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絆創膏のように貼れる「体の計測デバイス」で未来の医療はどう変わる?

2020.11.17

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未来の医療(最終回) 進歩する生命科学や医療技術。わたしたちはどんな医療のある未来を生きるのでしょうか。「未来を創る専門家」から、最新の研究について伺います。前回の記事はこちら>>

皮膚に貼る薄膜で体をモニター。
健康を守り、病気の重症化を防ぐ


自分でも意識しないうちに、皮膚に貼った薄いセンサーから心音や血中酸素濃度など健康に関連する情報を集めるデバイスが研究・開発されています。髪の毛の直径よりも薄く、しなやかなデバイスを研究する東京大学大学院工学系研究科 准教授の横田知之さんにこのようなデバイスの意義や将来を聞きました。

〔未来を創ろうとしている人〕横田知之(よこた ともゆき)さん


横田知之さん

東京大学大学院 工学系研究科 准教授(電気系工学専攻)
1985年生まれ。2008年東京大学工学部物理工学科卒業。2013年同大学院工学系研究科物理工学専攻博士課程修了。博士(工学)。同大学院の染谷・関谷研究室に所属し、日本学術振興会特別研究員、特任助教、講師を経て、19年から現職。

皮膚から出る、健康や病気に関する信号を捉える


腕時計であり、歩数や心拍数が測れるスマートウォッチは近年進歩を遂げ、睡眠の深さ、血圧、持久力を示す最大酸素摂取量、心肺機能の目安となる血中酸素濃度なども測定できるようになってきました。

このようなデバイスは健康づくりに加え、医療応用も期待されています。

一方で、運動時などに正確性が落ちる、長く着けていると違和感があるといった課題もあります。より正確にデータを取るためには、密着性とよりよい装着感を備えたデバイスが求められています。

また、運動中の筋肉の様子を知りたいといった腕以外の部位での計測のニーズもあります。

横田さんは絆創膏のように皮膚に直接貼れる体の計測デバイスを研究しています。もともとはコンピューターなどに使うデバイスを印刷して作る技術を研究していましたが、その技術が生体情報の獲得にも生かせることを知り、ヘルスケアや医療分野の研究も進めてきました。

横田さんによると、皮膚の表面からは多くの信号を得ることが可能です(下の図参照)。

皮膚から測れる生体情報


皮膚から測れる生体情報

心電図や筋肉の動きを捉える筋電図、脳波のような電気信号、表面のゆがみ(肺の膨らみ、体の動き)、圧力(眼圧、血圧、心拍)、皮膚表面からの反射光(血中酸素濃度、脈波、血管の位置)、音(心音、飲み込み、声)のような物理信号は、その大きさや量、変動から病気を知ることができます。

また、汗などの分泌物に含まれる化学物質の信号も体調をみる手がかりになります。

これらの信号を皮膚で感知してスマートフォンやコンピューターでモニターし、病気の前兆や悪化の予兆を知ることができれば、医療機関の受診の目安になります。

「特に運動の最中や直後の心肺、筋肉や関節への負荷がわかれば、心臓発作やケガを防げる可能性があります」と横田さん。

さらに「普段の体調や生活を継続的に調べて診断の正確性を高めたり、治療やリハビリの効果を上げたりできると考えています」。

このようなデバイスの信号は、組み合わせるとさらに詳細な情報が得られます。

例えば、体温、ナトリウムイオン、乳酸値によって熱中症の有無や進行度がわかります。同じ信号でも貼る部位を変えて、あるいは複数の部位を調べられるのも特徴です。

左右の脚で筋電図を取ると体のバランスがわかり、心臓と手足の血流を比べると血流障害の有無が明らかになります。

これらのデータは、個々人が使うだけでなくビッグデータとして解析すれば、人々の病態の傾向や予防法がわかり、1人1人のオーダーメイドの医療や生活の提案につながるかもしれません。

高齢化が進む日本では、高齢者がより長く健康を保ち、発病や重症化には早期に手を打つことが必要です。

また、少子化で医療関係者、介護関係者の減少が予想されることからも、日常的な体の信号を捉えるデバイスには大きな期待がかけられているのです。

「新型コロナウイルス感染症により在宅でのヘルスケアや医療の重要性が増して、さらにニーズが高まっています」。
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