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認知症の要因12が明らかに。中年期から気をつけたい「難聴、頭部外傷、高血圧」

2023.05.31

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天野惠子先生のすこやか女性外来 第13回(02)国内外の研究で認知症発症のリスク要因がいくつか明らかになり、話題となっています。それらの結果が示すのは、“認知症は生活習慣病である”ということ。すなわち、「これさえ行えば予防できる」という万能の予防法は、ないのです。天野先生がすすめる5つの認知症予防策を参考に、自分に合った方法を実行しましょう。前回の記事はこちら>>

認知症は“生活習慣病”です。予防のために今、できること


天野惠子先生
天野惠子先生
静風荘病院特別顧問、日本性差医学・医療学会理事、NPO法人性差医療情報ネットワーク理事長。1942年生まれ。1967年東京大学医学部卒業。専門は循環器内科。東京大学講師、東京水産大学(現・東京海洋大学)教授を経て、2002年千葉県立東金病院副院長兼千葉県衛生研究所所長。2009年より静風荘病院にて女性外来を開始。

認知症の要因12が明らかに! 中年期から気をつけたい「難聴、頭部外傷、高血圧」


2020年、英医学雑誌『Lancet(ランセット)』は認知症の発症要因12項目を明らかにし、生活習慣の改善で認知症の発症リスクが4割下がることを発表しました。若年期、中年期、高齢期の各年代ごとに気をつけるべき項目を明示しています(下図)。


6割は不明だが、4割は修正可能
●認知症発症のリスク要因

認知症発症のリスク要因

Lancet.2020 Aug 8:396(10248):413-446をもとに作成

更年期世代で特に影響が大きいのは、聴力の低下、頭のケガ、高血圧などの生活習慣病。難聴対策で8パーセント、血圧のコントロールで2パーセント、発症リスクを抑えられるとの目安を示しています。

日常生活の活動低下が社会活動への参加を減らし、認知機能に影響を及ぼす


家に閉じ籠りがち

家に閉じこもりがちの社会的孤立や難聴は、認知症のリスクを高める。

IROOP(アイループ。認知症発症予防を目的とするインターネット健常者登録システム)に登録された日本人高齢者の大規模データから、認知機能の低下に影響する要因が発表されました。

それによると半年後に認知機能が低下した人は、その間、日常生活における活動や社会活動への参加が減り、気分の落ち込みや意欲の低下が生じていたこと、また糖尿病やがんなどの病気、難聴、頭部のケガ、慢性的な痛みがあったと報告しています。



認知機能低下に関連する要因


・日常生活活動(風呂に入る、服を着る、スケジュールを立てるなど)の低下
・社会的活動への参加減少
・気分の落ち込み
・意欲の低下
・糖尿病、がん
・聴力損失、外傷性脳損傷
・慢性的な痛み

「認知症予防のための健常者レジストリIROOP 研究事業 最終報告書」(2021年3月 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター)をもとに作成




脳が萎縮していても症状が出にくい「認知の予備力」とは何か


101歳で亡くなる直前まで子どもたちと交流し活動的に働いていたアメリカの修道女を死後解剖したところ、脳の萎縮が進んだアルツハイマー型認知症だったことがわかりました。

生前の知的活動が脳の神経回路を豊富にし、死滅した神経細胞の機能を補ったと推測されています。

このように損なわれた脳の機能を埋め合わせる働きを「認知の予備力」といい、長年の職業や社会的活動などによって培われた知的機能の高さによって左右されると考えられています。




*NPO法人性差医療情報ネットワーク「女性外来マップ」では、女性外来を開設している医療機関(2018年現在約300か所)のリストを公開。
URL:http://www.nahw.or.jp/hospital-info

*「女性外来オンライン」(天野惠子先生主宰)では、天野先生ご自身が厳選した女性の健康の回復や維持に役立つ信頼性の高い情報を発信しています。

公式サイト「女性外来オンライン」:https://joseigairai.online/

YouTube「女性外来オンラインチャンネル」はこちら>>

天野惠子先生のすこやか女性外来

1「更年期は女性の体の“変化のはじまり”」
1−1 更年期と“その後”の元気のために、体の変化を知りましょう
1−2 女性の健康の守り神・エストロゲンがゼロになったら、生活習慣で補いましょう
1−3 更年期の不調や病気予防に! 女性医療の先駆者が教える生活習慣の「基本5か条」
1−4 女性外来を訪ねて「伊豆美レディスクリニック」

2「だるさ、頭痛、冷え、動悸も。更年期の不調は全身に」
2-1 10年間、我慢するのはもったいない。自分に合う対処法を見つけましょう
2-2 更年期の症状が全身に出るのはなぜ? 訴えの多い10の不調と対処法
2-3 更年期症状の程度を知り、適切な対処法を。専門医も使う簡易テストでセルフチェック!
2-4 女性外来を訪ねて「春日クリニック」

