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自分には関係ないと思っていませんか? 更年期以降、誰にも高血圧のリスクが生じます

2022.10.19

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天野惠子先生のすこやか女性外来 第6回(01) 「私の血圧は低めだから大丈夫」と安心していられるのは閉経前まで。エストロゲンの庇護がなくなる更年期以降、女性の血圧は上昇しはじめます。覚えておきたいのは、加齢による血圧の上がり方が女性と男性では異なること。天野先生が性差医療をベースに、“女性のための”血圧の話をお届けします。

閉経後、徐々に上がりはじめる女性の血圧
「高血圧なんて関係ない」は大きな間違い。今から減塩を


天野惠子(あまの・けいこ)先生
天野惠子先生

静風荘病院特別顧問、日本性差医学・医療学会理事、NPO法人性差医療情報ネットワーク理事長。1942年生まれ。1967年東京大学医学部卒業。専門は循環器内科。東京大学講師、東京水産大学(現・東京海洋大学)教授を経て、2002年千葉県立東金病院副院長兼千葉県衛生研究所所長。2009年より静風荘病院にて女性外来を開始。

性差を考慮していない基準値。女性は男性より本来低め
「若い頃の血圧が低いのはエストロゲンのおかげ。更年期以降、誰にも高血圧のリスクが生じます」── 天野惠子先生


更年期を境に、女性の体は一斉に変化をはじめます。その一つが血圧の上昇。閉経前はエストロゲンのおかげで男性よりも低く抑えられていた女性の血圧は更年期以降、徐々に上がり、男性と差がなくなっていきます(下のグラフ参照)。

加齢に伴う収縮期血圧値の変化(男女比較)


加齢に伴う収縮期血圧値の変化

千葉県22市町村基本健康診査(平成15~18年度。男女合わせて延べ36万6862人のデータ)の結果より平成18年度の数値を取り出してグラフ化。千葉県基本健康診査データ収集システム確立事業

血圧に関して注意しなければならないのは、公に示される数値は男性の基準値であり、女性の血圧が本来男性より低めであるという性差がまったく考慮されていないことです。

高血圧は家庭血圧の収縮期血圧が135mmHg以上と定義されていますが、40代女性の平均は120mmHg以下、50代で125mmHg以下です。つまり更年期世代の女性で130mmHg以上あれば高めなのだと自覚する必要があります。

高血圧状態が長く続くと動脈硬化の原因になる


血圧が上がっても自覚症状はないため、健康診断などで血圧を測り、高くなりはじめる兆候に早く気がつくことが大事です。

高血圧状態が長く続くと血管の内壁が血流の圧力に耐えようと厚く硬くなり、弾力性や伸縮性を失います。これが動脈硬化で、やがて血管の内腔が狭くなって血流が滞り、脳梗塞や心筋梗塞を起こしやすい状態になるのです。

最も効果的な高血圧対策は何といっても減塩。第3回(11/2公開予定)の記事では、無理なく確実に減塩のできるとっておきの「野菜スープ」をご紹介いたします。




*NPO法人性差医療情報ネットワーク「女性外来マップ」では、女性外来を開設している医療機関(2018年現在約300か所)のリストを公開。
URL:http://www.nahw.or.jp/hospital-info

*「女性外来オンライン」(天野惠子先生主宰)では、天野先生ご自身が厳選した女性の健康の回復や維持に役立つ信頼性の高い情報を発信しています。

公式サイト「女性外来オンライン」:https://joseigairai.online/

YouTube「女性外来オンラインチャンネル」はこちら>>

天野惠子先生のすこやか女性外来

1「更年期は女性の体の“変化のはじまり”」
1−1 更年期と“その後”の元気のために、体の変化を知りましょう
1−2 女性の健康の守り神・エストロゲンがゼロになったら、生活習慣で補いましょう
1−3 更年期の不調や病気予防に! 女性医療の先駆者が教える生活習慣の「基本5か条」
1−4 女性外来を訪ねて「伊豆美レディスクリニック」

2「だるさ、頭痛、冷え、動悸も。更年期の不調は全身に」
2-1 10年間、我慢するのはもったいない。自分に合う対処法を見つけましょう
2-2 更年期の症状が全身に出るのはなぜ? 訴えの多い10の不調と対処法
2-3 更年期症状の程度を知り、適切な対処法を。専門医も使う簡易テストでセルフチェック!
2-4 女性外来を訪ねて「春日クリニック」

3「不眠、イライラ、うつ、思考力低下。更年期は心も脳も不安定」
3-1 不眠、イライラ、うつ、思考力低下…。更年期のメンタルの不調を正しく知ろう
3-2 更年期のメンタルヘルスを左右する3つの物質とは。減少すると起こる不調は?
3-3 更年期のメンタルを改善するには? 症状に応じた漢方薬や生活習慣の見直しを
3-4 女性外来を訪ねて「こころとからだの杉本クリニック」

4「女性の元気を支える“骨・筋肉・血流”の三本柱」
4-1 更年期以降の人生を健やかに過ごすには、“骨・筋肉・血流”の三本柱が大切です
4-2 骨量と筋肉量は何歳からでも改善できる! まず年齢による変化を知りましょう
4-3 脳と心臓の健康を保つカギは「血流」。動脈硬化を防ぐために注意したい3つのリスク
4-4 女性外来を訪ねて「和歌山ろうさい病院 女性専門外来」

5「骨粗しょう症を予防し、“転んでも折れない骨”をつくる」
5-1 骨粗しょう症を予防するために、骨量維持は更年期女性の重要な“ミッション”!
5-2 “女性であること”が骨粗しょう症のリスク!? 骨量減少に気づくために5年に1度の骨密度検査を
5-3 骨は自分でつくるもの。骨粗しょう症を防ぐために、実践したい食事と運動とは?
5-4 女性外来を訪ねて「アットホーム表参道クリニック」

6「“高血圧なんて関係ない”は大きな間違い。今から減塩を」
6-1 自分には関係ないと思っていませんか? 更年期以降、誰にも高血圧のリスクが生じます
6-2 加齢とともに女性の血圧は大きく変わる(10/26公開予定)
6-3 血圧を下げるポイントは、1に減塩、2に減塩(11/2公開予定)
6-4 女性外来を訪ねて「山梨県立中央病院 女性専門家」(11/9公開予定)
撮影/鍋島徳恭 イラスト/佐々木 公〈sunny side〉 取材・文/浅原須美

『家庭画報』2022年11月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。
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