優雅な「セイヨウオダマキ」の花は、庭に気品をもたらします

セイヨウオダマキ

日本で人気の高い‘バロー’シリーズは距がないタイプで花色が豊富にあります。うつむいて咲く姿に風情があります。

■属科・タイプ：キンポウゲ科の宿根草
■花期：5月〜6月

■草丈：15〜50cm

優雅に咲く姿が庭に気品をもたらします

日本にはミヤマオダマキとヤマオダマキの2種の自生種がありますが、今回は園芸品種としてよく利用されるセイヨウオダマキをご紹介します。北米やユーラシアなど広いエリアに自生種があり、日本のオダマキと区別するため、学名のアクイレギアで呼ばれることもあります。

オダマキの仲間は自然交配しやすく、園芸品種が非常にたくさんあります。あまりに多くあるため、品種名を記さずに出回る場合も多いのですが、見た目から大きく分けると、花のうしろに突き出した角のような距（きょ）があるタイプとないタイプがあります。

花のサイズも品種によって大小の差があるのですが、観光ガーデンでこの花が咲いているのを見たときに感じる優雅さに変わりはなく、素敵な花だといつも感じています。

切れ込みが入るものの丸みのある優しい印象の葉を株元に茂らせ、そこから細い茎を立ち上げて花を咲かせる姿には気品も感じられ、欧米でも日本でもこの花が愛される理由がよくわかります。


バラで有名なイングランドの「モティスフォント アビー ガーデン」では、壁を彩るつるバラの下で、セイヨウオダマキが咲いていました。淡い紫、ピンク、シックな赤。いずれも中心部が白のバイカラーでとても華やか。距のあるタイプで、大きめの花は存在感があります。

南イングランドの「モティスフォント アビー ガーデン（Mottisfont Abbey）」は、世界中のバラ愛好家が憧れる庭です。私もぜひ一度バラの庭を見たいと訪ねましたが、オールドローズを中心に300種以上のバラが咲き誇る庭はため息が出るほどの美しさでした。

そんなローズガーデンで、もう一つ、私の目を引いたのがセイヨウオダマキでした。壁に這うつるバラの足元で、多くの種類のセイヨウオダマキが咲いていて、庭全体の景色をより華やかに、より優雅にしていました。セイヨウオダマキの使い方がとても上手で、さすがイギリス人と感心しました。

最近、日本の観光ガーデンでよく見かけるのは距のないタイプで、とくに‘バロー’というシリーズが人気です。

ガーデナーさんに伺うと、小ぶりな花がうつむきがちに咲く様子に風情があり、ナチュラルな雰囲気を出したいときに効果的だそうです。たしかに楚々として咲いている風で不思議な存在感があるセイヨウオダマキは日本人好みではないかと思います。

‘バロー’シリーズは花色も豊富で、散歩道でも咲いているのをよく見かけます。

栽培の難易度

日なたを好みますが、耐暑性はそれほど強くないので、夏の西日を避けられるような場所や夏には木陰となる落葉樹の下などが向いています。水はけのよい土壌を選び、元肥を施してから植えます。水やりは雨まかせでかまいませんが、雨が降らない日が続いて土壌が乾いたときには水やりします。花が終わったら随時摘み取ります。耐寒性は強いので、温暖地では防寒対策なしでも冬越し可能です。

【難易度】
★　容易・初心者向け
★★　標準・初級〜中級者向け
★★★　少し難しい・中級〜上級者向け
★★★★　難しい・上級者向け
★★★★★　栽培環境が限られる