花旅・庭めぐり

牧野富太郎博士がこよなく愛した花の一つ。冬の森に咲く妖精「バイカオウレン」

365日 花散歩に出かけよう 日々、何気なく歩く道や街で出会う花や花木の名前がわかれば、もっと散歩が楽しくなります。ガーデニングエディターの高梨さゆみさんが、季節の花や花木を毎日紹介。住宅街でも見つかる身近な植物や、人気の園芸品種もピックアップ。栽培のコツも紹介します。一覧はこちら>>

バイカオウレン

バイカオウレン
バイカオウレンの花は端正でとてもきれい。白い花弁に見えるのはがく片で、じつは黄色のスプーンの形をした部分が花弁。キンポウゲ科の花には、花弁が変形して蜜腺になったものがよくあります。(写真提供/PIXTA)

■属科・タイプ:キンポウゲ科の宿根草
■花期:2月〜3月
■草丈:10〜15cm

冬の森の妖精が、寒さの中で咲き出します

ユキワリソウ、イチゲ、イチリンソウなど、キンポウゲ科の植物には春にかわいらしい花を咲かせる山野草が多くあります。なかでも咲き出しが早いのがバイカオウレンで、暖かい気候のエリアではすでに開花しているところもあります。

丸みのある白い花はたしかに名前どおりウメに似ていますが、草丈は高くなっても15cmほど。木に咲くのを見上げて観賞するのとは異なり、しゃがみこんで愛でるウメの花と考えるだけで楽しい気分になります。

バイカオウレンは日本固有の野草で、東北地方南部から中国地方西部の山地や林床に分布します。この時期から咲くことからもわかるように、耐寒性が強く丈夫な性質で、自生地では一面に広がって愛らしい花を咲かせるシーンも見られます。苗も出回るので、鉢植えにして育てている方もいらっしゃると思いますが、散歩道ではなかなか出会えません。

そんなときに頼りになるのが植物園です。私はウメの花が大好きなので、ウメに似ているバイカオウレンもお気に入りの花の一つ。毎年、この花を愛でたくて植物園に出かけています。全国にある自生地では、地域の方々が保存に力を入れているところもあるので、花が多く咲くのを待って出かけてみるのもおすすめです。

そんな自生地の一つが、高知県高岡郡佐川町にあります。佐川町といえば、日本の植物分類学の父と呼ばれる牧野富太郎博士の生まれ故郷。4月から始まるNHKの朝の連続テレビ小説『らんまん』では、その牧野博士がモデルになることで植物好きな方々の注目を浴びています。

そして、牧野博士がこよなく愛した花の一つが、故郷に咲くバイカオウレンです。佐川町東部にある加茂地区には林の中に数十万株が群生する自生地があるそうで、ぜひ一度訪ね、冬の妖精といわれる端正な花をじっくりと愛でてみたいと思っています。

栽培の難易度

栽培の難易度 ★★☆☆☆

鉢植えにして育てるのがおすすめで、明るい日陰で管理します。少し湿り気のある場所を好むので、風当たりが強く乾燥しがちな場所は避けます。緩効性肥料を混ぜ込んだ用土に植えつけ、表土が乾いたらたっぷり水やりします。翌年以降は花後に緩効性肥料を株元に施します。常緑性なので、枯れた葉や傷んだ葉は随時摘み取るようにします。病害虫の心配はほとんどありません。

【難易度】
★ 容易・初心者向け
★★ 標準・初級〜中級者向け
★★★ 少し難しい・中級〜上級者向け
★★★★ 難しい・上級者向け
★★★★★ 栽培環境が限られる

高梨さゆみ/Sayumi Takanashi

イギリス訪問時にガーデニングの魅力に触れて以来、雑誌や本などで家庭の小さな庭やベランダでも楽しめるガーデニングのノウハウを紹介。日本、イギリスの庭を訪ね歩くほか、植物の生産現場でも取材を重ねる。

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