニングエディターの高梨さゆみさんが、各地の庭や花のスポットを訪ね歩いた経験から、今見ておくべき旬の花、旬の庭情報をお届けします。水曜更新。前回の記事はこちら>>

旬を愛でる花旅・庭めぐり(46)植物界の「妖怪」は怪しくも愛おしい魅力に溢れている!〜新潟・新潟県立植物園



新潟県立植物園で開催中の「ゲゲゲの食虫植物展 〜鬼太郎たちがやってきた!〜」のポスター。一目見て絶対に行きたいと思わせるインパクトあり。

開園20周年の新潟県立植物園では力作の企画展が目白押し!


美しい花の咲く感動的な景色を堪能できる旅をご紹介するこの連載に、今回のテーマはふさわしいのかどうか、かなり悩みました。でも、この植物展はとにかくおもしろい!


そして夏という季節にぴったりのテーマであることから「旬」と言える! そう判断を下し、珍しい食虫植物をコレクションした企画展をご紹介します。

新潟県立植物園で現在開催中なのが「ゲゲゲの食虫植物展 〜鬼太郎たちがやってきた!〜」。まずは上のポスターをご覧ください。妖怪界の大御所「ゲゲゲの鬼太郎」と植物界の妖怪、食虫植物とのコラボ。これを見ただけでワクワクしてきませんか?


会場内には鬼太郎もちゃんと来ています。ウツボカズラの巨大オブジェも展示され、中には子どもたちが入って捕獲された虫の気分を味わえる仕掛けも。

夏休みの子ども向けに食虫植物の企画展というのはよくある話で、新潟県立植物園でも毎年開催しています。しかしながら今年のこの企画展は力の入れ方が違います。

新潟県立植物園は今年で開園20周年。今年は興味津々のおもしろい企画展が目白押しで、個人的には今年一番の注目すべき植物園なのです。この連載でも、年明け早々に行われる「アザレア展」をご紹介させていただきました(1月10日配信)。

植物でありながら虫を捕獲して食する、そんな怪しげで不思議、少し怖さもある特徴を「妖怪」にたとえ、「ゲゲゲの鬼太郎」とコラボさせるこのセンスのよさは見事。水木しげるワールドに浸って育った大人にとっても、この企画はとても魅力的だと思います。

「食虫植物なんて気持ち悪い!」。そんな声も聞こえてきそうですが、まずは一度、植物園を訪れて観察してみてください。この肉食植物のなんと美しいこと! なんとモダンなこと! 植物の世界が奥深いことを知れば、ますます植物がいとおしくなってくるはずです。

植物の生き残り戦術から生まれた美しさに惚れ惚れ


食虫植物とは、虫を捕らえ、その虫から栄養分を吸収する器官を持つ植物の総称です。

虫を食べるという特殊な一面があるものの、根からも養分を吸収し、花を咲かせて種子を結び、子孫を後生に残すのは一般的な花と変わりありません。虫から栄養を吸収するという特殊な性質も、過酷な環境での生き残り戦術として進化してきたものだといわれています。

数ある食虫植物の中から人気品種、希少品種を集めた今回の展示で、絶対に見落とせない注目品種をご紹介しておきましょう。

まずはもっとも知られている食虫植物のハエトリソウから観察しましょう。


食虫植物の中でも、罠を仕掛けるのではなく自身の葉で挟むというどう猛な手段で虫を捕獲するハエトリソウ。葉色の美しさに見とれて指を突っ込んだりしないように気をつけて。※展示植物を触れることはできません。

食虫植物のほとんどが落とし穴や粘着シートなどの罠を仕掛けて虫を捕らえるのに対し、ハエトリソウは2枚の葉を使い、葉の間に虫を挟み込むという能動的な捕獲をするのが特徴です。

感覚毛に虫が触れてから2枚の葉が閉じるまでの時間は、わずか0.5秒ほど。瞬きしている間に虫を挟み込んでいるという恐るべき素早い動きなのです。「なんだ、なんだ、何が起こったんだ!」と虫がパニックを起こして逃げようとしても無駄。葉の先端のトゲが内側に閉じて牢獄状態に。

一度掴まったら二度と後戻りできないという情け容赦もない仕組みは、虫にとっては地獄でも、見ていて惚れ惚れするほど不思議な魅力があります。しかも、多肉植物のようにぷっくりした葉は明るい若草色に赤のぼかし、と何ともモダンなデザインで、インスタ映え間違いなしの美しさです。

そしてマニア必見なのがウツボカズラです。


細長いカップの襟元がスクリューのようなフォルムの、ネペンテス・エドワードシアナ。ウツボカズラのフォルムは見れば見るほど不思議な美しさ。


シックなえんじ色のカップが妖艶なウツボカズラは、デンシフロラとロブカントレイの交配種。

ウツボカズラは細長いカップの中に虫を落とし込む、いわゆる落とし穴的な仕掛けで虫を捕らえます。そのカップのフォルムは種類によって異なり、「どうしてこんな形になった?」と不思議になるほど、有機的な美しさがあります。

8月16日まではスクリュー型に発達した襟を持つネペンテス・エドワードシアナ、8月9日〜9月9日まではシビンウツボカズラという和名のネペンテス・ローウィーが展示されます。


ネペンテス・ビーチィ。こんなにきれいなウツボカズラなら自宅で栽培したくなる〜!

