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金沢で情緒溢れる古民家カフェを旅する。築160年の家屋でいただく極上ほうじ茶

古民家カフェをこよなく愛する、ライター・喫茶写真家の川口葉子さんが、人気シリーズの第3弾となる『金沢 古民家カフェ日和』を上梓しました。本書から一部を抜粋して、金沢という土地ならではの古民家カフェの魅力をお届けします。記事の最後には本書のプレゼント企画もございます。ぜひご応募ください。

金沢古民家カフェ日和

金沢の艶と古民家カフェ

文・写真 川口葉子

古民家カフェは、土地の気候風土から生まれた伝統的な家屋の様式と、それを現在にいかそうとする人々の知恵の結晶です。

著書『古民家カフェ日和』シリーズで東京と京都を旅して以来、私は古民家カフェの中に表れる土地の個性に強く興味を引かれるようになりました。

金沢の古民家カフェについて深く知りたい。そう考えたきっかけは、茶人、木村宗慎氏のエッセイにこんな言葉を見つけたからでした。

―― 京の雅ではなく、江戸の粋とも異なる金沢の艶。
「工芸の王国、古の王とそれを抱く民艸の営み」木村宗慎(平凡社『別冊太陽』)

公家と町人の都に漂う「雅」、江戸っ子の「粋」とは異なる、武家と町人が生みだした「艶」とはなんでしょうか? そんな問いを抱きながら金沢の魅力的な古民家の数々を訪ねたのが著書『金沢 古民家カフェ日和』です。

金沢の黒瓦

街を歩きながら最初に魅せられたのは、黒瓦(くろがわら)のぬめるような艶でした。木造の家々や社寺が、みな真っ黒な屋根瓦をのせているのです。

瓦が普及したのは昭和に入ってからだそうですが、黒い釉薬(ゆうやく)をたっぷりかけた瓦は、積もった雪が解けやすく、また滑り落ちやすい。耐寒性や耐久性に優れているともいわれます。青空の下、つらなる屋根屋根が陽射しを浴びて黒光りしている光景はみごとなものでした。

一笑次ページで紹介するひがし茶屋街の古民家カフェ「一笑」の玄関。

直接目に見える艶ではなく、比喩的な艶もあるのでしょうか? 調べるとすぐに加賀藩前田家の文化政策が浮かび上がりました。武力も財力も豊富な加賀藩は、徳川幕府にとって大きな脅威。加賀藩は常に謀反を疑われる立場にありました。

賢明な前田家は、幕府に警戒されないよう軍事ではなく文化や工芸に力を注いだのです。最高の美を求めて京都から師を招き、茶道や能楽、工芸技術を発展させながらも、あまり目立ち過ぎないように。そのプライドと屈折から生まれる、艶。

金沢の古民家カフェのさまざまな艶をお楽しみいただけますように。

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