修造画報

羽生善治さん×松岡修造さん「そこに辿り着くまでの努力と情熱が心を打つ。将棋も、スポーツも」

松岡修造の東京2020への道 届け!熱い思い

15歳のプロデビューから35年間、将棋界の第一線で活躍を続ける羽生善治さん。2018年には将棋棋士として初めて国民栄誉賞に輝きました。オンラインで行われたこの日の対談では、松岡さんが繰り出すさまざまな質問に一つ一つ丁寧に回答。棋士としてだけでなく、家庭人としての顔も見られる貴重な時間になりました。

*『家庭画報』2020年12月号掲載。この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。本取材は感染予防対策を徹底して実施しました。

将棋盤を前に「将棋を指している風ポーズ」をとるお2人。棋士ならではの格好いい所作で羽生さんが持っているのは、自身がいちばん好きだという「銀」の駒。渋いイメージがいいのだそう。松岡さん・スーツ、シャツ、ベルト/紳士服コナカ

第28回
将棋棋士 羽生 善治さん

羽生 善治さん YOSHIHARU HABU

1970年埼玉県生まれ。小学校1年生で将棋を始め、5年生で故 二上達也九段に師事。6年生で棋士養成機関である奨励会に入会し、15歳で棋士に。19歳で初タイトルの竜王位を獲得。94年に九段に昇段。96年に竜王、名人、王位、王座、棋王、王将、棋聖の七大タイトルを独占。2017年に「永世七冠」となり、翌18年に国民栄誉賞を受賞。目下、前人未踏のタイトル通算100期達成に向け、豊島将之竜王との七番勝負に挑んでいる。

将棋の魅力は幅広い世代の人と触れ合えること

松岡 羽生さんは今年、棋士になられて35周年だそうですね。

羽生 はい、早いもので。自分でもびっくりしています。

松岡 スポーツの世界では35年間現役で活躍するということは滅多にありません。素晴らしいですね。

羽生 長い期間できるのは将棋のいいところだと思っています。棋士になってすごくよかったと思うのは、盤上を通じて幅広い世代の人とコミュニケーションがとれることです。今は平成生まれの人たちと日常的に対局していますし、昔は明治生まれのかたと公式戦で対戦したこともありました。将棋は若ければいいというわけでもなく、年齢が上がったら上がったなりの力の伸ばし方があるのもいいところです。

「前へ進み続ける羽生さんの姿は僕ら家庭画報世代に希望をくれます」── 松岡さん

松岡 今の言葉は僕ら家庭画報世代に希望をくれますね! 年を重ねてもまだまだ前へ進める、と思えます。将棋界は今、藤井聡太さんの登場で大きな盛り上がりを見せています。羽生さんからご覧になって、藤井さんは何がすごいのでしょうか。

羽生 2つあってですね。1つは大事な局面での判断力です。将棋は「詰むか詰まないか」、つまり勝敗が決したかどうかを見極めなければならない局面が何度も出てくるのですが、藤井さんはその際の判断が非常に早く、的確です。もう1つは発想の幅の広さ。若いときの強さというのは、計算の力や記憶の力で深掘りしたものであることが多いのですが、藤井さんはそういう強さに加えて発想も豊か。1つの局面で多くのアイディアを思い浮かべることができるのです。

松岡 なるほど! 羽生さんご自身が10代の頃は、どのような将棋をされていたんですか?

羽生 あまり知識やセオリーにこだわりなく指していたので、自由というか、いい加減というか。かなり荒っぽい将棋だったのは間違いないです。昇段するにつれて、それでは通用しなくなっていったので、だんだん定跡なども覚えていきました。

松岡 いろいろなチャレンジ、変遷を経て、ご自分の将棋を確立されてきたということでしょうか。

羽生 そうですね。公式戦だけで2000局くらいやってきましたが、完璧だったと思えたことはないんです。でも、続けていくなかで手応えを感じたり、見えてくるものもあるので、そういうものを糧にしながら日々研究と実践を重ねています。

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