3「不眠、イライラ、うつ、思考力低下。更年期は心も脳も不安定」
3-1 不眠、イライラ、うつ、思考力低下…。更年期のメンタルの不調を正しく知ろう
3-2 更年期のメンタルヘルスを左右する3つの物質とは。減少すると起こる不調は?
3-3 更年期のメンタルを改善するには? 症状に応じた漢方薬や生活習慣の見直しを
3-4 女性外来を訪ねて「こころとからだの杉本クリニック」

4「女性の元気を支える“骨・筋肉・血流”の三本柱」
4-1 更年期以降の人生を健やかに過ごすには、“骨・筋肉・血流”の三本柱が大切です
4-2 骨量と筋肉量は何歳からでも改善できる! まず年齢による変化を知りましょう
4-3 脳と心臓の健康を保つカギは「血流」。動脈硬化を防ぐために注意したい3つのリスク
4-4 女性外来を訪ねて「和歌山ろうさい病院 女性専門外来」

5「骨粗しょう症を予防し、“転んでも折れない骨”をつくる」
5-1 骨粗しょう症を予防するために、骨量維持は更年期女性の重要な“ミッション”!
5-2 “女性であること”が骨粗しょう症のリスク!? 骨量減少に気づくために5年に1度の骨密度検査を
5-3 骨は自分でつくるもの。骨粗しょう症を防ぐために、実践したい食事と運動とは?
5-4 女性外来を訪ねて「アットホーム表参道クリニック」

6「“高血圧なんて関係ない”は大きな間違い。今から減塩を」
6-1 自分には関係ないと思っていませんか? 更年期以降、誰にも高血圧のリスクが生じます
6-2 加齢とともに女性の血圧は3段階で変化します。自分の“高血圧リスク”を知って対策を
6-3 血圧を下げるための7か条とは? 自然に減塩できる野菜スープのレシピも
6-4 女性外来を訪ねて「山梨県立中央病院 女性専門家」

7「心筋梗塞や狭心症のリスクを高める女性の糖尿病」
7-1 女性の糖尿病は男性以上に高リスク! 更年期以降は血糖値を上げない生活を
7-2 血管に及ぼす影響は大! 女性こそ注意すべき「糖尿病」とはどんな病気?
7-3 自分の“糖尿病リスク”を知って、今から対策を! 実践したい生活習慣もご紹介
7-4 女性外来を訪ねて「ソフィア北円山クリニック」

8「女性の脂質異常症は、過剰に怖がらなくて大丈夫」
8-1 コレステロールも中性脂肪も必要な栄養素!? 性差で考える“女性の脂質異常症”
8-2 更年期以降の女性は脂質異常症になりやすい体に。コレステロールが増えても慌てないで!
8-3 コレステロールは自力でコントロール! 薬の前に生活習慣を改善しましょう
8-4 女性外来を訪ねて「順天堂大学医学部附属浦安病院 女性専用クリニック」

9「更年期から気をつけたい心臓の血管にかかわる病気」
9-1 更年期以降増え始める女性の「狭心症・心筋梗塞」。気をつけたい心臓の血管にかかわる病気
9-2 更年期以降気をつけたい「狭心症・心筋梗塞」とはどんな病気? 男性との違いも解説
9-3 狭心症・心筋梗塞の症状には性差が! 女性の症状は広範囲に及び、診断されにくい
9-4 女性外来を訪ねて「高知いちょう医院」

10「動悸は更年期以降によくある症状。心配のいらない加齢現象です」
10-1 動悸は自律神経の乱れで生じる、更年期症状の一つ
10-2 「動悸・息切れ、不整脈」は中高年女性に多く、精神的ストレスの影響も
10-3 動悸・息切れが起きたときの対処法や予防法
10-4 女性外来を訪ねて「西松園内科医院」

11「20年後、30年後の元気のために更年期から脳卒中の予防を」
11-1 くも膜下出血は女性に多い。50歳になったら全身の健康チェックを行いリスクを洗い出しましょう
11-2 脳卒中には血管が詰まるタイプと破れるタイプがある
11-3 家族歴のある女性は特に気をつけたい「くも膜下出血」
11-4 女性外来を訪ねて JCHO久留米総合病院 女性総合診療科「なでしこ」

12「今から始める認知症対策。恐れるより、まず知ることからを」
12-1 女性はリスクが高いからこそ、“ならないための心がけ”が大事。予防の一歩は正しい知識から
12-2 認知症の7割近くはアルツハイマー型認知症
12-3 更年期の物忘れは、認知症とは違います
12-4 女性外来を訪ねて「岡山中央病院セントラル・クリニック伊島 ウィミンズメディカルセンター」

13「認知症は“生活習慣病”です。予防のために今、できること」
13-1 認知症は“生活習慣病”です。日常生活の改善と難聴対策も忘れずに
13-2 研究からわかった認知症のリスク要因
13-3 天野先生がすすめる5つの認知症予防策(6/7公開予定)
13-4 女性外来を訪ねて「京都大学医学部附属病院 産科婦人科 ヘルスケア外来」(6/14公開予定)
撮影/本誌・伏見早織 イラスト/佐々木 公〈sunny side〉 取材・文/浅原須美

『家庭画報』2023年6月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。
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