和名の通りまさしくしびんの形のカップをつり下げた姿は、愛らしくもあり、またちょっと笑いがこみ上げてくる姿でもあります。シビンウツボカズラは栽培がとても難しい熱帯高山に生育するもので、展示で見られるのはとても希少ですからお見逃しないように。

ほかにも宝石のように美しく光る粘着質な露で虫を捕獲するモウセンゴケや、非常に美しい筒状の捕虫葉をもつサラセニアなど、見ればみるほど魅力的なフォルム、しゃれた色合わせにドキドキするような食虫植物が、会場いっぱいに展示されています。



これが植物かと思うと不気味に思えるが、モウセンゴケの宝石のように輝く露は見ればみるほど美しく魅力的。絶対に生で見たくなる〜!


北アメリカ原産のサラセニアも人気の食虫植物。筒状の捕虫葉の表面に蜜腺があり、虫をおびき寄せる。

夏休み期間なので、訪れる子どもも多いのですが、子どもと一緒に興奮するもよし、また子どもの少ない時間帯に訪ね、じっくりと不思議の世界に浸るのもよいと思います。

夜の植物園の不思議な時間を体験しよう!


新潟県立植物園では、8月11日(土・祝)と12日(日)に、「夜の植物園まつり」が開催されます。この2日間は温室開園時間を20時30分まで延長。観賞温室内の素敵なカフェ「にいがたコーヒーラボ」ではミニコンサートも開催されます。

いつもは明るい光の中で見る植物の姿が、夜の照明の下では少し妖しげに映り、新鮮な印象を受けます。夜に植物園内に入れる機会はなかなかないので、ぜひしっとりした大人の植物園を味わってみてください。

新潟県立植物園といえば、知る人ぞ知るおいしいコーヒーを楽しめるスポットでもあります。「From Seed to Cup~コーヒーの種からカップまで~」をテーマに新潟バリスタ協会とコラボした「にいがたコーヒープロジェクト」が昨年から始動。

その一環として、植物園の観賞温室内に「にいがたコーヒーラボ」という素敵なカフェがオープンしました。金曜・土曜・日曜と祝日のみの営業ですが、県内のコーヒー専門店から届いたコーヒーを、バリスタが一杯ずつ丁寧にハンドドリップしてくれます。

県内でも人気の手作り焼き菓子も週替わりで登場し、植物に囲まれた空間で、おいしいコーヒーをじっくり味わう、まさに癒やしの時間を楽しむことができます。

夏の間は、トニックウォーターにエスプレッソを注ぎ入れた「エスプレッソトニック」のメニューも。すっきりとした飲み口と濃厚な香り、味わいが調和して、これはいままで飲んだことのない新しいおいしさのアイスコーヒーです。

植物園で本格焙煎コーヒーを味わう新鮮な体験をぜひお楽しみください。


観賞温室内にあるカフェはウィークエンド(金曜~日曜)と祝日のみ営業。今年の夏はすっきり&濃厚なエスプレッソトニックを体験してみて。

Information

新潟県立植物園

新潟県新潟市秋葉区金津186

アクセス JR信越線「古津駅」から徒歩約25分。またはJR信越本線「新津駅」下車。東口より秋葉区・区バス「新津駅西口」行き「美術館・植物園前」下車。徒歩約1分。
TEL 0250-24-6465
開園時間 9時30分〜16時30分(最終入館は16時まで)
観賞温室入館料 大人600円(65歳以上は500円)
休館日 月曜(祝日の場合は火曜)

https://botanical.greenery-niigata.or.jp

    高梨さゆみ/Sayumi Takanashi

    ガーデニングエディター
    イギリス訪問時にガーデニングの魅力に触れて以来、雑誌や本などで家庭の小さな庭やベランダでも楽しめるガーデニングのノウハウを紹介。日本、イギリスの庭を訪ね歩くほか、植物の生産現場でも取材を重ねる。現在は、種苗会社の会員向け月刊誌のほか、園芸雑誌などの編集に携わる。
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