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3月3日はひな祭り。桃の節句に飾る「花モモ」は、江戸時代からの品種です

2023.03.03

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365日 花散歩に出かけよう 日々、何気なく歩く道や街で出会う花や花木の名前がわかれば、もっと散歩が楽しくなります。ガーデニングエディターの高梨さゆみさんが、季節の花や花木を毎日紹介。住宅街でも見つかる身近な植物や、人気の園芸品種もピックアップ。栽培のコツも紹介します。一覧はこちら>>

花モモ


花モモ
桃の節句に飾られる‘矢口’は、江戸時代に生み出された品種。この花を愛らしいと感じる感性は江戸の人々にもあったことにうれしい気持ちになります。

■属科・タイプ:バラ科の落葉高木
■花期:3月中旬〜4月中旬

江戸時代に生み出された品種が現在でも人気です


3月3日はひな祭り、桃の節句です。モモの花を飾られているお宅も多いと思うので、今回は花を愛でるために改良が重ねられた花モモを紹介します。温暖地で花モモが咲き出すのはもう少しあとなので、まずは写真で花モモの魅力をご堪能ください。

桃の節句の歴史は古く、平安時代に始まったといわれています。女の子の健やかな成長を願い、ひな人形を飾ると同時に、中国で古くから災いを取り除き、福を招くとされていたモモの花も飾られました。中国原産のモモは平安時代にはすでに日本に渡来し、広く親しまれていたということですね。

花を観賞するために改良が行われるようになったのは江戸時代になってからで、現在でも江戸時代に生み出された品種が多く残っています。

花モモ

細長い花弁が八重咲きになるキクモモも、花モモの1種。この花を初めて見たとき、その華やかなさまにとても感激した記憶があります。まさか花モモだとは思いませんでした。花の形が御所車の車輪をモチーフにした文様の源氏車に似ていることから、ゲンジグルマという和名でも知られます。開花は遅めで3月下旬からです。

ちなみに、桃の節句に合わせて切り花で出回るのは早咲きの八重咲きの‘矢口’で、これも江戸時代から親しまれている品種です。濃いピンクで、フリルのある花弁が幾重にも重なるボリューム感のある花を見ていると、江戸時代の育種家の美しさに対する熱い思いを感じます。

花モモには‘矢口’のような立ち性のほか、枝垂れ性、ほうき性と樹形が異なるタイプがあるのが特徴で、スペースがない場所には幅を取らずにまっすぐ伸びるほうき性という具合に、場所に応じて種類を選ぶことができます。

また、‘アメンドウ’に代表される樹高が1m程度のかわいらしい矮性品種もよく知られ、これなら鉢植えでも栽培が可能です。



矮性の花モモの代表品種‘アメンドウ’。これは植えてからまだ年数が経っていない株ですが、成長しても樹高は1mくらいで収まります。これは八重咲きの品種で、コンパクトな樹形ながらボリューム感のある花が咲きます。

どの種類も花にボリューム感があり、しかも花つきがよいので、花期には木全体が濃淡のピンクに染まる華やかな景色が楽しめます。

さて、花モモが咲き出す頃には、まだ花ウメも開花しているので、これは花モモ、それとも花ウメと迷うこともしばしばです。いちばんわかりやすいのは、1つの節に花がいくつついているかの違いです。花ウメは1つの節に花は1つで、花モモは2つずつつきます。ちなみにサクラは1つの節に多くの花がつきます。

また、花ウメは幹の色が黒っぽく、ざらざらした質感ですが、花モモは白っぽくつるつるしています。花ウメは花が終わってから展葉しますが、花モモは開花時期から葉が展開し始めるので、花の合間に小さな葉が出ているのが確認できたら、花モモの可能性が高いといえます。

散歩道で見かけたら、ぜひチェックをして花モモか花ウメかを見極めてみてください。個人的にはその見極めもこの時期の花散歩の楽しみの一つです。

栽培の難易度


栽培の難易度 ★★★☆☆

立ち性品種は樹高が高くなるので、広いスペースを確保します。日当たりがよく、水はけのよい土壌に植えつけます。植えつけ時に元肥を施し、成長期の8月〜9月にも緩効性肥料を株元に施します。翌年以降は2月と8月〜9月に施肥をします。水やりは雨まかせでかまいませんが、幼木の間は土壌がからからに乾いたら水やりをします。花後、新芽が伸びる前に花の咲いた枝の基部を2〜3芽残して切ります。7月〜8月に花芽が分化するので、落葉期の剪定は、枯れ枝や重なり合う枝を切って整理する程度にとどめます。

【難易度】
★ 容易・初心者向け
★★ 標準・初級〜中級者向け
★★★ 少し難しい・中級〜上級者向け
★★★★ 難しい・上級者向け
★★★★★ 栽培環境が限られる

高梨さゆみ/Sayumi Takanashi

イギリス訪問時にガーデニングの魅力に触れて以来、雑誌や本などで家庭の小さな庭やベランダでも楽しめるガーデニングのノウハウを紹介。日本、イギリスの庭を訪ね歩くほか、植物の生産現場でも取材を重ねる。
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