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専門医に聞く。40歳頃から増える女性泌尿器疾患の症状と治療法〔後編〕

2019.05.27

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知っておきたい! 頼りになる専門外来 治療を続けているのによくならない、今の治療効果に満足していない――。このような悩みを抱える人は少なくありません。こんなときに頼りになるのが「専門外来」です。一般外来ではなかなか受けられない個別性の高い治療が期待できます。今回は、「女性泌尿器外来」の後編をお送りします。 前編はこちら>>

年齢や生活様式、人生の目的に応じて最適な治療法をよく話し合って決める




順天堂大学医学部 泌尿器科学 助教
高澤直子(たかざわ・なおこ)先生
2004年順天堂大学医学部卒業。2年間の初期臨床研修の後、06年、同大学泌尿器外科学講座入局。17年、同大学大学院修了。学生時代は産婦人科医を目指していたが、多くの女性が泌尿器疾患で悩んでいるのに、女性の泌尿器科医師が当時いなかったこともあり必要性を感じ泌尿器科を専攻。14年には米国フロリダ州・クリーブランドクリニックフロリダ ウロガイネコロジーにて研修。女性泌尿器外来の担当として尿失禁や骨盤臓器脱を中心に診療に従事。日本泌尿器科学会認定専門医・指導医。

骨盤臓器脱が重症化すると排尿・排便障害のおそれも


前編で述べたように骨盤臓器脱も骨盤内臓器を支える骨盤底筋や靭帯、筋膜が損傷したり弱くなったりすることで起こります。

「複数の臓器が同時に膣内に下がってくることも珍しいことではありません」と高澤先生は説明します。腹圧性尿失禁と同様、妊娠・出産や加齢、慢性の便秘や咳、肥満などがリスクとなります。

「下腹部や会陰部の違和感、下垂感などの自覚症状が夕方になるとひどくなり、入浴時に会陰部にピンポン玉のようなものが触れるという患者さんからの訴えが多いです。進行すると排尿や排便の困難を来したり膣壁が下着にこすれて出血したりと日常生活が大きく制限されることもあります」と高澤先生は注意を促します。

重症化してから受診する人も少なくないそうで、羞恥心から受診をためらったり、老親や夫の介護に追われて自分の体のことに時間を割けず受診が遅れたりするケースが目立ちます。

「軽症の場合は、骨盤底筋体操や日常生活の過ごし方に気をつけるだけで症状が和らぎ、進行を防ぐことも可能なので、早めの受診が肝心です」。

薬物療法では改善しないため、中等症から重症になると、リングペッサリーの挿入や手術で臓器を正しい位置に戻すことが必要です。

「緩んだ靭帯や筋膜の代わりにメッシュを挿入し骨盤臓器を吊り上げて支えるTVM手術や、膣の前後をメッシュで覆い、骨盤上部の仙骨に引っ張り上げて固定する腹腔鏡下仙骨膣固定術など新しい手術も保険で行えます。

その人の年齢や生活スタイル、人生の目的に応じて最適な治療法がありますので、QOLの向上を基準に主治医とよく相談し治療法を決めることが大切です」と高澤先生はアドバイスします。
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