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2022/09/16
京都で新体験 第2回(全30回) 今、私たちに必要なのは、心をからっぽにし、頭を整理する時間です。自分の心に、自分の人生に深く残る何かを求めて、日本の心の原点、京都に旅立ちます。前回の記事はこちら>>
禅語に『不立文字(ふりゅうもんじ)』という言葉があります。本当に大事なことは言葉では伝わらないという意味です。この記事では、体験・実践を通して、奥深い京都の魅力に迫ります。
【妙心寺退蔵院「陰陽の庭」】「陽の庭」との対をなす枯山水庭園「陰の庭」。2つで構成する庭は、仏教でいう「不二」を表し、物事を善悪や、正誤の二元的な捉え方をしてはいけないという教えを表す。2つの間には無限の立場があり、多様な立場を尊えということ。
【不変の美を表す、退蔵院「元信の庭」】16世紀後半、狩野派2代目狩野元信が作庭したと伝わる枯山水庭園を前に、心を調える歌舞伎俳優の中村隼人さん。左は坐禅の指導をする退蔵院副住職・松山大耕さん。庭の常緑樹が、「不変の美」を表現している。
中村隼人さん
(なかむら・はやと)1993年東京都生まれ。2代目中村錦之助の長男。2002年歌舞伎座『寺子屋』の松王丸一子小太郎で初舞台。18年新作歌舞伎『NARUTO-ナルト』、2019年スーパー歌舞伎Ⅱ『新版オグリ』でダブルキャストを勤める。テレビドラマでは、NHKのBS時代劇『大富豪同心』シリーズで主演を務めている。
[教える人]松山大耕さん(妙心寺退蔵院副住職)
(まつやま・だいこう)1978年京都市生まれ。2003年東京大学大学院農学生命科学研究科修了。07年妙心寺退蔵院副住職に就任。政府観光庁「Visit Japan大使」、京都市「京都観光もてなし大使」に任命される。著書に『大事なことから忘れなさい』(小社刊)、『ビジネスZEN入門』(講談社刊)など。
作務衣姿で重量たっぷりの砂熊手を持ち、枯山水庭園「陽の庭」に砂紋を引く中村隼人さん。砂紋は、曲線より真っ直ぐ引くほうが難しく、余計なことを考えるとすぐ曲がるという。極意は「遠くを見ること」。短い視野で動くとブレてしまうのは人生と同じ。
01 京都で新体験
妙心寺の塔頭、退蔵院にて坐禅、写経を体験し、禅の心に触れるひとときをお過ごしいただきます。閉門後に貸し切りで、ライトアップされた枯山水の「元信の庭」をはじめ、紅葉の池泉回遊式庭園「余香苑」を散策後、精進料理のコースをお召し上がりいただきます。
撮影/本誌・西山 航
『家庭画報』2022年10月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。
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