美容・健康
2023/05/17
天野惠子先生のすこやか女性外来 第12回(04)日本の女性医療、性差医療の先駆者で、ご自身の更年期体験も山ほどお持ちの、天野惠子先生の連載「すこやか女性外来」。今回は、天野惠子先生が推薦する全国・女性外来を紹介します。前回の記事はこちら>>
●前回の記事
更年期の物忘れは、認知症とは違います
金重恵美子先生(かねしげ・えみこ)
岡山中央病院副院長、セントラル・クリニック伊島院長。1976年岡山大学医学部卒業。同大学医学部附属病院等を経て1986年より岡山中央病院勤務。1999年ウィミンズメディカルセンターを開設しセンター長に。思春期、妊娠・出産、更年期など女性医療全般にかかわり、治療だけでなく病院内外で病気予防と健康増進を支援。
一生を通して女性の健康を支援しようと岡山中央病院に開設されたウィミンズメディカルセンター。
壮大な陶板壁画「生命の輝き」に心が癒やされる(岡山県出身の陶芸家・白石正子さんの作品)。
その外来部門を担うセントラル・クリニック伊島の4階には産婦人科、外科、女性泌尿器科、女性消化器内科、心療内科が集まっています。
センター長の金重恵美子先生は長年、市民活動や女性学にも幅を広げ女性医療に取り組んできました。
金重先生を囲んで、婦人科の女性医師たち。
診療では主に漢方薬やホルモン補充療法を用いながら、対話を重視。イライラ、不眠、うつなど更年期症状の多くは人間関係のストレスや思い込みが影響しているといいます。
「たとえば夫への不満や姑への苦手意識が伝わると溝は深まる一方です。お話の中から解決の糸口を探し、ちょっとした言葉かけで互いの心が癒やされ、症状も軽くなることがあるとお伝えします」。
MRI機器を用いた最新技術・無痛の乳がん検診を導入(岡山中央病院。自費)。
骨粗しょう症の予防にも力を入れ、骨密度が平均より低かったり家族歴があるなどハイリスクの場合は、閉経後早めにホルモン補充療法を開始するのが有効だと考えています。
不調をきっかけに生活習慣を見直すことや、ヘルスリテラシー(健康や医療に関する正しい情報を入手し理解して活用する能力)を高めること。
このような“健康力”を若い世代にも身につけてほしいと、学校での講演や、体や性に関する悩みの無料相談窓口・ユースクリニックの活動にも力を注ぐ金重先生。
一般女性を対象に病気予防や健康管理に重点を置いた講座を開催。
骨粗しょう症予防をテーマにした地域向け健康講座に多くの女性が参加した(2017年)。
「リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(性と生殖に関する健康と権利)の概念が浸透し、すべての女性が性や体のことを自分で決め、守ることのできる社会を目指しています」。
岡山県岡山市北区伊島北町7-5
1「更年期は女性の体の“変化のはじまり”」
1−1 更年期と“その後”の元気のために、体の変化を知りましょう
1−2 女性の健康の守り神・エストロゲンがゼロになったら、生活習慣で補いましょう
1−3 更年期の不調や病気予防に! 女性医療の先駆者が教える生活習慣の「基本5か条」
1−4 女性外来を訪ねて「伊豆美レディスクリニック」
2「だるさ、頭痛、冷え、動悸も。更年期の不調は全身に」
2-1 10年間、我慢するのはもったいない。自分に合う対処法を見つけましょう
2-2 更年期の症状が全身に出るのはなぜ? 訴えの多い10の不調と対処法
2-3 更年期症状の程度を知り、適切な対処法を。専門医も使う簡易テストでセルフチェック!
2-4 女性外来を訪ねて「春日クリニック」
3「不眠、イライラ、うつ、思考力低下。更年期は心も脳も不安定」
3-1 不眠、イライラ、うつ、思考力低下…。更年期のメンタルの不調を正しく知ろう
3-2 更年期のメンタルヘルスを左右する3つの物質とは。減少すると起こる不調は?
3-3 更年期のメンタルを改善するには? 症状に応じた漢方薬や生活習慣の見直しを
3-4 女性外来を訪ねて「こころとからだの杉本クリニック」
4「女性の元気を支える“骨・筋肉・血流”の三本柱」
4-1 更年期以降の人生を健やかに過ごすには、“骨・筋肉・血流”の三本柱が大切です
4-2 骨量と筋肉量は何歳からでも改善できる! まず年齢による変化を知りましょう
4-3 脳と心臓の健康を保つカギは「血流」。動脈硬化を防ぐために注意したい3つのリスク
4-4 女性外来を訪ねて「和歌山ろうさい病院 女性専門外来」
5「骨粗しょう症を予防し、“転んでも折れない骨”をつくる」
5-1 骨粗しょう症を予防するために、骨量維持は更年期女性の重要な“ミッション”!
