修造画報

井口皓太さん×松岡修造さん「史上初の動くピクトグラムは心を動かし、世界を動かす」

松岡修造の東京2020への道 届け!熱い思い

オリンピック・パラリンピック史上初めて「動くスポーツピクトグラム」を手がけた井口皓太さんは、国内外で活躍する気鋭の映像デザイナー。一見クールに見えて松岡さんも感嘆するほど熱いハートの持ち主です。作るうえで自らに課したルールや完成後に味わった深い喜びを、熱量たっぷりに語ってくれました。

*『家庭画報』2021年2月号掲載。この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。本取材は感染予防対策を徹底して実施しました。

松岡さんと井口さん

井口さんの会社「CEKAI」のオフィス「村世界」は、フリーランスの若いクリエイターたちも集う場所。遊び心溢れる空間に松岡さんもご満悦。松岡さん・スーツ、シャツ、靴/紳士服コナカ

第29回
映像デザイナー・クリエイティブディレクター 井口皓太さん

井口さん

井口皓太さん KOTA IGUCHI
1984年神奈川県生まれ。武蔵野美術大学基礎デザイン学科在学中に「TYMOTE」を、2013年に「CEKAI」を設立。グラフィックデザインと映像デザインを軸に、CM、MV、ライブ演出やブランディングなど、さまざまな仕事を手がける。東京TDC賞2014、第94回NY ADC賞GOLDなど受賞歴多数。京都芸術大学客員教授。東京2020大会のスポーツピクトグラムを発展させた「動くスポーツピクトグラム」の開発チームデザイナー。

10年前から取り組んできた「動かす」仕事の集大成

松岡 いきなりですが、今日は話が合わないんじゃないかと思って。

井口 え、どうしてですか?

松岡 皓太さんの作品をいくつか拝見しましたが、カメラアングルがどんどん変わるし、実に斬新です。頭の中はどうなっているのだろうと、僕には想像がつかなくて。

井口 それはよくいわれます(笑)。

松岡 こういうお仕事はいつからやられているんですか。

井口 10年くらい前からです。僕がデザイナーになった頃、ちょうどスマホや(パソコンの)モニターの仕事が増えていて、デザインも動かすのが自然に思えたんですね。それで動かして音をつけたりといったことを続けていた先に、今回の動くスポーツピクトグラムの話があったんです。候補の一人として、興味があるかを打診され、「めちゃめちゃあります!」と答えました。

松岡 本心でそう思われたのですか。

井口 もちろんです! 一緒に会社を作った仲間と、僕らみたいな、どこにも勤めたことのない人間がオリンピックの仕事をできたら面白いよね、と話していたんです。あと、デザインのコアな部分で東京2020大会に公式にかかわっているのは、僕の世代ではたぶん自分だけなんですよ。そういう意味でも、やりたかったんです。

松岡 その連絡がきたのは、いつ頃だったんですか。

井口 ピクトグラムのデザインが決まったあたりです。完成しているものの発表前の段階だったように思います。1964年の東京大会のピクトグラムをかなり踏襲していると聞き、自主的にそれを動かした映像を作って提出したりしました。

松岡 意欲的ですね! 実際に仕事が始まってからは、どんなことを考えましたか?

東京2020オリンピック

東京2020スポーツピクトグラム(各列中央)の前後に出現と消失の動きを加えて作り上げた動くピクトグラム。上は車いすテニス、下は新体操。左から右へ動きます。

「皓太さんが作った動くピクトグラムは見事! 僕の心も動かされました」── 松岡さん

井口 まず思ったのが、廣村(正彰)さんが「この瞬間がいちばん美しい」と考え抜いて作られたものを尊重したいということです。だから、僕は最初の段階で「廣村さんが作った形のところで必ず一度動きを止めましょう」と提案しました。

松岡 それで、「出現、固定、消失」というプロセスからなる作品ができ上がったのですね。僕は初めて見たとき、「そうそう、この動き!」と心を動かされました。テニスはもちろん、どの競技もその醍醐味が見事に表現されています。

井口 ありがとうございます! 見た人が楽しいのが一番だと思っているので、そんなふうにいっていただけて嬉しいです。

松岡 ご自分としては力を出し尽くせた感覚ですか。

井口 はい。この10年間で磨いてきたスキルを注ぎ込もう、全部見せようと決めて取り組んで、「やり切った」という思いです。

松岡 そこまでいい切れるのは、素晴らしいことですね。

井口 そういうことはいわないほうがいいんですかね。

松岡 いやいや、とんでもない!どんどんいってください。

井口さん作成の動くピクトグラムを動画でご覧いただけます

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