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大人こそ気をつけたい「虫歯」の原因やメカニズムは? 注意すべきポイントを解説

2022.12.07

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専門医に聞く 今、気をつけたい病気 第12回(01) ほとんどの人が経験のある虫歯(う蝕)とその治療。進行すると歯の根の治療(歯内治療)が必要となります。今回は、大人の虫歯、特に歯内治療について、東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 口腔機能再構築学講座歯髄生物学分野 教授の興地隆史先生に伺います。
〔解説してくださるかた〕興地隆史(おきぢ・たかし)先生
興地隆史先生

東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 口腔機能再構築学講座 歯髄生物学分野 教授。1984年東京医科歯科大学歯学部卒業、1988年同大学大学院歯学研究科博士課程修了。同大学歯学部歯科保存学第三講座、1994年スウェーデン・イエテボリ大学歯学部客員研究員などを経て、2001年から新潟大学歯学部附属病院総合診療部教授、同大学大学院医歯学総合研究科口腔健康科学講座う蝕学分野教授を歴任。2015年から現職。2015〜2017年日本歯科保存学会理事長。

歯が残せるようになった分、虫歯も増えていく


平成28(2016)年の歯科疾患実態調査では、35〜64歳では虫歯の全くない人は0.5〜2パーセントでした。虫歯の経験のない人がいかに少ないかがわかります。


一方、80歳で20本の歯を残す「8020運動」の達成者は51パーセントと過去最高でした。ただ、65歳以上では虫歯の数は以前の調査に比べ増加しました。

「歯の健康の重要性が認知されて予防や治療が浸透した結果ともいえますし、残っている歯の数が増えて虫歯も増えるということでもあります。高齢になってから健康であった歯が初めて虫歯になるケースもよく見られます」と東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 口腔機能再構築学講座教授の興地隆史先生は話します。

口の中が酸性に傾いたままで、歯の成分が減るのがきっかけ


虫歯は歯が酸で溶かされた状態です。口の中はふだんは中性ですが、食後には酸性になり、歯の最表面のエナメル質からカルシウムイオンやリン酸イオンが溶け出します(脱灰/だっかい)。その後、唾液が酸を中和して元の中性に戻ります。

その際に唾液中のカルシウムイオンやリン酸イオンがまたエナメル質に戻ります(再石灰化)。このサイクルがうまくいかず、酸性に傾く時間が長いと歯のエナメル質が薄くなり、やがて虫歯になります。

口の中が酸性に傾く主な原因は細菌感染です。かつてはミュータンス菌が口腔内の糖質を栄養分とし、酸を産生するとされてきましたが、現在ではより強い作用を持つさまざまな細菌がいることがわかっています。

これらの細菌は自らが作るグルカンとともに歯垢(プラーク)となり、歯の表面やすき間、歯肉との境目の歯周ポケットにたまります。歯垢が固まると歯石となり、ブラッシングでは取れなくなってさらに細菌が増えます。

虫歯にはほかにも多様な要因が作用します。歯のブラッシングが不足あるいは不適切、甘い物をよく食べる、義歯や歯の矯正器具の装着、糖衣錠(トローチ)や飴を常に含んでいる、ワインやコーラなど酸性の強い飲食物をよく摂る、ある種の薬・加齢・シェーグレン症候群のような病気が引き起こす唾液の分泌の低下などが挙げられます。また、歯垢に共存する別の細菌による歯周病も関連します。

大人の虫歯の特徴


●すでに治療した歯の詰め物の境目が虫歯になりやすい

●歯内治療をやり直さなければならないケースもある

●歯肉が下がり、露出した歯の根元に虫歯ができやすくなる

●服用している薬の副作用や持病、加齢で唾液が減るのもリスクになる

専門医に聞く 今、気をつけたい病気

1「甲状腺機能低下症」
1−1 だるい、寒い、眠い…「甲状腺機能低下症」でもたらされる症状とは?
1−2 圧倒的に女性に多い「甲状腺機能低下症」。発症してしまったらどう付き合う?

2「非結核性抗酸菌症(肺NTM症)」
2−1 中高年女性は特に注意!自分では気づきにくい「非結核性抗酸菌症(肺NTM症)」とは?
2−2 40~60代女性に多い、身近な菌が引き起こす肺の病(肺NTM症)。感染経路や治療法は?

3「下肢静脈瘤」
3−1 足の瘤に夕方の脚のだるさ、痛みなどが重なれば要注意「下肢静脈瘤」とは?
3−2 「下肢静脈瘤」が潰瘍や色素沈着の原因にも。具体的な原因・対処法を解説!

4「関節リウマチ」
4−1 女性の発症率は男性の3倍。「関節リウマチ」とは? こんな症状があれば早期に受診を
4−2 内臓や血管の合併症も引き起こす「関節リウマチ」。その治療法は?

5「帯状疱疹」
5−1 50代からは特に注意!「帯状疱疹」とはどんな病気? 多くの人に発症リスクがある理由
5−2 痛みやまひが残るケースも。「帯状疱疹」を重症化させないために知っておきたいこと

6「頭痛」
6−1 つらい慢性的な「頭痛」。片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛、それぞれの症状は?
6−2 鎮痛薬の連用が招く薬剤性頭痛にも注意を。知っておきたい頭痛の最新の治療法

7「慢性腎臓病」
7−1 「慢性腎臓病(CKD)」とはどんな病気? 初期には自覚症状がなく、気づかないうちに悪化も
7−2 ゆっくり進行していく慢性腎臓病(CKD)の診断基準は? 放置しないことが何より大切

8「緑内障」
8−1 日本の失明原因の第1位「緑内障」。発症のリスクや病気の特徴、早期発見のポイントは?
8−2 40代以上の5%、75歳以上の10%が緑内障。知っておきたい病気のタイプと治療法

9「糖尿病」
9−1 年齢とともに上がる「糖尿病」のリスク。やせ型女性も注意が必要な理由とは?
9−2 自覚症状がないまま重大な合併症を引き起こす「糖尿病」。検査や治療の方法は?

10「不整脈」
10−1 年齢とともに気になり始める不整脈。なかでも患者数が多い「心房細動」とは?
10−2 血栓ができ、脳梗塞を引き起こす危険も。脈拍が不規則になる「心房細動」はなぜ起こる?

11「副鼻腔炎」
11−1 鼻汁や鼻づまり、においがわからない…。身近な病気「副鼻腔炎」とは?
11−2 「副鼻腔炎」はなぜ起こる? 様々な原因とかかってしまった際の治療法を解説

12「大人の虫歯」
12−1 大人こそ気をつけたい「虫歯」の原因やメカニズムは? 注意すべきポイントを解説
12−2 ふだんのオーラルケアと定期健診による予防や早期治療が鍵(12/8公開予定)
取材・文/小島あゆみ

『家庭画報』2022年12月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。
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