5-2 “女性であること”が骨粗しょう症のリスク!? 骨量減少に気づくために5年に1度の骨密度検査を
5-3 骨は自分でつくるもの。骨粗しょう症を防ぐために、実践したい食事と運動とは?
5-4 女性外来を訪ねて「アットホーム表参道クリニック」
6「“高血圧なんて関係ない”は大きな間違い。今から減塩を」
6-1 自分には関係ないと思っていませんか? 更年期以降、誰にも高血圧のリスクが生じます
6-2 加齢とともに女性の血圧は3段階で変化します。自分の“高血圧リスク”を知って対策を
6-3 血圧を下げるための7か条とは? 自然に減塩できる野菜スープのレシピも
6-4 女性外来を訪ねて「山梨県立中央病院 女性専門家」
7「心筋梗塞や狭心症のリスクを高める女性の糖尿病」
7-1 女性の糖尿病は男性以上に高リスク! 更年期以降は血糖値を上げない生活を
7-2 血管に及ぼす影響は大! 女性こそ注意すべき「糖尿病」とはどんな病気?
7-3 自分の“糖尿病リスク”を知って、今から対策を! 実践したい生活習慣もご紹介
7-4 女性外来を訪ねて「ソフィア北円山クリニック」
8「女性の脂質異常症は、過剰に怖がらなくて大丈夫」
8-1 コレステロールも中性脂肪も必要な栄養素!? 性差で考える“女性の脂質異常症”
8-2 更年期以降の女性は脂質異常症になりやすい体に。コレステロールが増えても慌てないで!
8-3 コレステロールは自力でコントロール! 薬の前に生活習慣を改善しましょう
8-4 女性外来を訪ねて「順天堂大学医学部附属浦安病院 女性専用クリニック」
9「更年期から気をつけたい心臓の血管にかかわる病気」
9-1 更年期以降増え始める女性の「狭心症・心筋梗塞」。気をつけたい心臓の血管にかかわる病気
9-2 更年期以降気をつけたい「狭心症・心筋梗塞」とはどんな病気? 男性との違いも解説
9-3 狭心症・心筋梗塞の症状には性差が! 女性の症状は広範囲に及び、診断されにくい
9-4 女性外来を訪ねて「高知いちょう医院」
10「動悸は更年期以降によくある症状。心配のいらない加齢現象です」
10-1 動悸は自律神経の乱れで生じる、更年期症状の一つ
10-2 「動悸・息切れ、不整脈」は中高年女性に多く、精神的ストレスの影響も
10-3 動悸・息切れが起きたときの対処法や予防法
10-4 女性外来を訪ねて「西松園内科医院」
11「20年後、30年後の元気のために更年期から脳卒中の予防を」
11-1 くも膜下出血は女性に多い。50歳になったら全身の健康チェックを行いリスクを洗い出しましょう
11-2 脳卒中には血管が詰まるタイプと破れるタイプがある
11-3 家族歴のある女性は特に気をつけたい「くも膜下出血」
11-4 女性外来を訪ねて JCHO久留米総合病院 女性総合診療科「なでしこ」
12「今から始める認知症対策。恐れるより、まず知ることからを」
12-1 女性はリスクが高いからこそ、“ならないための心がけ”が大事。予防の一歩は正しい知識から
12-2 認知症の7割近くはアルツハイマー型認知症
12-3 更年期の物忘れは、認知症とは違います
12-4 女性外来を訪ねて「岡山中央病院セントラル・クリニック伊島 ウィミンズメディカルセンター」
*NPO法人性差医療情報ネットワーク「女性外来マップ」では、女性外来を開設している医療機関(2018年現在約300か所)のリストを公開。
URL:http://www.nahw.or.jp/hospital-info
*「女性外来オンライン」(天野惠子先生主宰)では、天野先生ご自身が厳選した女性の健康の回復や維持に役立つ信頼性の高い情報を発信している。
公式サイト「女性外来オンライン」:https://joseigairai.online/
YouTube「女性外来オンラインチャンネル」はこちら>>
撮影/本誌・伏見早織 取材・文/浅原須美
『家庭画報』2023年5月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。
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