まるで赤いボトルブラシのよう。何度見ても見飽きないユニークな花木「ブラシノキ」

ブラシノキ

花房はまさにビンを洗うブラシ。何度見てもその個性的な形状を写真に収めたくなります。色づいているのは雄しべの花糸と呼ばれる部分。学名のカリステモンはギリシア語で美しい雄しべという意味です。

■属科・タイプ：フトモモ科の常緑低木
■花期：5月〜6月

まるで赤いボトルブラシ！　毎年見るのを楽しみにしています

ブラシノキを初めて見たのはロンドンの住宅街でした。鮮烈な赤の花がたくさん咲く景色に圧倒され、ただただ驚いて写真を撮ったのを覚えています。ブラシノキは和名ですが、イギリスでもボトルブラシ、ボトルブラッシュと花房の形状から名前がつけられています。瓶を洗うためのボトルブラシと付けているのはより具体的で、まさにその形状だと花房を見て納得しました。

オーストラリアやニュージーランドなどが原産の低木で、日本でも最近では住宅地で見かけるほど普及しています。

私の近所でもここ数年、新しく建てられたお宅でブラシノキを外の植栽に利用しているのをよく見かけます。10軒ほどが集まった場所で、どのお宅にもブラシノキが植えられていたので、手がけた造園会社のおすすめの木だったのだろうと推測しています。植えてから3〜4年ほどですが、毎年よく花が咲くので、この時期には必ず見に行くようにしています。

遠くからでもよく目立ち、近づいてアップで見れれば何ともユニーク。何度見ても見飽きない花木だと感じています。


ブラシノキの仲間のカリステモン・キトリヌス。和名のキンポウジュでも知られます。インパクトのある赤花とは異なるナチュラルで優しい印象です。

鮮やかな赤が印象的なブラシノキですが、その仲間には白花を咲かせる種類もあります。キンポウジュの和名で知られるカリステモン・キトリヌスや、シロバナブラシノキの和名のカリステモン・サリグヌスなどで、いずれも原産地はオーストラリア、ニュージーランドなどです。

昨年、近所を散歩中に白花をたわわに咲かせているブラシノキを見かけ、その美しさに驚きました。葉が糸のように繊細でやわらかそうなことから、キンポウジュではないかと推測。キンポウジュは古くに日本に伝わり、日本生まれの園芸品種もあります。同じく白花のサリグヌスに比べると、葉が細いことでキンポウジュだとわかります。門前にシンボルツリーとして植えられていましたが、爽やかで軽やかな雰囲気がすばらしく、とても魅力的だと思いました。

赤花も白花も、この時期にはすでに満開になっているエリアもあると思います。ロンドンで見て驚いた景色が、今ではご近所の散歩でも頻繁に見かけるようになったことがうれしく、ブラシノキへの愛着がさらに高まっています。

栽培の難易度

耐陰性は普通ですが、耐暑性が強く、乾燥にも耐えるので、猛暑になることが多くなっている日本の環境でも育てやすい木です。日当たりがよく、水はけのよい土壌に植えます。植えつけ時に元肥を施し、たっぷり水やりしたら、その後は雨まかせでかまいません。花は春から伸びる新梢の先に開花します。そのため、剪定は新梢が伸び始める前の3月に行います。自然にきれいな樹形に育つので、伸びすぎた枝や枯れ枝を切り落とす程度でかまいません。年に一度、2月に緩効性肥料を追肥すると花つきがよくなります。

【難易度】
★　容易・初心者向け
★★　標準・初級〜中級者向け
★★★　少し難しい・中級〜上級者向け
★★★★　難しい・上級者向け
★★★★★　栽培環境が限られる