認知症は“生活習慣病”。予防のために今、できることとは

聴力低下や糖尿病、社会的孤立も要因に。認知症は“生活習慣病”です。

天野惠子先生


静風荘病院特別顧問、日本性差医学・医療学会理事、NPO法人性差医療情報ネットワーク理事長。1942年生まれ。1967年東京大学医学部卒業。専門は循環器内科。東京大学講師、東京水産大学（現・東京海洋大学）教授を経て、2002年千葉県立東金病院副院長兼千葉県衛生研究所所長。2009年より静風荘病院にて女性外来を開始。

「知的活動を楽しみ、バランスよく食べ、体を動かし、よく眠る。難聴対策も忘れずに」─天野惠子先生

2020年、イギリスの医学雑誌に「12の認知症発症のリスク要因」が発表されました（5/31公開予定の記事にて詳しくご説明します。）。

認知症の要因のうち6割は不明で4割は修正可能。つまり、日常生活の改善で発症リスクを4割減らせることを明らかにしたのです。

6割は不明だが、4割は修正可能
●認知症発症のリスク要因


Lancet.2020 Aug 8:396（10248）:413-446をもとに作成

認知症予防には、まず“認知症は生活習慣病である”という大前提を頭に入れて行動することが基本です。そのうえで、自分に合った知的活動を楽しみ、社会との交流を維持する。このような毎日が脳の神経細胞を刺激し、認知機能を長く保つことにつながります。

難聴は放っておかない。子どもの健康教育こそ大事

特に重要なのが難聴対策。65歳以上の3人に1人ともいわれ、誰にでも起こりうる加齢性難聴が認知症のかなりのリスクになっています。

聞こえが悪いと会話がおっくうになり、家に閉じこもり社会から孤立しがちに。耳が遠くなったと感じたら（あるいは家族が気づいたら）、耳鼻咽喉科を受診して早めに補聴器を使うことをおすすめします。

そして、さらに大事なことは子どもへの健康教育にほかならないと私は考えています。

食事・運動・睡眠の大切さを学び、日々の健康管理が当たり前に身につけば、将来の認知症はかなり減るはず。

これこそ大人の私たちにできる、社会的な認知症対策といえるのかもしれません。

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＊NPO法人性差医療情報ネットワーク「女性外来マップ」では、女性外来を開設している医療機関（2018年現在約300か所）のリストを公開。
URL：http://www.nahw.or.jp/hospital-info

＊｢女性外来オンライン｣（天野惠子先生主宰）では、天野先生ご自身が厳選した女性の健康の回復や維持に役立つ信頼性の高い情報を発信しています。

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