寒さの中でも鮮やかな花色を楽しめる「ゼラニウム」。正式な名前をご存知ですか？

ゼラニウム

朱赤やサーモンピンク、濃淡ピンクの華やかな花色が多いゼラニウムはとても華やかな印象。乾燥に強い性質で、鉢植えでも水やりの回数が少なくてすむため、欧米では窓辺を飾るウインドーボックスやハンギングバスケットによく利用されます。

■属科・タイプ：フウロソウ科の宿根草
■花期：3月〜12月上旬

■草丈：20〜100cm

四季咲き性のゼラニウム、まだ花が咲いています

欧米で窓辺を飾る花の定番としてよく利用されるゼラニウム。日本でも鉢植えなどで楽しんでいる方が多く、散歩の途中で華やかな花色を楽しませてもらうことも度々あります。今咲いているゼラニウムを紹介する前に、まず、ゼラニウムという名前について説明します。

日本ではゼラニウムという花名で通っていますが、じつはこれは通称です。欧米に旅行に出かけてゼラニウムを見かけ、そばにいる住人の方に「お宅のゼラニウムはとても素敵ですね」と声を掛けたとします。おそらくその方は「はっ？ペラルゴニウムですよ」と応じるのではないかと思います。ゼラニウムの正式な花名はペラルゴニウム。ゼラニウム（Geranium）はゲラニウムと読むのが正しく、ゲラニウムとは日本でもなじみの深いフウロソウのことを指しますから。

なぜこんな混乱が生じたかというと、ゼラニウムはかつてはフウロソウと同じフウロソウ科ゲラニウム属でしたが、1787年にペラルゴニウム属が新設され、ゼラニウムの仲間はペラルゴニウム属に分類されることになりました。学名はPelargonium Zonal Group で、日本ではペラルゴニウムのゼラニウム系といわれています。

そもそもGeraniumをゼラニウム、ゲラニウムという2つの読み方で別の花に当ててしまったことが、日本で混乱を招いた原因なのではないか、と個人的には推察しています。日本に伝わったのは江戸時代の末期と言われているので、まだ新しい属への分類が徹底しておらず、ゼラニウムの通称で普及したのだと思います。

さて、ペラルゴニウムは種類が豊富にあり、ゼラニウム系、ペラルゴニウム系、アイビーゼラニウム系、センテッドゼラニウム系（香りゼラニウム、ハーブゼラニウム）の4つの系統に大別されています。そのなかで、四季咲きで気温があれば一年中花が咲くのがゼラニウム系です。他は春〜秋までが花期なので、この時期に咲いているゼラニウムは、たいていゼラニウム系ということになります。花の盛りは過ぎたものの、晩秋〜初冬にかけてもぽつぽつと咲き続けます。近所の散歩でもコートを羽織りたくなるこの季節に、赤やピンクの鮮やかな花色を見かけると、暖かさを感じて嬉しくなります。花を見かけたら、ペラルゴニウムという正式な花名も思い出してください。


カフェの前を飾るゼラニウムの鉢植え。11月の様子ですが、まだ花は咲き、蕾も見えます。

栽培の難易度

日当たりがよく、風通しのよい場所に植えます。植えつけ時に元肥を施せば、追肥の必要はありません。翌年以降は、生育が旺盛になる春に緩効性肥料を施します。地植えの場合は、地面がからからに乾いたら水やりします。花が終わったら花がらを随時摘み取ります。花茎を付け根から横に折り倒して取り除くようにします。梅雨の時期に一度切り戻しを行うと、株内の風通しがよくなり、病害虫の発生を防ぐのに効果的です。冬季は地植えの場合は腐葉土などでマルチングし、鉢植えは軒下に移動しておくのがおすすめです。

【難易度】
★　容易・初心者向け
★★　標準・初級〜中級者向け
★★★　少し難しい・中級〜上級者向け
★★★★　難しい・上級者向け
★★★★★　栽培環境が限られる