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ピンクのハスの花が一面に! 小船で行く夢のような夏旅へ。宮城・伊豆沼、内沼

2018.07.11

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旬を愛でる花旅・庭めぐり ガーデニングエディターの高梨さゆみさんが“今が旬”の花の名所情報をお届け。今回は一度は訪ねてみたいハスの花の名所をご紹介します。記事一覧はこちら>>

旬を愛でる花旅・庭めぐり(42)サンクチュアリを覆うハスの海を小舟で行く〜宮城・伊豆沼、内沼


伊豆沼、内沼のハスの花

視線の届く先すべてが、すがすがしく愛らしいピンクのハスで埋め尽くされた世界は、極楽浄土にたとえられる。

東京ドーム83個分の湖沼を埋め尽くすピンクのハスに素直に感動


7月も中旬になると、各地でハスの花が咲き始めます。全国にハスの名所はたくさんありますが、私の好みを言えば、長野の松本城や長崎の島原城のお堀に咲くハス、また京都の三室戸寺や奈良の唐招提寺のハスなど、お城やお寺との組み合わせが、より日本らしい情緒を感じられると思います。


ただ、今回はそのボリュームが感動を呼ぶ、低地の湖沼に咲くハスの名所を選んでみました。一度は見てみたい絶景ですので、ぜひ花期に合わせて旅の計画を立ててみてください。

宮城県の北部、栗原市と登米市にまたがる自然湖沼が伊豆沼と内沼です。伊豆沼は369ヘクタール、隣接する内沼は小さく122ヘクタール。2つの沼を合わせた面積は東京ドーム83個分にもなります。

伊豆沼・内沼は水深が最大でも1.6mと浅いため、沼の中央部まで水生植物が繁茂していて、多くの生き物が棲息しています。また、冬季でも凍結しないことからハクチョウが越冬しに飛来することでも知られ、ラムサール条約にも登録されています。豊かな自然が残る自然保護区、いわゆるサンクチュアリというわけです。

伊豆沼・内沼の湖面が、7月中旬~8月にかけて、すがすがしいピンクのハスで埋め尽くされる景色を初めて見たときは、本当に驚き、その美しさに素直に心が揺さぶられました。蒸し暑さを忘れるほどすがすがしい気持ちになる絶景です。

ハスの花咲く湖沼を小舟で渡る幸せな時間をぜひ!


伊豆沼、内沼のハスの花と船

小さな遊覧船でハスの中を滑るようにゆっくり進む。視線のすぐ先に咲くピンクの花を眺めていると幸せな気持ちに。運航は7月20日〜8月31日まで。

もっと近くでハスの咲く姿を愛でたい。その思いを叶えてくれるのが、地元の漁師さんたちです。7月20日〜8月31日まで、漁師さんたちの小型の遊覧船を出し、25分ほどの船旅を楽しませてくれるのです。

ハスは葉や茎を少し立ち上げて花を咲かせるので、遊覧船から眺めるとちょうど視線のすぐ先に花がある状態です。水面を滑るようにハスの中を静かに進む船旅は非日常の世界。ハスの花に埋もれていると心がふわっと華やかになり「ああ、私いまシアワセだ〜」と思わず口に出したくなる気分です。

目の前に咲くハスの景色のすばらしさに当然写真に収めたくなりますが、少しの時間カメラから目を離し、ハスの風景を眺めて楽しむことをおすすめします。

さて、伊豆沼・内沼の水生植物はハスだけではありません。水面に黄色の花の群生を見つけたら、それはアサザです。ミツガシワ科の水生植物で、よく見ると花びらの縁が糸状に裂けてフリルのようなかわいらしさ。

アサザの花

水面に咲く黄色の花はアサザ。群生する景色は沼面が輝いているような美しさ。

また、小さな白い花がハスに交じって咲いていたら、ガガブタという珍しい水生植物です。これもアサザと同じミツガシワ科に属する花。花びらの縁がアサザよりさらに繊細に裂けていて、とても愛らしい花です。あまり近づけないと思いますので、こちらはぜひ望遠レンズでアップで撮影してください。

ガガブタの花

白い小さな花はガガブタ。なかなか見かけない珍しい花なので、探してみて。

トンボや蝶が花の間を飛び交い、ハスの葉にはチュウサギが留まっていたり、夏のサンクチュアリはなかなか賑やかで楽しいものです。

25分が本当に短く感じられますが、ハスの花咲くサンクチュアリを小舟で進む経験は滅多にできるものではなく、強烈で美しい記憶として心に刻まれることと思います。

ハスとスイレン、見分けがつきますか?


ところで皆さんは、ハスとスイレンの違いをご存じでしょうか。

ハスの花

ハスの葉は大きく、切れ込みがないのが特徴。茎も葉も立ち上がり、花のサイズもスイレンより大きい。ただし春は、ハスもスイレンのような切れ込みのある浮き葉が出るので間違えることも。

ハスもスイレンも夏に花咲く水生植物ですが、ハスはハス科ハス属、スイレンはスイレン科スイレン属と属科の異なる別の花です。ハスとスイレンを見分けるには、水面からどれくらいの高さで咲いているかにご注目ください。

この時期のハスは葉が水面から離れた位置にあり、茎もぐっと立ち上がっています。それに対し、スイレンは葉も花も水面に浮かんでいるような状態です。ただし、スイレンの中でも熱帯種は茎を立ち上げて咲きます。花が大きく花びらがふっくらしていればハス、花が小さめで花びらが細いものは熱帯スイレンです。

もうひとつ、葉の形でも見分けがつきます。ハスの葉は大きな円形で切れ込みがありません。一方、スイレンは円形から楕円形で大きな切れ込みが1か所あります。

伊豆沼・内沼で見られるのはハスですが、ほかの湖沼や池などで水面に花を見つけたら、ハスかスイレンかを見極めてみてください。

ちなみにハスの花のことを蓮華(れんげ)とも呼びます。蓮華の形に作った仏・菩薩の像の台座が蓮華座。お寺に出かける機会があったら、仏像が置かれた台座をよく見てみてください。伊豆沼・内沼で見たハスと同じ形をしていますので。

ハスの花が咲く湖とチョウサギ

ハスの葉に留まるチュウサギは、水面を見つめ獲物を狙う。葉に乗っても沈まないのだな、と驚く。鳥たちにとって好環境の伊豆沼・内沼は、秋から冬には白鳥を見にくる人で賑わう。

 

Information

伊豆沼・内沼

宮城県栗原市若柳上畑岡敷味17−2
(宮城県伊豆沼・内沼サンクチュアリセンター、遊覧船「伊豆沼・若柳会場」)

アクセス 栗原市側へは東北新幹線「くりこま高原駅」よりバスで約10分。登米市側へはJR東北本線「新田駅」より徒歩約10分。
入園料 無料
TEL 0228-22-1151(宮城県栗原市商工観光部田園観光課)

高梨さゆみ/Sayumi Takanashi

ガーデニングエディター
イギリス訪問時にガーデニングの魅力に触れて以来、雑誌や本などで家庭の小さな庭やベランダでも楽しめるガーデニングのノウハウを紹介。日本、イギリスの庭を訪ね歩くほか、植物の生産現場でも取材を重ねる。現在は、種苗会社の会員向け月刊誌のほか、園芸雑誌などの編集に携わる。
写真/PIXTA
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