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がんになった医療者の治療選択と向き合い方。看護師 射場典子さん 第1回(後編)

2017.12.08

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看護師が卵巣がんになった場合

閉経後の中高年女性に好発する卵巣がんは発症が多いものではありませんが、早期で発見しにくいため“サイレントキラー”とも呼ばれるやっかいながんの一つです。今月からこの卵巣がんを40代で患い、治療に苦しんでいるとき、患者の語りに支えられて新たな道を歩きだした看護師の物語をお届けします。

前編はこちら。

射場典子さん


認定NPO法人 健康と病いの語りディペックス・ジャパン 理事

射場典子(いば・のりこ)さん 54歳


1963年東京都武蔵野市生まれ。84年順天堂看護専門学校卒業。
同年、順天堂大学医学部附属順天堂医院に就職し外科病棟に配属される。
米国留学を経てターミナルケアを学ぶために聖路加看護大学大学院に進学。
大学院修了後、同大学教員として教鞭をとる中、2006年に卵巣がんを発症。
患者の語りをデータベース化し社会資源として活用するプロジェクト「ディペックス・ジャパン」の設立に治療中からかかわり、08年より現職。
経過観察を続けていた卵巣がんは発症から10年を過ぎたことで無治療に。
看護師とがん患者の経験を生かし「患者主体の医療」の実現に力を注ぐ。

治療は主に産婦人科医が担当。「婦人科腫瘍専門医」を目安に


破裂によって卵巣がんが見つかった射場さんは翌朝緊急手術を受けることになりました。卵巣がんの治療は破裂していない場合も原則は手術療法です。卵巣は骨盤内の深いところにあるため、腹部の触診や内診、画像検査では、がんの確定診断および広がり方を正確に把握することは難しく、手術の際、おなかの状態を詳しく観察したり、摘出した腫瘍の病理検査を行ったりすることによって初めてがんの組織型や進行期(Ⅰ~Ⅳ期)がわかります。

どの進行期も最初に手術を行い、できるかぎりがんを取り除き、術後に化学療法(抗がん剤治療)を行うのが標準治療です。また、放射線療法は化学療法より効果が劣るため、最初の治療では行われず、がんが脳に転移するなどかぎられた場合のみ実施されます。

卵巣がんの治療は主に産婦人科医が担当しており、日本婦人科腫瘍学会が認定する「婦人科腫瘍専門医」が在籍する医療機関は、卵巣がんが疑われた際の受診先として一つの目安になるでしょう。日本婦人科腫瘍学会のウェブサイトでは同専門医名簿を公開しています。

射場さんは主治医となった塩田恭子先生(聖路加国際病院女性総合診療部医長)から緊急手術に関する説明を受ける中、難しい選択を提示されます。それは「妊娠を望んでいるのなら破裂していない卵巣や子宮を残す手術もできる」というものでした。

30歳で結婚した射場さんは子どもを持つことをずっと望んできました。しかし、根治をめざすなら転移しやすいもう片方の卵巣と子宮、腹膜の一部である大網をすべて切除することがベストだということもよく知っていました。

「このときの私はとても理性的で医学知識と看護師の経験をもとに判断し、ほとんど迷うことなく切除することを決めていました。生きるために最善の方法を選んだのです」。

ところが、実際に手術を受けた後、妊娠・出産の可能性が完全に断たれてしまったことを実感し、かなりつらい思いをしたそうです。「最終的には同じ決断を下したと思いますが、緊急手術だったので数時間で答えを出さなければならず、自分の気持ちを丁寧に整理できなかったことが尾を引いたのでしょう」と射場さんは振り返ります。
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